第12回柔道整復療養費検討専門委員会開催される
平成29年11月20日(月)、TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール13A(東京都港区)にて、『第12回柔道整復療養費検討専門委員会』(以下、検討専門委員会)が開催された。
【 配布資料 】
- 柔道整復療養費検討専門委員会 委員一覧
- 施術管理者の要件について(案)
資料①:施術管理者の要件について(案)
資料②:受領委任に係る協定・契約改正案 - 柔道整復療養費・あはき療養費専門委員会でのヒアリングについて
- 【参考資料】柔道整復療養費について
今回は「施術管理者の要件について(案)」が主な議題となった。
議論に先立ち、厚生労働省から〝今年3月に取りまとめた内容としては、実務経験の期間については、段階実施の実施状況を踏まえつつ、最終的には3年とすることを軸に検討しており、平成29年度に4年制の学校に入学した者が卒業し、1年の実務経験が可能となる平成33年度までは、既卒者を含め、実務経験を1年、その後の平成34年度、35年度は、実務経験を2年とする「段階実施」を検討している。研修については、16時間以上・2日間程度で実施することを基本として検討している。養成施設及び関係団体に対しては今年6月にチラシを配布し、新制度の導入を周知している〟等、「研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入」の検討状況に関して説明が行われた。
また、〝平成30年3月の国家試験で資格取得後、同年5月末日までに施術管理者となる届出をした者に関しては「限界事例」の対象とし、緩和措置として「受領委任の届出から1年以内に、自身が運営する施術所以外の一定の要件を満たした施術所で、一定期間(7日間)の実務研修をすること」という特例を設けてはどうか〟との提案がなされた。
実務経験に関して
実務経験については、施術者側から〝3年ということで各委員からの了承もほぼ得られていたと思うが、協定・契約の改正案では「一年以上柔道整復師として実務に従事した経験を有する者」とされている。限界事例等が存在することも承知しているが、その点は別枠で注意事項を記載する等で対応し、できる限り3年と明記していただきたい〟と要望が挙げられた。
これに対し、厚生労働省は〝我々としては34年3月までは1年、その後の2年間は2年間と、段階的に3年間の実務経験とするということで、状況を見ながら最終的に3年という方向で動いていきたい。ご指摘の記載方法については検討していきたい〟と述べるにとどまった。
また実務経験証明書(案)に関しても、施術者側から〝注釈として「虚偽の証明を行ったときは、受領委任の取扱いの中止又は中止相当となります」と記載されているが、信憑性を担保する証明書を添付させてはどうか〟との提案があったものの、厚生労働省は〝必要に応じて、地方厚生(支)局に届け出られた勤務する柔道整復師の情報等とも突合を行う。仮に虚偽の証明であれば、受領委任の取扱いの中止又は中止相当という厳しいペナルティを課すことで、信憑性を確保してはどうかというのが事務局の考えだ〟と説明した。
限界事例に関して
限界事例に関しては〝平成29年4月入学者現在在学中の学生も対象となるのか?〟との質問が上がった。しかし厚生労働省は〝少なくともこの改正が決定される前に入学した方に対しては、必要だという事であれば今年度卒業する学生への実施状況を見て、また関係者のご意見も聞きながら検討させていただきたい。様々な事情がある学生がいるので、不利益にならないよう考えていきたい〟と慎重な姿勢を見せた。
また、〝限界事例の特例として7日間の実務研修と記載されているが、1日数時間を7日間なのか、常勤で7日間なのかなど具体的に示されていない。どう考えているのか?〟との質問には、〝一定の時間数を追加で明記するように検討したい〟と回答した。
施術者側からは〝限界事例の対象者への研修は7日間では短い〟、〝請求に携わっていただくためにも14日程度は必要ではないか〟との意見が上がったが、厚生労働省は〝長くなればなるほど多くを学べるということも事実だが、一方で雇用契約とは違って他の施術所にお邪魔して勉強させていただくという形式であるため、期間を長くするのではなく時間数を記載する方向で検討したい〟と、限界事例の対象者が開業しているということを踏まえ、負担が大きくならないように配慮した形となった。
研修カリキュラムに関して
研修カリキュラムに関連して、施術者側から〝(4)安全な臨床(資料① P.12)で「患者の状況の的確な把握・鑑別」、「柔道整復術の適用の判断及び的確な施術」が求められているが、治療するに当たっては柔道整復師なりの診断をする。しかし柔道整復師に診断は認められていない。医師と同じ診断というわけではなく、柔道整復師の業務範囲での診断を認めてもらいたい〟と求めた。
しかしながら有識者からは〝診断は医師が行うものなので、柔道整復で使用するのは適切ではない〟、〝よく「診断権」と言われるが診断は権利ではなく義務であり、医師にはその義務があるが柔道整復師にはない。だから柔道整復師の業務範囲での診断というのは有り得ない〟との意見が上がり、全く相容れない様子だった。
柔道整復療養費・あはき療養費専門委員会でのヒアリングに関して
専門委員以外の団体からヒアリングに関しては、施術者側から〝せっかくここまで纏まってきているのに行う必要があるのかどうか、もう少し検討の余地があるのではないか〟と指摘したが、厚生労働省は〝3月に報告書を纏めて以降、事務局にたくさんのご意見をいただいている。その中で「自分たちにも発言させてほしい」という意見が多くあった。規模の大きな改正を行っているだけに反響も大きい。大きな改正をする際には様々な意見をヒアリングする場を設けさせていただきたいというのが事務局の判断だ〟として理解を求めた。
その他
上記の他、保険者側から〝健保連では各保険者に対しアンケートを実施したところ、4割が柔道整復療養費を償還払いに変えたいと回答した。あはきでは「保険者の適切な裁量」という考え方が厚生労働省から示されたが、柔道整復にも適用されると考えてよいか〟との意見が上がった。
これについては、厚生労働省は〝柔道整復は急性期の怪我でかかるものであり全額自己負担でというのは、患者の利便性の観点からみても負担が大きいということで受領委任が認められてきた〟と述べる一方で、〝ただし受領委任払いは「行政」と「施術者」と「保険者」の三者が了解した取り決めであるので、不正対策を行わなければ協定を結べないという声も存在するということを踏まえて今後ご議論いただきたい〟と今後の展開については明言を避けた。
それでも保険者側は〝利便性を議論する場ではない。不正対策を行っていくうえで保険者の裁量で償還払いにしていくこともあり得るということを認識していただきたい〟と強調し、強硬な態度を崩さなかった。
次回検討専門委員会の開催日程は未定となっている。
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