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柔整小委員会にて業界団体からヒアリング

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平成27年6月2日(火)16時30分より、参議院議員会館B109会議室において、統合医療を普及・促進する議員の会「柔道整復師小委員会」が開催され、委員会メンバーの国会議員をはじめ、業界団体19団体、厚生労働省から医政局医事課医事専門官・相馬大輔氏、同局同課主査・立花慎太郎氏、保険局医療課療養指導専門官・松田芳和氏、同局同課主査・細谷真氏、同局保険課健康保険組合指導調整官・遠藤雅人氏、同局同課全国健康保険協会管理室室長補佐・佐藤基之氏、同局高齢者医療課高齢者医療指導調整官・矢作靖氏、同局国民健康保険課国民健康保険指導調整官・川村博氏の8名が出席した。

はじめに事務局長を務める大島九州男参議院議員より〝柔道整復師小委員会で議論したことの中には、ひとつずつ進めていける部分もあれば遅々として進まない部分もあるが、現場の声を厚生労働省に届けるということに意義がある。柔道整復師小委員会が様々な団体の皆さんが参加しご意見をいただいている唯一の場であると、関係省庁にも理解していただいていると自負している。忌憚のないご意見をいただきながら、国家国民のための柔道整復業界を作り上げるためにご尽力いただきたい〟と挨拶があった。

続いて、予め柔道整復師団体より提出された質問に対し、厚生労働省担当官が回答を行った。


質問患者照会の回答がないことのみをもって、長期保留や返戻、入金をしない、または、患者照会で「白紙に署名のみをした」という回答の文面のみをもって返戻する保険者が存在するが問題ないのか。

厚生労働省回答
どういった理由で保険者がそのような対応をしているのかはわからないが、一般的には問題があると認識している。患者への照会や確認については文書だけによらず電話や面会をする等、丁寧に行う必要があると考えている。問題のある保険者があれば適切に対応するよう指導していきたい。

質問施術所の開業時に保健所等によって受付で必要とされる書類が異なる。全国統一にできないか。

厚生労働省回答
法令上における施術所を開設する際の届け出の事項は7項目ある。過去には柔道整復師免許を偽造された例もあり、不正を防止するために開設届を受理する際に、開設者や業務に従事する柔道整復師の運転免許証の提出および確認をするなどして本人確認を徹底するようにしている。

これに対し、柔道整復師団体からの参加者は〝地域により開設までに要する手続きが違うので、受領委任契約を結ぶ日程が読めない〟と指摘したが、厚生労働省は〝地域により様々な事情があると思われるため一概にどういった在り方が望ましいとは言えず、統一は難しいだろう〟との見解を示した。

質問申請書の署名を電子化することはできないか。

厚生労働省回答
現行の制度では患者の自筆により記入し、怪我などでやむを得ない場合は柔道整復師の自筆により記入し患者より押印を受けるということになっている。電子署名については、中長期的な課題として電子請求化の議論と併せて検討していきたい。

大島議員補足
施術を終えてから署名してもらうことが一番良いが、それができないから白紙に署名をいただいているということは、厚生労働省も承知している。だから来院されたときに柔道整復師の先生に委任するという署名をもらい、次の月に前月分の施術内容を確認し署名をもらうようにする。そうすれば次の月に患者が来院を中止しても最初に署名をいただいているので白紙委任を避けられるのではと、厚生労働省と協議している。

質問(財)自賠責保険・共済紛争処理機構の様に、保険者の支払いにかかる紛争を解決する第三者機関が必要ではないか。

厚生労働省回答
交通事故の場合には過失割合が発生する。柔道整復療養費については損害賠償請求ではないので、自己負担金を除いた部分が支給されるということになる。支給決定のために審査に時間がかかるなどの問題が発生しており、その調整という意味での質問だと思う。紛争を解決する手段というわけではないが、療養費を受給する権利者である被保険者に対しては支給決定が行われた後は権利救済として申立制度が設けられている。しかし保険者に問題がある場合も考えられるので、適切な方法をとるように指導していきたい。

大島議員補足
保険者の対応について厚生労働省に問い合わせている方もいると思うが、その旨は厚生労働省から各保険者にお伝えしている。そして皆さんからいただいた話を通知として保険者に発出し、随時指導している。 大島議員の補足を受け、厚生労働省は保険者に対して発出した通知を紹介し〝患者照会の時期が遅かったり誤解を招く内容のパンフレットを配布していた保険者があったことを鑑み、保険者宛に2つの事務連絡を発出して適正な患者調査をお願いした〟とコメントした。

質問4月27日に実施された財政制度分科会の資料「社会保障制度改革の基本的な考え方」の中に、保険給付範囲の見直しに柔道整復師の給付が含まれている。内容として、料金の包括化、長期や頻回の給付率引き下げ、受領委任払いの実施できる施術所を限定するなど、業界として無視できないものが多数見受けられる。厚生労働省側の見解と、今後の見通しについてお聞かせ願う。

厚生労働省回答
柔道整復にかかる療養費には様々な課題が指摘されているところであり、平成28年の療養費改定と併せて中長期的な視点に立って検討していきたい。

大島議員補足
実態が分からないのに議論を進められるのが一番困る。厚生労働省には財務省と話し合ってほしい。今回財政制度分科会において出された「長期や頻回の給付率引き下げ」や「料金の包括化」などは削減したいがための案だ。 受領委任払いを利用できる施術所とできない施術所をわけるという案については、今の資格制度で何の基準もないまま振り分けることは現実として難しい。受領委任ではなく直接請求できるような制度に作り変える、実務経験を積まなければ保険取扱いが出来ないなどの抜本的改革が必要ではないか。

質問所謂スポーツ障害―テニス肘・野球肩等々―の亜急性外傷(亜急性捻挫)も療養費の支給対象となるか?“肩こり”の症状を訴えて来院した際でも、柔道整復師によって亜急性外傷に該当すると判断し施術した場合は療養費の支給対象(保険取り扱い)になるか?

厚生労働省回答
スポーツ障害や肩こりというのが医学的に見てどの範囲か判りかねるが、療養費の支給対象は急性・亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲および捻挫、ならびに急性・亜急性の介達外力による筋・腱の断裂となっている。亜急性は「急性に準ずるもの」と示している。

柔道整復師団体の参加者からは〝柔道整復師は亜急性外傷は反復して起こるものとして認識している。また肩こりは症状であって、例えば交通事故でむち打ちになったとしても、1週間も経てば患者は肩こりだと感じる。症状で捉えるか、傷病名で捉えるかということもはっきりさせてほしい〟との意見が上がった。

質問昨年度から保険組合の拠出金の負担割合を高くする代わりに療養費の審査を外部委託する際は援助するといわれているが事実か。事実ならば理由を教えていただきたい。

厚生労働省回答
このような事実はない。本来であれば保険者が行うべき業務を外部委託することに補助金を出すということはない。


藤田幸久参議院議員は〝現場の生の声を国会や委員会で出していくと関係省庁も対応せざるを得ないし、動きやすい〟とし、議論の早い段階で現場の意見を反映させることで、その後の改革もスムーズに進むことを示唆した。

最後に大島議員は〝現場の声を関係省庁にしっかり理解してもらい、できるだけ皆さんにお会いしながら進めていきたい。少しずつではあるが前に進んでいる。ここで答えられない質問についても個別に対応するので遠慮なくご相談ください〟と述べ、終了した。

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