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『「匠の技 伝承」プロジェクト2023年度第1回指導者養成講習会』開催

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2023年4月16日(日)、日本柔道整復師会会館(東京都台東区)において、『「匠の技 伝承」プロジェクト2023年度第1回指導者養成講習会』が開催され、全国から指導者候補の施術者が参集した。
本講習会では外果骨折・顎関節脱臼をテーマとし、整復・固定施術の合同実技実習と超音波観察装置取扱技術実習が行われた。また、実習後には指導者としての実技評価確認も実施された。

指導者養成講習会
森川学術教育部長

森川伸治学術教育部長は〝我々柔道整復師は医師以外で唯一、骨折・脱臼の手当てができ、医師の代替機能を有しているとも言える。しかし実際には、骨折・脱臼の取り扱いは施術全体の0.1%ほどに留まっている。柔道整復師が骨折・脱臼の施術が出来なくなれば、業界そのものの存続も危ぶまれる。そこで骨折・脱臼の整復・固定技術を継承していくため、47都道府県のやる気のある若い先生方を指導者候補とし、10年計画で講習を行っている。今年度からは全国11ブロックで行う日整主催の学術大会でも骨折・脱臼の整復固定およびエコーの実技実習を行う予定だ。また、今日は指導者評価も行うが、これは先生方の技術力を問うものではなく、指導者としての指導力を身に付けてもらうためのものと理解していただきたい〟と改めて趣旨説明をした後、指導者評価確認方法について説明を行った。

合同実技実習

実技実習に先立ち、講師の佐藤和伸氏・山口登一郎氏から実技評価ポイントが解説された。

佐藤講師

佐藤講師は、外果骨折のエコー画像描出操作のポイントについて〝外果は横から見ると、前方に丸みを帯びた形だとイメージしてほしい。腫脹があるとプローブが密着しやすいが、健側を観察する場合や特に痩せ型の人の場合は凹凸があるため、描出しにくければエコーゼリーを多めに使用する。外果から中枢に向かったら短軸走査を行う。中枢から末梢にプローブを移動すると線状高エコーが骨折箇所で離断する。つまりその離断を追えばどの方向に骨折線が入っているのかが明確にわかる。プローブは発信機であり受信機であるため、プローブでいかに垂直にエコーを拾っていくかが重要となる。画像が鮮明である場合はエコーが垂直に入っているということ。前距腓靭帯の観察では左が腓骨、右が距骨、その間に見えるのが前距腓靭帯となる。低エコーで写る場合もあるが、輝度を上げると見やすくなる。前距腓靭帯を観察する場合は前方引き出しテスト、踵腓靭帯の場合は内反ストレステストを行う。直接靭帯を見るというよりは、関節の動きを観察することが重要〟等、リアルタイムで観察が可能なエコーの強みを活かすよう指導した。

山口講師

山口講師は、外果骨折および顎関節脱臼の整復・固定技術のポイントについて説明。
〝外果骨折の場合は、整復時の持ち方が非常に重要。踵骨部を掌に上手く当てる。外果に指が当たるようにして、内反気味に牽引する。そのまま力を緩めずに手掌を外果部に当て、母指球あるいは手掌で押し込む。固定に関しては、持続的な圧迫が褥瘡に繋がるおそれがあるため、踵骨にあたらないように少し浮くくらいのイメージで固定具にカーブを作る。足底部にも軽くアーチを作る。肢位は自然肢位とする。クラーメル金属副子は、患部と同じ幅か若干狭い程度とする。幅が合っていないと患部との間にスペースが空いてしまい、整復しても中でグラついてしまうため、適当な幅の副子を使うことが非常に重要だ。顎関節脱臼については今回は口外法で整復する。まず術者が正座をして、患者の後頭部を術者の大腿部の上に乗せる。下顎角に両母指球を引っ掛けるようにして下方に押圧する。固定には投石帯を使用する。切込みをいれた部分を頤部に当て、上方の包帯を前から頸部に回して前額部で止める。下方の包帯は耳介の前方を通って頭頂部で結ぶ〟と実技でしっかり解説。そのうえで〝指導者となる先生方は当然この固定法は身に付けておかなければならないが、患者自身で再現できるものではないため、患者には自身で付け外しが可能な固定法をレクチャーしておくことも大切〟等、指導者育成という視点だけではなく、あくまでも一人の施術者として患者利益を考えることの重要性も説いた。

合同実技実習では講師が各受講者の実技を細かく確認し、指導を行った。

その後、都道府県毎に指導者評価が行われた。整復・固定やエコー機器操作の技術のみならず、説明対応力も評価の対象となるため、施術者は一つひとつの動作を説明しながら丁寧に行う必要がある。総合評価は整復固定とエコーで区別され、評価が芳しくなかった受講者については再確認が行われる。

森川学術教育部長は〝若い先生から地域の医師との連携が取れず、せっかく来てくれた患者が医科に行ってしまったという話も聞く。まずは来ていただいた患者様に対し問診・視診・触診を行い、その上で評価を的確に行い整復・固定を施して医科に送るということも、医科との信頼関係を築くうえで重要となる。日々の施術で大変だと思うが、この実技講習だけで終わるのではなく、コツコツ地道に積み重ねて確実に技術力をアップさせていただきたい〟と総括した。

富永敬二匠の技伝承プロジェクト推進室長

最後に、富永敬二匠の技プロジェクト推進室長は〝骨折・脱臼で来院される患者は少ないかもしれないが、来院された時には確実に対処できる力をつけておかなければならない。若い世代の先生方にもしっかり指導していただけるよう期待している〟と締めくくった。

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