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第23回柔道整復師小委員会が開催される

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平成25年12月11日(水)16時より、衆議院第2議員会館第3会議室において、「民主党統合医療を普及・促進する議員の会 第23回柔道整復師小委員会」(以下、柔整小委員会)が開催された。(業界団体24団体、厚生労働省関係者3名、マスコミ4社参加)

年内最後の開催となった今回は、まず厚生労働省が平成25年11月22日付事務連絡『「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」のお願い』の発出に至った経緯を説明し、それにより改善された保険者作成のパンフレットの具体例を紹介。その後、事前に各団体から事務局に寄せられた質問に対し、厚生労働省が回答するという流れで進められた。その他に消費税率引き上げにおける療養費改定に関し、前回の小委員会での議論を踏まえ、厚生労働省に要望書を提出するとの報告がなされた。厚生労働省からは保険局保険課健康保険組合指導調整官・勝見光夫氏同課国民健康保険指導調整官・白根史貴氏同局医療課療養指導専門官・木山文彦氏が列席した。

平成25年11月22日発出の事務連絡『「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」のお願い』の説明と、既に改善された保険者パンフレットの実例紹介

まず勝見氏から〝平成24年3月に保険者に対し、療養費の適正化にご尽力いただきたいということで「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」と題した通知を出したが、保険者の患者照会の実施にあたり行き過ぎている表現があるという意見もあった。そのため、今年3月に事務連絡「「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」の適切な実施について」にて、被保険者及び施術所等の負担の軽減、また支給決定までの迅速化、及び手続きの公平さを考慮するよう促した〟とし、さらに今年11月の事務連絡では明らかに行き過ぎた内容のパンフレットを例示し、重ねて適正化への取組の主旨を示したと、平成25年11月22日付事務連絡『「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」のお願い』発出の経緯が説明された。

また、実際に厚生労働省の指導によって改善されたパンフレットも紹介された。

各団体からの質問事項に対する回答

保険者のHP、パンフレット、リーフレットの記載について

(質問)
全国健康保険協会HP上の『柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方』の「健康保険は使えません(全額自己負担になります)」に「スポーツによる筋肉疲労・筋肉痛」という記述があるが、筋肉痛とは正に筋肉が痛むという症状を表現する言葉であり傷病名ではない。この様な記述を見た国民が、捻挫・打撲・挫傷を負い、それらに付随する腫脹・発赤・筋肉痛等々の症状が出たとしても、健康保険を使っての柔道整復師の施術を受けられないと誤った判断をする恐れがある。この点について、厚生労働省の見解を伺いたい。

(回答)
この部分については質問の通りだと思っている。筋肉痛については表現を改めるよう指導を行なっている。

(質問)
全国健康保険協会HP上の『柔道整復師にかかる場合の注意事項』の「ついでに他の部分も」とか「家族に付き添ったついでに」といった「ついで」の受診は支給対象外です。」という記述があるが、例えば、下記の場合についての厚生労働省の見解を伺いたい。

  • 足首を挫いた患者さんが、「5日ほど前に転倒して路面に手を突いた時、手首を痛め自分で湿布を貼って様子をみていたが、まだ痛みが取れないので手首もついでに診てくれないか」等で施術を求められるケース
  • お子さんに付き添った母親から「2、3日前、バレーの試合中強いレシーブをした時、左肘にショックを感じ挫いたが、まだ痛むのでついでに診てくれないか」等で施術を求められるケース

(回答)
言葉が足りなかったかもしれないが、このような場合ではなく、あくまで「ついで」でマッサージ代わりに受診されるのはやめていただきたいというつもりで記載している。質問にある例については健康保険で受診していただいて問題ないと思っている。

二次点検業務委託業者について

(質問)
二次点検業務委託業者が受診者の許可も無く、保険者の指示でもないのに、施術録の複写の提出を求めることや、同じ受診者に照会を繰り返すことにより事実上の受診妨害になっている事実について、厚生労働省の見解を伺いたい。

(回答)
平成24年3月の通知でも今年3月の事務連絡でも、大前提として委託業者への丸投げはよくないと謳っている。また保険者には、被保険者や施術所における負担もきちんと配慮して欲しいという話もしているが、このような事実があるのであれば改善を求めていきたいと思う。

