民進党 柔道整復師小委員会が開催!
2016年5月12日(木)午後5時、参議院議員会館B104会議室にて「柔道整復師小委員会」が開催された。
小委員会を始めるにあたって事務局長の大島九州男議員が〝厚生労働省から12名の審議官にご参加頂いています。濃い内容のやり取りをさせて頂こうということです。先日、参議院決算委員会において柔道整復師の今後について厚生労働大臣から「今後の柔整の在り方については深く議論して広く意見を頂きながら進めていかなければならない」との答弁もあり、それも含めて皆さんのいろんな意見を聞かせて頂こうという思いで開催します〟と挨拶。
厚生労働省大臣官房審議官より〝柔道整復師の問題についてこれまでいろんな指摘があり、非常に残念な事件もありました。厚生労働省として口はばったい言い方ですが資質の向上という切り口からカリキュラムの問題、資格の問題など検討部署を設けて議論を深めさせて頂いています。問題は入り組んでおり、経緯もありますが幅広い観点からいろいろな形で議論をすべきではないか。私どもいろんな検討を進めながら視野として多く心がけながら今後進めさせて頂きたい。資料に基づいて医政局、保険局から報告します〟と話した。
厚生労働省保険局医療課・担当官は〝平成24年に厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の下に柔道整復療養費検討専門委員会を設置、平成28年3月29日に開かれた第4回「柔道整復療養費検討専門委員会」の経過報告で〝中・長期的な視点に立った療養費のあり方について検討を行うとして柔道整復の施術に係る療養費に関する現状と課題、1.柔道整復の施術に係る療養費の概要、2.支給基準に関する課題と論点、3.審査に関する課題と論点、4.長期・頻回・多部位対策に関する論点、5.施術管理者の要件に関する課題と論点、6.指導監査に関する課題と論点、7.請求に関する論点、8.その他の課題と論点、9.療養費詐取事件の特徴と論点を提示、議論しました。2番について、明確化をはかり統一的な支給基準を維持すべきといった議論を頂いています。「適正な請求」について、柔整審査会で、解釈が曖昧だと指摘される事例を整理してはどうか。支給基準の審査の在り方についても非常に大きく関与するところであり、審査に関する課題と論点では、柔整審査会、施術所に対する調査権限がないことが課題であるという意見に関連して「適正な請求」についての個別事例を整理して共有してはどうか。柔整審査会の権限の強化、重点的・効果的な審査を行うための作業に着手してはどうかといったことを論点として挙げています。4番について、昨今では部位転がしといった点に問題ある請求がシフトしているという現状を踏まえ、こちらの対策強化が必要ではないか。他には施術管理者の要件、指導監査等、療養詐取事件等についても夫々課題と論点を明記しています。時間の関係で説明できないが配布資料をご覧頂きたい。また明日(5月13日)第5回の検討会を開催し、今後更に議論を深めて取りまとめていきたい〟等、報告。
続いて医政局医事課長は〝昨年の12月11日より議論を開始しています。柔道整復師の学校養成施設のカリキュラム等について平成12年以降大きな改正を行ってこなかったが、養成施設数が増加して柔道整復師の資質の向上が求められている。検討内容は、「柔道整復師学校養成施設指定規則」・「柔道整復師養成施設指導ガイドライン」の見直しであり、総単位数の引上げに係る最低履修時間数について、資質の向上ということで医科のような領域を追加してはどうかという議論。高齢者及び競技者の生理学的特徴・変化、そもそも柔道整復術の適応になるのはどういう状態か、保険の仕組み、職業倫理を受講することが重要である。臨床実習についても卒業期間内でもう少し行っていく必要があり、135時間3単位を追加してはどうか。臨床実習の在り方(臨床実習施設等)については、臨床実習を4単位以上とする場合、養成施設附属の臨床実習施設のみでは十分な症例が集まらないとの指摘があるため、実習先の追加、拡充もあり得るのではないか。また臨床実習施設の要件をどの様に考えるべきか、附属以外の臨床実習施設を医療機関や介護施設に拡げるべきとの意見がある。一方、「柔道整復師のアイデンティティを見失うべきではない」との意見もあるように教育体制の要件をしっかりとしていくべきであるといった意見、提案も頂いている。もう一点、国家試験の改善について、柔道整復師の国家試験は大臣免許であるが、公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施しており、昨年度見直しが始まったところである。同財団において平成27年5月から柔道整復師国家試験改善検討委員会を開催し、28年2月に中間報告が取りまとめられた。必修問題30問を50問に増やし、柔道整復術の基礎や保険診療に関する知識等を入れてはどうか。一般問題は必修問題と重複しないように見直し具体的な出題数は、出題基準案を踏まえて検討する。一般問題の中に、今までは15問程度臨床実習問題が入っていたが、25問位に増やしては如何かという提案がある。28年度中の取りまとめを踏まえ経過期間を経て実際の試験に反映されていくことになる〟等報告。
