HOME トピック 柔整小委員会で厚労省が療養費改定運用面の質問に回答

柔整小委員会で厚労省が療養費改定運用面の質問に回答

トピック

平成25年5月9日(木)16時より、参議院議員会館B107会議室において「民主党統合医療を普及・促進する議員の会 第21回柔道整復師小委員会」が開催された。(参加業界団体13団体)

冒頭、事務局長の大島九州男参議院議員より〝先程の総会にて、統合医療を普及・促進する会の会長に民主党政調会長でもある桜井充参議院議員が新しく選任された。小委員会の新しい委員長は後日新しい会長の下で決定し発表する〟と人事構成について報告があり、続いて行なわれた参加議員や厚生労働省による挨拶を経て、厚生労働省保険局医療課・竹林経治保険医療企画調査室長により、柔道整復療養費改定の経緯や内容について説明がなされた。

説明後は、事前に柔整小委員会より提出された療養費改定の運用面に関する質問事項と、小委員会に参加した柔道整復師より挙げられた質問に対し、厚生労働省が回答するという形で会が進行された。

下記がその質問事項と厚生労働省の回答を抜粋したものである。


打撲・捻挫の施術について、3ヶ月を超えて頻度の高い施術を行う場合に、支出申請書に、負傷部位ごとの経過や頻回施術理由を記載した文書の添付を義務づける。

質問1
「長期頻回施術理由」・捻挫について平成23年3月3日の「柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料」における問20の負傷原因のように、長期頻回施術の理由についても具体的な記載例・参考文献はあるか。

回答
今のところ記載例などはない。負傷部位ごとに頻度の高いものに対してなるべくわかりやすく記載するようにお願いしたい。

質問2
長期施術継続理由と長期頻回施術理由の区別が曖昧なため、具体的に記載することが困難になっている。長期施術継続理由と長期頻回施術理由の差異はどのようなものか。また、その記載を求められている捻挫の定義が曖昧で、保険者側では「なんでも捻挫として提出してくる。」と問題視している。厚生労働省側で明確に捻挫の定義を教えていただきたい。

回答
長期施術継続理由は従来通り3ヶ月を超えて施術が必要となる場合の理由等を記載し、長期頻回施術理由については3ヶ月を超えて施術が継続し、尚且つ1ヶ月間の施術頻度が高い場合にその理由を部位ごとに記載する。ただし運用上両方を記載してもらう事は想定していない。すなわち長期頻回施術理由を書く場合には、従来の長期施術継続理由は書かなくてよいと考えている。捻挫の定義に関しては、私共より皆さんの方がよく理解されていると思う。行政が口を出すことではなくプロの皆様方の認識だと思う。

質問3
月10~15回以上の施術を頻回とするならば、保険者が月10回以上と判断し施術者団体が月15回以上と判断した場合に、返戻事務処理等保険者との間で無用なトラブルが生じる可能性が高いと考えるがどのように思われるか。

回答
昨年3月の患者照会において重点的に患者照会をかける場合の目安として、頻度の高い施術とされる場合の目安を10回~15回と幅を持たせた形で示していることとの整合性という観点から、このような形で示している。例えば、施術回数が月10回を超える場合には、確かに解釈の違いなどはあるが、そもそも10回を超えてくると保険者から患者照会が行なわれる可能性が非常に高くなるため、積極的にその理由を記載した方が無用な患者照会を避けられるということもあると思う。結果的にはむしろ患者照会をしなくて済み、療養費の早期支給に繋がるということで、積極的に対応していただけると良い面もあると思われる。

質問4
施術回数とは、初検から数えるという事でよいか。

質問5
例として、①2月1日に負傷⇒3月1日が2ヶ月目⇒4月1日が3ヶ月目⇒5月1日が4ヶ月目(3月を超える=長期施術継続理由書が必要)となり、5月1日~31日までの間に頻回施術となれば、長期頻回施術理由が必要となる改正部分については理解する。以下のケースの場合②2月15日に負傷⇒3月15日が2ヶ月目⇒4月15日が3ヶ月目⇒5月15日が4ヶ月目(長期施術継続理由書が必要)となる場合で、5月の施術日(来院日)が1日、3日、5日、7日、9日、11日、13日、15日、17日、19日と10日間の来院であったとして、(仮に頻回の定義を10回とする。)3月を超えて施術している日は存在するのが(15日、17日、19日)、3月を超えた後の頻回施術に達していない(上記3日間のみ)場合でも長期頻回施術理由が必要となるケースに該当するのか。