いわゆる白紙委任といわれる問題について

(質問)
平成25年11月22日発出の事務連絡(別紙)に、『パンフレットやリーフレットの作成に当たっては、「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」(平成24年3月12日付医発0312第1号・保保発0312第1号・保国発0312第1号・保高発0312第1号厚生労働省保険局医療課長、保険課長、国民健康保険課長及び高齢者医療課長連名通知)の別添3-1及び3-2を今一度ご確認いただき、加入者に誤解が生じないように・・・』記載されている。しかし、内閣参質168第15号の質問主意書にあるように、いわゆる「白紙委任」については、「柔道整復師の施術所への来所が患者により一方的に中止される場合があること等から、患者が来所した月の初めに署名を行い、当該申請書を作成する場合もあることについては、厚生労働省としても承知している」とある。この矛盾について、厚生労働省の見解を伺いたい。

別添3-2は「療養費支給申請書の内容(負傷原因、負傷名、日数、金額)をよく確認して、署名または捺印をしてください。」と記載。

(回答)
施術内容の確認と受領委任の制度を可能とする署名はいずれも必要であることから、今後現実的な改善方法について検討を行い、改めて提案させていただきたいと思う。

患者照会の実施について

(質問)
国民健康保険法113条並びに健康保険法59条によると、『文章その他の物件の提出若しくは指示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断させることができる』とある。保険者も状況に応じ、職員等による被保険者等への面接・聴き取り等の手段を講じるべきものであり、その回答を以って支給・不支給の判断を行うべきと考える。しかしながら、保険者等が行う被保険者への調査において、文書による回答が得られないものに対し、保険給付の長期保留又は不支給とすることについてどのように考えているのか。理由の如何を問わず不支給とするのは施術者への負担を強いるもので不十分な対応と考えるが、厚生労働省の見解を伺いたい。

(回答)
平成24年3月の通知や今年3月の事務連絡において、支給の迅速化を保険者に求めている。単に被保険者からの回答がないということで返戻にしたり、それを以って不支給にするということはよろしくないと考えている。こういった保険者に関しては指導を行なっていきたい。

(質問)
保険者による患者照会の内容が統一されておらず、患者が判断に困るような表現や照会内容として逸脱しているものがある。また、保険者より返戻がある場合、手書き記載しているものも見受けられるが、施術者側が不快に思う表現もある。これについて、厚生労働省の見解を伺いたい。

(回答)
平成24年3月の通知でも患者調査の手法等で記載例は発出している。それを超えて保険者で対応している部分に関しては、意思の疎通が図られていなかったところがある。今回11月の事務連絡でも再三にわたって改めて確認していただきたいと伝えているが、引き続きこれを逸脱するようなことがあればまた対応していかざるを得ないと思っている。

(質問)
柔道整復師療養費支給申請書に係る返戻の再提出に際して、すでに来院を停止している受診者に対して、受診の事実を確認するための署名を求める記載が見られることがある。連絡が取れない場合など不可能な場合があるが、署名を求める根拠を教えていただきたい。

(回答)
元々この話については、柔道整復師に返戻し、患者の署名をもらうこと自体がどうかと思っている。質問の通り来院を停止している患者に署名をもらうことは到底できないことであって、柔道整復師に保険者がそれを求めることはやはりおかしなことだと思う。この場合は、保険者に「この人は来院していないので署名する事は出来ない」と回答していただきたいと思うが、これを以って不支給にするというのはおかしいので、指導を行なっていきたいと思う。

保険者の点検形式について

(質問)
「柔道整復師の施術に係る療養費の審査支払いについて」(平成25年11月21日付大国保連発第3964号)において、「事後点検形式」と「事前点検形式」の併用処理を予定しており、意向調査を行うと記載されている。膨大な事務作業量に思われるが、療養費の適正化へ向けて取り組んでおられる事は評価させていただきたい。しかしながら、「事前点検方式」を選択した場合、「保険者によって支給決定期間が異なるため、現行支払月より概ね1か月~6か月支払月が遅れます」とあり、施術者側にとっても負担を強いられることになると思われる。これについて、厚生労働省の見解を伺いたい。