因みに柔道整復師国家試験出題基準検討委員会の構成メンバーは、以下の通り。
委員長は、(前)柔道整復師試験委員会委員長・中西兼一郎氏、委員は、北里大学名誉教授・相澤好治氏、(公社)全国柔道整復学校協会会長・碓井貞成氏、(公財)柔道整復研修試験財団理事・金森篤子氏、(公社)日本医師会常任理事・釜萢敏氏、(公社)日本柔道整復師会会長・工藤鉄男氏、(一社)日本柔道整復接骨医学会会長・櫻井康司氏、(一財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院外傷センターセンター長・松下隆氏の7名。
大島事務局長は〝皆さんも業界の動きは大体ご存知だと思いますが、いま説明がありましたように大きくいろんなことが進んでいる中で、皆さんの声を反映させて頂くためにこういう話をさせて頂いています。是非質問ご意見があれば〟と呼びかけ、事前に寄せられた「国保連合会の請求について、総括票の様式と請求方法の統一化をお願いしたい。市町村単位で対象年齢や負担金額が異なるためレセプトだけでは請求内容が正しいかを判断することが困難になっている。福祉医療行政を全て償還払いにすることで窓口での対応や福祉医療行政の請求が簡略化できると医療費の適正化を図れる」等、要望内容を紹介。大島議員は〝この件について知事会等に要望し統一を図っていくこともお願いするような扱いをさせて頂こうと思っている〟とした。
参加団体からの意見・要望
参加団体からの意見・要望は、
- U氏
〝1点目は、何度も言ってありますが、国保は過誤調整の名の下に相殺処理を行っている。明らかに法令違反、法律上認められていないことをやっているので、裁判を行い大阪地方裁判所で勝った。それでもかまわずやっている訳で、なんとか正しい運用をはかるべく動く必要があるのではないか。2点目は、社会保険診療報酬基金に療養費の審査・支払い業務を委託することは可能である。健保組合と協会けんぽに通知を出しただけでは動かない。社会保険診療報酬基金での審査支払委託業務が今後どのようになるかの方向性を教えてほしい〟。 - K氏
〝いま国保連合会のマイナンバーの時に新たに療養費を入れる中で、柔整の療養費と医科の使う療養費の違いを明確にしなければ単に一つの療養費で括ってしまうとかなりの部分の誤解やトラブルが出てくる。この部分をハッキリと解釈を出して頂きたい〟。 - T氏
〝亜急性の取扱いについてもう少し踏み込んでキチッと出して頂きたい〟。 - O氏
〝もう一度内容をご精査くださいという主旨の返戻に対して、どのように回答をつけて出せば良いのか。明確にするようしっかりご指導頂きたい〟。 - T氏
〝審査機関の権限の強化を、どういう風に考えていらっしゃるのか〟。
これらの要望・意見に対し厚生労働省担当官から〝国保連合会の請求について、支給申請書の柔道整復術療養費支給申請書様式5号については平成25年4月24日保医発第0424002号通知で、様式を定めている。別の様式を使われている国保連合会、保険者さんには個別に指導をさせて頂いており、使用方法の統一についても実態を調査した上で統一化を検討していきたい〟。〝過誤調整は、どういう着陸をつけていくかについていま検討しているところ〟。〝支払基金について一応出来るかたちになっているが、これから整備していく過程でいろいろご意見を聞いて今後検討していくことになる。返戻については個別にやり過ぎだというのもかなり頂いており個別に保険者に指導してきている。また情報提供頂ければ、行き過ぎのところは私のほうでやらせて頂く〟との回答があった。
