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第4回柔道整復師学校養成施設カリキュラム検討会 開催!

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平成28年7月7日(木)午後2時から金融庁共用1114会議室にて、第4回柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会が開催された。

議題は、「第3回検討会の主な意見」「カリキュラム等の改善」についてである。

厚生労働省医政局医事課医事専門官・佐生啓吾氏より資料1~4の説明が行われた。(資料1.第3回検討会の主な意見 2.これまでの議論を踏まえたカリキュラム等の改善について 3.カリキュラム等の改善に係る提案・細野構成員提出資料 4.カリキュラム等の改善に係る提案・長尾構成員提出資料
引き続き『カリキュラム等の改善に係る提案』について細野構成員からの説明があり、長尾構成員は「カリキュラム等の改善に係る提案」で平成28年4月1日の厚生労働省指定の養成校29都道府県93校で、昼間の定員5,413人、夜2,235人が現在の定数で、養成校と臨床実習の施術所の所在地など調査した結果を解説、前回話した3000施設はクリアできるであろうと報告した。

北村座長は「総単位数の引上げ」について、今日欠席の松下先生から〝新設項目の内、2か所が2単位15×2から1単位30時間に変更になっています。表面上の時間数は同じですが確実に30時間講義が行われるとは限りません。新設項目が確実に実施されるべきと考えますので、2単位15時間×2に戻すべきと考えます。実習について臨床実習が別項目として4単位に増えますので、従来の実習は2単位減らして14単位、時間数は同じにしても良いのではないかと考えます。そうしても実習自体全体では16単位から18単位に増えることになり、又全体の単位数も97単位のままになります。最後になりますが、開業権のある柔道整復師の授業時間数が看護師の授業時間数より少ないことの妥当性については疑問が残りますが、構成員の皆様が賛成されるのであれば、本案の97単位2750時間に特に反対はございません〟とコメントがあったことを紹介した。

「時間数30時間は変わらないが、1単位として纏めるか、高齢者と競技者は違うので、1単位ずつキチンとやってもらったほうが良いか」

〝確かに1単位となると15時間でやるところと30時間でやるところに分かれてくる。あくまで最低総時間数で、確かに松下先生の仰る通りと思います〟。〝競技者と高齢者は違うのでこれは単位を分けておいたほうが良いと思います〟等の意見が出され、①高齢者の生理学的特徴・変化②競技者の生理学的特徴・変化と⑨高齢者の外傷予防⑩競技者の外傷予防は1単位ずつ15時間で合意した。

既存カリキュラムの見直し・細野構成員案の専門基礎分野「疾病と傷害(疾病各論)」1単位15時間、専門基礎分野「保健医療福祉と柔道整復の理念(柔道整復の歴史)」15時間、専門分野「基礎柔道整復学(骨・関節等の構造と機能)」15時間について

〝一般の臨床医学という科目ですが、かなり内科疾患の羅列になっており、これだけ疾患数を沢山覚えておく必要があるのか。国家試験をやっている側として疑問に思うところがあります。細野先生が仰るように熱中症や脱水症など初期対応を含めて病態、症候のほうに力を置くことに賛成です〟。〝各論はインターネットのグーグルでズラッと出てくる訳で覚えても何の意味もなく寧ろ目の前にいる人が熱中症かどうかちゃんと見分けることが大事で、病態・症候にして頂く。歴史は15時間あれば十分と思うが、保健医療福祉と柔道整復理念がないと芯がふらふらしてお金儲けだけに走る人が出てきたりするので、柔整の信念をしっかり教えて頂きたい〟。〝看護師は97単位3000時間。在宅看護が出来るので看護師は開業権を持っているが、殆ど何所かでトレーニングを受けてから開業している。言語聴覚士は合計2830時間であるが開業できない。医者が6年間では開業できず2年間の研修をしている。柔整の場合、3年で開業できる、実際に卒業してすぐ開業する人もいるので、看護師は3000時間で大差はないが少ないという気がする〟。〝時間をしっかり確保して優れた柔道整復師を養成することを柔道整復師の皆さんは思っていられるのではないかと考えていたが、そうではなく寧ろ時間数は短くて良いという考えなのでしょうか〟。〝適正な時間数であればそれで良いと思っており、短い方が良いとは決して考えていない。厚生労働省と日整のほうで3年間位は卒後研修をしないと開業できないという話が進んでいるそうなので、そうなれば学校3年間と卒後3年間で計6年になればいかがか?〟。〝総時間数が他と比べて少ないからもっと増やそうというのではなく、こういったものを入れなくてはいけないだろうという議論の中で納得できれば時間数を増やしても仕方がない〟等。

