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第7回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

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平成28年8月30日(火)、全国都市会館大ホール(東京都千代田区)にて第7回柔道整復療養費検討専門委員会(以下、専門委員会)が開催され、「柔道整復療養費検討専門委員会における議論の整理(案)」および「平成28年度柔道整復療養費の改定」の2つを議題として意見が交わされた。

第7回柔道整復療養費検討専門委員会

はじめに厚生労働省より、前回までの検討専門委員会で議論された内容の整理(案)と政府において決定された柔道整復療養費の改定内容が説明された。 (療養費改定内容の詳細は、『【速報】療養費改定内容が決定!改定率+0.28%』をご覧ください)

「柔道整復療養費検討専門委員会における議論の整理(案)」では、主に▽不正の疑いのある請求に対する審査の重点化、▽療養費詐取事件等への対応の強化、▽適正な保険請求を促すための施術管理者の要件強化等について話し合われた。

不正の疑いのある請求に対する審査の重点化

柔整審査会の権限強化について、三橋委員は〝現在の柔整審査会は、不正の疑いのある柔道整復師を排除するための権限がなく我々も困っている。患者調査あるいは返戻、施術者調査や罰則の強化なども含めて、文書として出して早急に実施するために、できるところから実施していってもらいたい〟と述べ、田村委員は〝審査会の強化は大切だが、統一的な基準を策定する前に、各都道府県に設置されている審査会が設置要綱に沿った運営を行っているのか、審査委員の資格あるいは身分に偏りがないかなどを検証する必要がある。また、受領委任取扱いの中で、1400の健康保険組合があるがそのうち柔整審査会を経由しているのは100程度であり、それ以外の健康保険組合の決定には再審査の道が閉ざされてしまっている〟として、柔整審査会への積極的な参加を訴えた。
伊藤委員からは〝柔整審査会と公的審査会の距離をもっと縮めて、問題行動があったときに情報提供して速やかに対処し、地方厚生局につなげていくという体制を作ることが必要〟との意見も上がった。

田中委員は〝平成10年の福岡地裁による判決以降、柔道整復師が急増し、それにより療養費全体が増加、特に長期・頻回・多部位施術が問題とされ、適正化の対象となった。その結果、施術所数は増加しているにもかかわらず柔道整復療養費は減少の一途を辿っている。平成22年度からの4年間では238億円減少した。この数字を見ても柔道整復療養費の適正化は十分に達成されたのではないか〟としたうえで、〝現在の柔道整復の問題の多くは、審査会の強化や施術管理者の要件強化によって解決できると考えている。柔道整復は、地域に根差した医療のファーストステージにあるということを理解して議論を進めていただきたい〟と主張した。

負傷原因の1部位目からの記載に関しては、相原委員は〝施術録から転記するだけではないか。1部位目から記載することが施術者の負担になるとは思えない〟と異を唱えたが、事務局は〝すべての請求について理由を書くことが施術者の負担になる、それよりも疑わしいところを重点的に審査するほうが効率的に不正を排除できるのではないかとのご意見を踏まえている〟と回答。引き続き議論を深めていくべきとの考えを示した。

療養費詐取事件への対応の強化

白紙署名については、保険者側は〝施術ごとに署名をもらうべきだ〟との意見、施術者側は〝申請書の作成から提出までには1週間程度しか時間がない。その中で患者が再度来院するとも限らず、物理的に難しい〟とし、真っ向から対立する形となった。

患者調査については、萩原委員は〝厚生労働省が示す内容から逸脱した調査も多い。また施術後に長期間を空けてから照会をしても、高年齢の方であれば忘れてしまうケースも考えられる。接骨院に掛からないようにさせるような、受診妨害ともとれる内容の調査もある〟と、患者調査が行き過ぎていると指摘した。

しかし髙橋委員からは〝たいていの患者はこんなものが届いたと柔道整復師に調査票を見せて、柔道整復師が書いてしまっている。患者と柔道整復師が結び付いていてはどうにもならず無意味だ〟と調査の精度を疑問視する声が上がり、患者調査には改善すべき課題が多く見受けられた。

幸野委員は〝厚生労働省には行うべきと考えているものについては、いつまでに何を行うのかというロードマップを策定し次回委員会で示していただきたい〟と要望した。

適正な保険請求を促すための施術管理者の要件強化

施術管理者の要件強化については、三橋委員は〝3年間の実務経験を要件として課すことで、その間に倫理教育を行っていくことができる〟と主張。後藤委員も〝施術管理者の要件強化は必要と考えている。今は支給申請書の書き方について質問してくる人が定期的にいるが、施術者が知識を深め経験を積むことは、適正な請求にもつながり国民の利益になる〟と賛同した。

しかしながら、髙橋委員は〝管理者の要件を強化するのではなく、受領委任を取り扱える施術者を絞るべきではないか。多すぎる施術者の中で不正を見つけ出すのは容易ではない〟と、より厳格な制度への移行の必要性を示唆した。

最後に、政府において決定された療養費改定内容についても議論がなされた。

幸野委員は〝全く理解できない。改定率については、往療料は見直すべきとの意見があったにもかかわらず今回改定に反映されていないのは何故か。不正への対応を示さずにプラス改定だけで終わってしまっては、国民も納得できない〟と強硬な態度を示した。
これに対し、三橋委員は〝往療料については下げることが決定していたわけではない。施術者側としてはマイナス改定は反対だと申し上げている〟と反論した。

田中委員は〝柔道整復を必要としている患者がいることを忘れてはならない。大事なことを見失ってしまう〟と苦言を呈した。これには村岡委員も〝患者の立場を前提として考えるべき〟と同意したが、専門委員会が発足以降、不正請求等に対し具体的な対策が出てこなかったことは問題だとし、〝議論の整理案に書かれていることを実行していくことが重要。地方では、ボランティアや健康教育、あるいは機能回復等の面で活躍されている柔道整復師もいるが、不正には厳しく対応していかなければならない〟と、柔道整復師の役割について認めたうえで不正に対しては適切に対処していく必要があると述べた。

尚、今委員会では厚生労働省提出の「議論の整理(案)」について修文を求める意見も上がったが、議長に一任するとして締めくくられた。

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