また厚労省・審議官から〝今日担当者がこれだけ参っておりますが、この場で即お答えできる部分がないのも申し訳なく思っています。個別にご紹介させて頂くなり、何らかの形でメッセージを出させて頂きたいと思います。今までお話し頂いた中で、制度的なお話で基金に制度を変える、或いはマイナンバーの見通しの中で新しい医療保険を巡る行政システムで法令上の用語が「療養費」一つになっているが、実務的なハードルがあるにしても大きな流れとしてはそちらに向って提供側であれ支払側であれ、法律化するという大きな流れがある。また最近の話で、審査・請求の内容を含めてビッグデータという形で、個人情報についてキチッと保護しながら、事務委託、マイナンバーの活用の中で例えば基金の委託の範囲を拡大するにあたって如何するかは、関係者にどんなニーズがあるかを把握し、丁寧な議論を進めながら方向としてはそちらに行くべきと思っている。マイナンバーについても今ご指摘頂いたように療養費の中での実務の違いだけではなく、セキュリティ問題は実務にのるかどうかも含めて丁寧に対応させて頂きたい。療養費の中にいろいろあるとはいえ、要件或いは医療保険システムとして流れていくお金の流れを「よく見える化」する、ICT化して実務の簡素化をはかり、電子処理になじまない方も現実におられるのも十分に踏まえながら、そっちに持っていきたいという大きな流れを踏まえて対応させて頂きたい。昔からある亜急性の話、外傷性の話も含め、施術側、支払側、医科の先生方を入れてコンセンサスの得られるところや従来紛争のあったところについて、一定の仕切りをして実務的に積み上げていく。或いは明らかにして治めるところに治める、支払審査基準の明確化に対し厚労省がもっと汗をかくべきではないかというのがこれまで関係者のご議論で、役所だけで出来る話ではないが、仕組みとして整備出来るものについては、整備をしたいという方向で取り組ませて頂きたい〟と述べた。
参加団体・TT氏から〝今日の話を厚労省さんが分らなくても仕方がないと思っているが、それで良い訳ではない。医療病名と傷病名、この2つは至急に現代医学に則ったものに改めないと40兆円が60兆円になって潰れる。これは厚労省の責任でやらないとダメで、よろしくお願いします〟。同じくS氏は〝健康保険の取り扱い方という通知が出されており、その通知の最後のところに不正請求、水増しといった文言が多く見受けられる、あたかもそこの接骨院が不正請求や水増しをしているかに受け取られるような通知である。これに対して健康保険組合さんに抗議、訂正要求をしたところ「今後変えていきます」という回答を頂いているが、本当に改善して頂けるのか甚だ疑問であり、厚労省に直接その文章を送らせて頂きたい〟。
大島事務局長は〝私も国会に来て9年目になります。この小委員会でいろんな問題が出されており、根本的な問題がある。皆さんご存知のように国家試験の検討会、療養費の検討会、いろんな検討会があります。昔ながらの骨接ぎの流れで、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷というだけではなく、今いろんな傷病名が出てきている。そういう現実の中で保険者も厚労省もある程度容認できるところは容認しながら済んでいるという、ある意味バランス感覚の中でやっているところがある訳です。これを良心的にやっている人とそれを踏みこえて不正に近い形でやる人、その狭間をどう整理するか、今の制度のままでは難しいというのは皆さんよくご存知です。全ての関係者が意見を出して根本的な問題を解決るよう検討すべきであるということをずっと言い続けてきたが、時を経て、そういうことは必要だと大臣も認識を持って頂いており、与党の先生もそういう認識ですので、業界の皆さんも一体となってそういう議論をしてもらいたい。制度に絡む全ての問題については、広く意見を聞く検討会を行う必要があるということを提案している訳です。根っこを変えなければこの議論は、不正請求、返戻だ照会だのやり取りを保険者との間でずっと続けていくことになる、これは私が国会に来て9年全然変わらない。このままでやっていたらずっと同じことになる、そういうことから脱却しようという時に来たのではないか。きちんとやっている柔整の先生方が立っていくような制度に変えるべきであり、そのためには多くの人の意見を聞いて進めなければならない〟と結んだ。
最後にK氏が〝現在、柔道整復師が増えており飽和状態にある。一方で介護業界が困窮している。柔道整復師はあり余っている訳であり、国のことを考えると介護業界への参入も検討して頂きたい。そのためにはまず柔道整復師に介護に関する知識を教育しなければならない。そのためのカリキュラムを検討して頂きたい〟と要望した。
今回の小委員会出席団体数は、16団体であった。今後の議論に期待したい。
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