質問6
「3ヶ月」という期間の考え方は長期施術必要理由と同様の暦月でしょうか。下記のケースでご回答ください。「初検日4月12日」「長期施術理由の記載7月12日~」このような場合の、長期頻回施術理由の記載が必要な場合は、どのような状況でしょうか。必要理由記載回数を10回と設定した場合。例①7月1、4、8、10、12、15、20、22、26、30。例②7月1、2、3、4、5、6、8、9、10、11。例③7月12、13、15、16、18、19、23、25、27、30。例④7月8、9、11、16、18、21、26、8月2、8、11。例⑤7月13、15、16、18、21、22、25、8月2、6、9。※例④⑤の7月療養費支給申請書に頻回施術理由記載の可否

回答
質問4、5、6というのはほぼ同じ趣旨の質問だと思うので、質問6を引用して説明させていただく。基本的には施術が頻回かどうかは、歴月の間での施術回数で判断されるものと考えているが、『3ヶ月を超えて』という場合のその3ヶ月の期間の考え方に関しては、従来の運用と同じように、初検の日から3ヶ月という考え方をとっている。この質問の例に照らし合わせると私共が想定しているのは、例③に上がっている7月12日の3ヶ月を超えた段階から7月の月末までの間に10回~15回という形の頻回施術を行なう時は、その頻回施術の理由を書くケースに該当すると考えている。8月以降に関しては歴月ごとに月初から月末までの回数での判断を考えている。ただ、例①のように7月1日~30日までの間に10回を超える場合は、受領委任の協定のルール上は理由は書かなくて良いということになるが、依然として保険者の患者照会の対象となってくる可能性は高いと思われるので、積極的にその理由を記載した方が早期の支給に繋がるという考え方もある。ルール上では、3ヶ月を超えてその月の月末までの間に頻回であればその場合には理由書を書く。そうでなければその月は書かなくても良いということである。

質問6-②
質問6のところで例③が正しいという話があったが、例③で頻回施術の理由書の添付がないために返戻があった場合、厚労省の方は例③が正しいという事を提示していくのか。

回答
例えば例①であれば理由書がないから返戻がされるというのはおかしいということになる。

質問6-③
質問6では例として必要理由記載回数を10回と設定した場合と書いてあるが、こういったものが保険者さんから厚労省に質問等があった場合、例えば10回という話をしてしまうと、多分保険者さんは10回で返戻にしてくると思う。各々の団体や施術者の扱いは15回として記載をしなかった場合、これは非常に困る。頻度が高い施術として示しているのが10回~15回なのに、一方的に保険者さんが言われる10回を認めなければいけないのか。10回や15回ということは今後非常に大きな問題になると思うが、どう対応したら良いか。

回答
私共は10~15回と過去の経緯等から幅を持たせており、その取扱いを維持したいと考えている。少なくとも今のところ10回や15回という線引きはしない。例えば質問6のような形で提示をすると10回で決まりだという誤解を生じるのではないかということだが、仮にこのようなものを解釈として出す場合には注意をしていきたいとは思う。10回を超えてくると患者照会が増えてくると考えて現場で対応して欲しいというのが私共の考え方である。保険者さんが返戻してくる主旨は、どういう理由で長期かつ頻回なのかということだと思う。もしそこで施術者さんが、ルール的には了解だと考えているから理由書を書かないということは問題ないと思われる。療養費の基本的原則に戻って、最後は保険者さんに必要性をしっかりと認識してもらい療養費を支給してもらうということに立ち返っていくと、必要に応じてこういう理由だと説明すればスムーズに療養費が支給されるのではないかと思う。

質問7
「適要欄」に記載する場合にはスペースの問題上、申請書裏面に記載する時と同じく長期継続理由と長期頻回施術理由の表題を分けて記載する事が難しい為、従来通りの記載でよいか。また、申請書の施術証明欄に捺印がある為、押印の必要は無しとの解釈でよいのか。