「柔道整復実技について」

〝内容は整復実技が1ステーションと柔道実技が2ステーション、全部で3ステーション。3年生の11月、国家試験を受けるにあたって、国家試験を受ける前に審査をして認められた上で国家試験を受けるというシステムになっている〟。〝医者のOSCEは、授業時間でいえば15時間位かかっていると思うので、その分増えてもいいと思う〟。〝縛りとして総時間数2750時間程度にして、ある程度ゆとりがないと各学校が他の自由なことが出来なくなってしまうという欠点もある〟。〝試験をカリキュラムに取り込むことは誤りである。授業時間を使って能力を判定していくものであり、但し試験が近づくと練習しているのでそういう意味ではこの時間を入れると学生はもっとやっているのかもしれない〟。〝あまりガチガチにして大学・学校の自由なプログラムが全然とれないのもいかがなものかという気がする〟。〝看護師と同じように考えるのは如何なものか〟。〝とはいえ、看護師は医師の指示に基づいて行う職業で指示がないと何もできないが、柔整の場合は、自分の診断と判断の下で出来るので責任は重い〟。〝我々柔道整復師が、外部からちゃんとしているのか?が問われており、今回の議論で検討していることを知らしめる。保険を使ったり、人の体を診ている中でキッチリしているということを知らしめる検討会であれば良いと思っている〟。〝たとえば最低履修時間数を書いて、ト書に更に何時間、各学校に独自のプログラムを開発することが望ましいと書いたらどうか?〟。〝臨床実習前実技試験をどうとらえるかは、今の臨床実習はかなり客観性もあり、新たにOSCEを導入することは学校教育の圧迫になるのではないかと思っている。実技試験に受かった後の臨床実習と受かる前の臨床実習を分けないと、この議論というのはどういう試験をするかということと実技試験を受ける前に臨床実習を認めるか認めないかも含めて議論しなければ学校教育に使えるものは作れないのではないか〟。〝実習前のOSCEを通った人と通る前では実習の質は違うけれども、出来るだけ早くから患者さんに少なくとも触れたほうが良い。3年間で2回もやるのは大変かもしれないが安全の面からやっていただいたほうが良い〟。〝実技試験をしました、整骨院にきました、国家試験にパスしました…という風にしたい〟。〝今の若い人は挨拶も出来ないというか、人の目を見て話せないなどあるので、医療面接みたいなものも一つ入れてほしい〟。〝OSCEという形で臨床能力をはかったフリをされたらというのをおそれる〟等。 実習前実技試験が1つの核ではあるが各大学や各学校の工夫、或いは皆さんの工夫にお任せするとして「臨床実習前施術実技試験などを含む。」で合意。

「エコーを一体どの位やっておられるのか?」

〝私自身の立場からすると実際どの位行われているのか承知していない。これは保険診療の上で点数がつく訳ではない中でかなり費用がかかるが、そのあたりについてはどのような認識をお持ちなのか教えていただきたい〟。〝私たちX線を使用できないので、骨折や脱臼の疑いがあれば勿論ドクターに診ていただいて判断いただくが、例えば捻挫等を判断する上で非常に参考になり、あくまで診断で患者さんに使用するものではない〟。〝全体5万軒のうち2000~2500位の施術所で使用しているものと思われる〟。〝画像で適否の判断をするのに必要である〟。〝画像の読み方ではなく機械の扱い方などの問題が国家試験に出たら全員いっせいにそれをやらせない訳にはいかない。そういう問題が出たら良いと思うが、まだ日整の人たちが3000人位ではちょっと無理かと思われる〟。〝線引きが難しいところだが、施術を受ける方にとってエコーをやってもらうことによって適切に施術の方法も決まってくるということも事実〟等。

議論の結果、2750時間プラス独自のプログラムという方向で合意。

「通信教育(放送大学等)を活用できるよう指導ガイドラインを見直してはどうか」について

教員に関して7単位以内に限り、職業教育上施設長が必要と認める者と考えている。認める際には、本人からの申請に基づき個々の既修の学習内容を評価し、養成所における教育内容に相当するものと認められる場合には、7単位数を超えない範囲で当該養成所における履修に替えることができるといった規定を追加しては如何か。

