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第5回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会開催される

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平成31年2月14日(木)、霞山会館(東京都千代田区)にて『第5回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』(以下、広告検討会)が開催された。

第5回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会

前回の広告検討会では各関係団体から聴取した意見をもとに活発な議論が展開されたが、これまでの議論のなかで法的資格を持たない、いわゆる無資格者の広告に関する問題が度々挙げられてきた。これに関連し、第5回目となる今回は消費者庁からのヒアリングとして、景品表示法の概要とその実例が説明された。

消費者庁からのヒアリング

景品表示法について

景品表示法では、品質や価格について実際よりも「著しく」優良又は有利と見せかける表示、「著しく」優良又は有利であると誤認される表示など、消費者をだますような表示を禁止している。
広告表示については自己の商品・サービスについて大なり小なり賛辞を語らないものはないという状況において、ある程度の賛辞や誇張・誇大はやむを得ないと認識しているが、その誤認がなければ顧客が誘引されることは通常ないであろうと認められる程度に達する誇大表示は不当表示とみなされる。

不当表示には大きく分けて、商品・サービスの品質や規格等についての不当表示である「優良誤認表示」、商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示である「有利誤認表示」、一般消費者に誤認されるおそれがある「その誤認されるおそれのある表示」の3種類がある。

規制のポイントとしては、景品表示法は特定の文言や表現を一律に規制しているわけではなく、広告を見た一般消費者がどのような印象を持ち、どう認識するかを社会通念に照らしてチェックをしていく。また、当該表示が誤解を与えるかどうかについては事業者の故意・過失は問われず、不当表示と判断されれば景品表示法に基づく措置命令が行われることとなる。不当表示か否かは表示された一部の文言から判断するものではなく、写真やイラスト、文字の配置など表示の全体から鑑みて判断される。景品表示法上、雑誌や看板、広告等のみならずセールストークなどについても表示として定義される。

一般消費者が適正に商品・サービスを選択できる環境を守るため、「事業者は効能・性能の優良性を示す表示を行う場合、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料をあらかじめ有した上で表示を行うべき」との考え方に基づき、消費者庁は、商品・サービスの効果や性能に優良誤認表示の疑いがある場合、その事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、資料が提出されない場合、当該表示は不当表示とみなされる(「不実証広告規制」)。

景品表示法違反が疑われる場合、消費者庁は関連情報の収集や事業者への事情聴取などを行い、違反行為が認められると違反行為の差し止めなど必要に応じた「措置命令」が行われる。また、課徴金対象行為をした事業者に対しては金銭的な不利益を課す「課徴金納付命令」が行われる。

景品表示法違反の実例について

実際に、小顔矯正を行っている事業者9名について、あたかも施術を受けることで頭蓋骨の歪みやずれが矯正されることにより小顔になり、かつそれが持続するかのように示す表示をしているとして調査が行われた。根拠資料の提出を求めたところ9名のうち7名から資料が提出されたが、当該表示の裏付けとなる合理的根拠があるものと認められなかったため、景品表示法上の措置命令が行われた。

質疑応答

景品表示法の概要に関して

「著しく」社会通念を超えるというものには個人差があると思われるが、どのように判断しているのか。

基本的には個別判断となるが、効果効能を謳っている表示については裏付けとなる合理的根拠があるのかどうかが判断基準となる。また一般消費者が表示をみてどのような認識を持つかが問題なので暗示や間接表現をすれば許されるということではない。最近では体験談等において「個人の感想です。効果を保証するものではありません」等の文言が書いてあれば許されるというような慣習があるが、消費者はそのような文言を見ても、事業者が効果を保証するような表示をしているとそれを信じてしまうという調査結果も出ており、書かれている内容よりも消費者がどれほど信じてしまうかがポイントになる。

不当広告が多数横行しているが情報提供があった場合、どのくらいを調査し、どの程度措置が行われているのか。

平成29年度の実績は、情報提供の件数としては11,000件程度で、信憑性を踏まえて最終的にしっかり調査するのが5~600件程度。その中で措置命令に至ったのは50件だった。情報の寄せ方としては、消費者庁ホームページの情報受付窓口や地域の消費生活センターでも受け付けている。

学問の世界で意見が分かれていて決着を見ていない部分に関してはどう捉えるのか。

科学的結論が出ていない可能性が高いということになると思う。多くの専門家の間で既知の事実であるものは合理的根拠があると考えられるが、学術的に実証されていない効果を標榜するのは誤認を与える恐れが高く危険だと思われる。個別に判断せざるを得ないが、多くの専門家の意見をもとに結論を出すことになる。

有資格者と無資格者の区別について

例えば無資格者として整体院を開業し、広告には「理学療法士が施術します」のように、いかにも理学療法士だから安全だと思わせるような表示をしているケースはどうか。医師法等にも抵触する恐れがあるが景品表示法としては効果が実証さえすれば問題ないということか。

そのような表現だから直ちに違反だとは申し上げにくいが、資格を持っていて効果に裏付けがあるというような表示は、消費者に対し訴求力を高めるものと判断する。権威のある方からしっかり認証を得られていると表示しておいてその事実がない等の場合は優良誤認にあたるという解釈は可能。
効果の実証ももちろんあるが、資格を表示することにより「著しく」他の事業者よりも優れていると感じさせるものであれば優良誤認表示とみなし得る可能性がある。個別の判断になる。

無資格者と有資格者での規制の違いはあるのか。

現状は施術によって得られる効果が問題であり、資格の有無で判断するものではない。有資格者・無資格者で何をどこまで規制するのかというのは申し上げられない。

施術に関して、その施術行為の目的・趣旨を説明するものであっても景品表示法に抵触するのか。また、施術の内容を記載することにより、無資格者であるのに有資格者と誤認される恐れがある表示に関してはどうか。

書かれている内容を消費者が見て何らかの効果を期待するか、誘引されるかということが判断基準となる。有資格者と誤認させる表示については、内容によっては違反となる可能性もあるがやはり個別の判断になる。


最後に、座長は〝患者を守るという観点で、患者に正しい情報を提供するということも広告の要素だと考えている。医療広告ガイドラインが本来持っている思想と景品表示法は方向性としては同じもののように感じた。消費者庁は消費者の安全確保、我々は患者の安全確保ということで広告の在り方を考えていきたい〟として締めくくった。

尚、ガイドラインは当初、年度内の策定を目指すという計画であったが、現状として未だ検討すべき事項が残されているため、次回広告検討会にて改めてスケジュール案や議論の進め方等について厚生労働省から提案がなされるようだ。次回開催日は未定となっている。

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