回答
基本的には所定の書面で書いてもらうことを想定しているが、請求書の適要欄に記載も構わない。この場合に押印の必要はないということでよいかというご質問だが、継続理由を適要欄に書いてもらう場合には、その為に特別な押印を求めることになっていないので、これは従前通りの取扱という事で理解して欲しい。

施術者が経済上の利益の提供により、患者を誘引することを禁止する。

質問8
「柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料」(以下疑義解釈資料とする)の問3に「経済上の利益の提供」の実例として、「温泉旅行のプレゼント、商品の配布等の経済上の利益の提供により患者を誘引・・・」とあるが、例えばボールペン等の品物を配布せずに、施術所においておくことは患者さんを誘引する行為となるか。またこの誘引行為を実際に調査するのは誰か。

回答
状況次第ということになるが、ボールペン等を患者さんを誘引するという目的で置いておくというのであれば、患者さんを誘引する行為に当てはまると思う。ただボールペンを置いてあるからというだけで誘引とはならないと思う。また誰が調査するかということに関しては、受領委任の協定、取扱規定について指導監査をする立場と同じく、中央厚生局ないし都道府県となる。

質問9
整骨院での保険外収入(自費治療、物品販売)に対する割引等の行為自体を禁止するということか。もしくはクーポン券の発行や広告、DM等で患者を誘引する行為を禁止するということか。また、回数券の購入特典有無により誘引可否が決まるか。

回答
今回の運用の見直しは、あくまで保険が適応される施術についての療養費の改定や運用の見直しという事である。少なくとも保険が適用されないものについては対象範囲外である。

質問10
ポイントカードの発行は会員の誘引とみなされるか。

回答
ポイントをどのような場合に付与するか、付与されるポイントがどう使われるのかということを含めて考えないと一概にどうとは言えないが、基本的に考えると患者を誘引する行為か、そうでなくても例えばポイントをためた分窓口負担が減免されるということであれば、元々禁止されている一部負担の減免に該当する可能性は相当高いと思われる。

質問10-②
ポイントカードではないが、一部負担金をVISAカードなどで払っているケースがある。そうするとVISAカード自体にポイントが付くが、その場合はどうなるのか。

回答
これは報道などでご存じかと思うが、調剤薬局で薬を処方した時の一部負担をクレジットカードで払うとポイントが付くということが問題になっている。引き続き検討中となるが、とりあえず現時点ではクレジットや電子マネーは支払いの利便を向上させるという目的で、しかもポイントは薬局が付与するわけではなくクレジット会社が付与しているというのが基本になるので、これはやむを得ないというのが現行である。

質問11
患者を紹介していただいた方に、何かしらのプレゼントをお渡しすることは、この禁止事項に該当するか。(患者当人ではなく、あくまで紹介いただいた方に対する場合)

回答
新設した誘引禁止のルールというのは、明確に患者さんを誘引してはならないということで、そのルールとの関係で駄目だとはならないと思う。しかし公的医療保険の適正な運用観点からは、患者を誘引する行為と同じくふさわしくない行為だと思われる。

質問12
「禁止」をやぶった場合の罰則はどうなるか。

回答
受領委任の協定あるいは契約等で定められている全般に関することと同じであるが、違反した場合はまず指導、その先に監査の対象になり、結果として受領委任の取扱いの中止になることもありうる。これは新しく作ったルールだからということではなく、全般的な取り扱いとしてそういうことになる。

支給申請書における患者が署名すべき欄に、施術者が代理記入するのは、「やむを得ない理由がある場合」であることを「やむを得ない理由」の例示とともに、受領委任の協定等に明記する。

質問13
字の書けない幼児はこの理由に含まれるか。また、どこまでの年齢は代筆可と無条件で認められるのか。

回答
字の書けない幼児というのはやむを得ない理由に含まれるだろうと思われる。またこれらの場合も患者さんサイドに代理記入を同意していただく必要があると思う。尚、一律に年齢を設定して代理記入を認めるということは考えていない。ケースバイケースで常識的に判断していただくことだと思う。