(回答)
これは具体的には大阪国保連合会の療養費の適正化に向けた取り組みの一環として、『事後点検形式』と『事前点検形式』の2つの併用の処理の意向調査をさせていただいたと聞いている。仮に『事前点検形式』にした場合、現行の支払いの期間に比べ、1か月から最高6か月程度支払いが遅くなる可能性があるというが、私共としても現行より半年近い遅れというのは、中々理解を得るのは難しいのではないのかと考えている。どちらにせよどちらかひとつで処理をするということは考えづらく、結果として『事後点検形式』を選択するところもあれば『事前点検形式』を選択するところも出てくるのではないかと思う。そうすると現在に比べ事務処理も煩雑になることからシステム的な対応も考えていかなければいけない。支払期間を短縮するには今ある課題を精査し、解消に向けた取り組みを行なうことが現時点では必要でないかと考えている。また支払後の相殺処理の取扱いだが、これは一方的に相殺処理をするのではなく、相殺処理については事前に承諾を得た上で処理を行い、承諾が得られない場合には請求書を送って納めてもらうなどの方法を現段階では考えている。このような課題を解決しながら今後、事前点検の導入、やり方などについても検討を進めて行かなければならないと考えている。


厚生労働省の答弁を受け、大野もとひろ参議院議員は〝今の話を聞いている限りでは真っ当な回答だと思う。しかし真っ当な回答以前に「こんなことがあるのか?」と感じてならない。なぜこのような厚生労働省の見解が保険事業者に伝わっていないのか。保険事業者に伝わっていないから結局事業者が負担を強いられているというのが現状だと思う。厚生労働省の見解を保険事業者に対し制度的に伝わるようにすべきではないのか〟と、周知体制の不備を指摘した他、尾立源幸参議院議員は〝聞けば聞くほど疑問点やおかしな点が浮かび上がってくる。保険者側とも一度話をし、施術事業者、保険者側両方の立場で話が聞けるようにしたい〟と、問題の根本解決の為、保険者からの意見聴取を示唆した。

参加した柔道整復師からは療養費の相殺処理について〝療養費は国民健康保険の場合、被保険者の属する世帯主の請求に基づいて世帯主に対して支払われる。そのため被用者保険では通常業務として、事後点検において問題が発覚した場合はその世帯主に返還を求めるという作業が行われているが、国民健康保険においては施術を受けた被保険者の属する世帯主に返還を求めるのではなく、同じ柔道整復師が施術を行なった他の被保険者に対して支払われるべき保険金で相殺処理をしている。法令上あり得ないことではないか?〟と厳しい指摘が飛んだ。この問題の解決策としては〝例えば補償金供託制度というものを立ち上げて、単純な請求のミスによる過誤調整はそこで相殺すれば良い。もし不正請求など支払ってはいけないケースが判明した場合は返還請求をして取り戻す〟と具体的な提案がなされ、厚生労働省も〝どういう方向で取り組んでいけばいいのか、意見を伺いながら進めていきたい〟と、柔道整復師の意見も取り入れた制度構築に前向きな姿勢を示した。

また白紙委任の問題については〝療養費だから白紙委任という問題が起こっており、これが仮に現物給付であれば起こらない。この際現物給付として扱い、委任という行為そのものをなくすくらいの抜本的な改革をしてもらいたい。それができないのであれば現物と現金の違いをはっきりして欲しい〟との柔道整復師の要望に対し、厚生労働省は〝検討の後、妙案が提示できないか考えさせていただく〟との回答に止めた。

この他にも〝悪質な広告宣伝で集客をしている整骨院に対し、行政として厳しく指導しルールを守らせてほしい。このままでは真面目な整骨院がつぶれてしまう〟といった切実な意見もあがった。

また今回は柔整小委員会側より「消費税引き上げにおける療養費改定について」の要望書の原案が提案され、拍手を以ってこれを承認。本日の出席者の名簿を付けて田村憲久厚生労働大臣に提出するとのこと。

最後に大島九州男参議院議員から〝今年は大変な年ではあったが、皆さんのおかげで柔道整復師小委員会も第23回目を開催することができた。来年は制度に踏み込んでいき、一歩ずつ具体的な結果を出せる年にしたい。今後ともご協力いただきたい〟との挨拶があり、年内最後の柔整小委員会は幕を閉じた。

柔整小委員会がこれまで残してきた功績は多大なものである。しかしながらこの業界にはまだまだ解決しなければならない問題が山積している。大島九州男議員の挨拶にもあったように、来年はより制度に踏み込んだ議論が行なわれ、ひとつでも多くの問題が解決されることを期待したい。

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