7単位、放送大学で認めるという方向で合意。

「臨床実習指導者講習会の在り方」について

座長から〝ポイントは16時間であること。ワークショップであれば50名以内になる。教える側は、臨床実習制度の理念と概要、到達目標と修了基準、プログラムの立案、指導者の在り方、臨床実習指導者およびプログラムの評価、プログラムは教育の方法だけではなく評価等を含めたプログラムであること。厚生労働省による修了証書を交付しようとする主催者は、事前に講習会の内容等を厚生労働省に提出し、厚生労働省による修了証書を交付する。是非厚生労働省による修了証書を受け取って頂いて、個人の資格として指導者として活躍願うということで良いのではないか。特に異論がなければこれでいきたいと思います〟とした。 また、指導者講習会を始める時期は、29年の4月からは無理であっても、7月頃からであれば間に合うと思われるが、つめる必要があると伝えた。

「専任教員の見直しについて」

今回新たに追加する社会保障制度、人体の構造と機能(解剖学)のうち、運動器系の構造に関する事項、人体の構造と機能(運動学)のうち、運動器系の機能に関する事項、疾病と傷害(リハビリテーション医学)のうち、高齢者運動機能の維持・回復に関する事項、を柔整の専任教員の教授範囲にしてはどうかに関して。

〝現場で働いている先生が一番知っている。疾病と傷害、高齢者運動機能の維持・回復は、今は医師が教えているが、リハビリテーションは医師も少ない。診療科の中でリハビリテーションが一番少ないので、寧ろサポートしてもらうほうが良い〟として4つを新たに専任教員の教授できる範囲として合意。

「その他、備品等の見直しについて」

顕微鏡及びシャーカステン、骨折治療台、教育上必要な専門図書、電子書籍を含む、千冊以上、等。中でも、エコーの機械について〝学生の教育に使うということで、鑑別に使う測定器等というようなかたちにすれば〟、〝鑑別をしていく上で必要ならば入れるといい。専門基礎科目用のリハビリテーション医学実習用機器の中に握力計、背筋力計の後あたりに超音波測定器等を含むという記載も考えられる〟、〝超音波をどういう風に柔道整復師が使うかということの合意が未だ十分できていないような気がする。柔道整復師は診断しないという形でやっていて、患者安全のためには必要だという考え方もあるが未だ十分合意しているという風に感じられない。あえて此処に入れるのはちょっと暴言ではないか〟、〝患者安全のために何をするかという議論なので、柔道整復師が超音波を使えるという担保があれば、それをちゃんと患者安全のために使うことが最優先されるべきだと思われる。必要ならちゃんと設備として整えれば良い〟、〝ここに書いたからといって既に出来ている学校がとり潰しになるとは到底思えない。努力目標という形で捉えてほしいということで書き込む手はあると思われる〟、〝医療安全の意味から書き込みたいとは思うが、総合すると未だ時期尚早のように思う〟、〝限りなく近いうちに書き込まれることは間違いないことなので早めに入れていただけたらと思われる〟といった前向きな議論が行われた。

「実習の理念について」

他の職種と比べて、臨床実習、柔道整復師としての臨床における実践的能力及び保険の仕組みに関する知識を習得し、患者との適切な対応を学ぶという目的であるが、他の職種、例えば診療放射線技師は〝患者への適切な対応を学ぶ〟の後に〝また、医療チームの一員として責任と自覚を養う〟という言葉が理学療法だけ入っていないが全部の職種に入っている。柔整も〝施術者の一員として責任と自覚を養う〟を追加することで合意。

最後に座長から〝次回は事務局との相談で報告書みたいなのが出来ればと思っています〟として終了。よって次の開催期日は未定である。

カリキュラム検討会は、碓井貞成氏(公益社団法人全国柔道整復学校協会長)、釜萢敏氏(公益社団法人日本医師会常任理事)、北村聖氏(東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授)、樽本修和氏(帝京平成大学教授・一般社団法人日本柔道整復接骨医学会)、長尾淳彦氏(明治国際医療大学保健医療学部教授・公益社団法人日本柔道整復師会)、成瀬秀夫氏(東京有明医療大学柔道整復学科長)、西山誠氏(国際医療福祉大学教授)、福島統氏(公益財団法人柔道整復研究試験財団代表理事)、細野昇氏(呉竹医療専門学校長)、今回欠席の松下隆氏(一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院外傷センター長)が構成員となっている。座長は北村氏が務めた。

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