支給申請書に患者が記載する事項として、郵便番号、電話番号を追加する。

質問14
疑義解釈資料の問6に「郵便番号・電話番号を記載することについて、患者の了解を得ているのであれば、印字で差し支えない」とあるが、手書きで療養費支給申請書を作成する場合は、患者様の了承があれば代筆にての記載でも差し支えないか。

回答
患者さんの了解を得ているのであれば施術者が書いても構わないと考えている。

質問15
患者に記載を求めるならば、郵便番号、電話番号を記載させる利用用途を施術者が説明しなければならないが、何の目的で書くのか尋ねられたならばどのように答えればよいのか。また、氏名や続柄に加え、電話番号情報まで多くの第三者の目に触れることになることから、オレオレ詐欺等に使用される危険性等を考えるとあまりにも問題がある取扱いである。実施を見送るべきではないか。このような取扱いであれば必須の記入事項ではないと解釈してよいか。

回答
先程も言った通り、保険者さんが必要な場合に被保険者の方々に対し照会を円滑に行えると、それがひいては療養費の早期支給に繋がると思われる。そういう趣旨でお願いするという事であり、施術者さんが患者さんに書くようにお願いはしてほしい。結果として個人情報だからと理解が得られず、記入できない場合は記入がないままで請求書を出すこともやむを得ないと考えている。

質問16
被保険者等の郵便番号、電話番号の記載について、遠隔地に住む被扶養者が受診した場合においても、同様に被保険者の郵便番号・住所・電話番号を記載すればよいのか。また連絡先の電話番号が携帯の場合であっても、患者ではなく被保険者の電話番号を記載すればよいのか。

回答
元々被保険者の住所を書くことになっているので、被保険者本人の郵便番号、電話番号、電話番号は携帯電話として使えるものについても記載をお願いしたい。

質問17
厚労省Q&A別紙にある「治療をうけるときの注意」について、3段落目に支給申請書の受取代理人欄(住所、氏名、委任年月日)に原則患者の自筆による記入が必要となると記載されているが、「①住所については住所欄に印字記載(郵便番号や電話番号も同じ欄に印字)で差し障りない。」「③被保険者の氏名を患者の自筆にて頂戴する。」とあるが、委任年月日についてこちらも従前通り、最終来院日を印字記載で差し障りないか。それとも、白紙委任を止めさせるため、必ず患者の自筆にて記載が必要か。後者の場合、署名する日が必ずしも最終来院日ではなくても返戻対象にはならないのか。

回答
住所欄の印字については支給申請書の住所欄に住所のほか郵便番号、電話番号を記載・印字してもらうということで構わない。受取代理人欄の委任年月日については、従来通りの取扱で構わないと考えている。

質問18
「住所」欄に住所が印字されている事において、郵便番号は住所から簡単に割り出すことが出来る情報と捉え、郵便番号を印字することは患者の了解を得ていると考えてもよいか。

回答
一応個人情報の一部なので患者さんの了解を得て記載をしてもらうようにお願いしている。

質問19
患者が受取代理記入欄に電話番号を記入してしまった場合は問題ないか。

回答
支給申請書上、患者さんが名前を書くような欄がふたつあり、違う方に電話番号を書いてしまったらどうかということだが、電話番号や郵便番号が記載されていること自体が重要だということで、欄を間違えてしまってもそれは仕方がないと考えている。

質問20
「郵便番号・電話番号の記載がないことのみをもって不支給とする取扱いはしないもの」とは、返戻も含むと考えてよいのか。また、返戻される場合に備え、申請書欄外に「郵便番号・電話番号の記入がない場合は、記入を求めた結果、患者の理解が得られませんでした」等の印字を行なってよいか。

回答
返戻を含むと考えているので、私共としてはその記載がないから返戻するという取り扱いは想定していない。また申請書の欄外にそのようなことを記載するのもひとつの方法だと考えている。


今回の小委員会では、療養費改定の運用面に関してかなり細かな質問が厚労省側に投げかけられた。必ずしもすべての回答が納得のできるものではなかったが、柔道整復師の疑問に対し直接厚生労働省が対応したことは評価できるのではないだろうか。このような質疑・応答が、今後は保険者ともできる日が来ることを期待したい。

Visited 34 times, 1 visit(s) today