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第16回柔道整復療養費検討専門委員会開催される

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令和2年2月28日(金)、全国都市会館第2会議室(東京都千代田区)において『第16回柔道整復療養費検討専門委員会』(以下、検討専門委員会)が開催された。

第16回柔道整復療養費検討専門委員会

本検討専門委員会では、これまでの柔道整復療養費検討専門委員会の議論の整理の各項目の状況等についてと、次回柔道整復療養費改定についてが主な議題となった。

柔道整復療養費検討専門委員会の議論の整理の各項目の状況等について

平成28年に行われた検討専門委員会で取りまとめた議論の整理の各項目について、厚生労働省から進捗状況が報告され、それに対し意見交換が行われた。

支給基準の明確化

判断に迷う事例を収集して整理の上、公表することとなっている。昨年事例を収集しており、現在精査中ではあるが275件の事例があった。近接部位の算定や部位転がしに関すること、長期施術の算定等の事例が多く寄せられている。今後、整理・分析し、優先度を考慮して専門家の意見を伺いながら公表していきたいと考えている。

保険者側:公表までに1年以上かかるのは遅すぎる。令和2年上期くらいには公表していただきたい。

施術者側:収集した事例のなかには現行のルールで判断できるものも多いのではないか。早く公表できるように協力していきたい。

患者が施術・請求内容を確認するための取り組み

患者が請求内容を確認できていないことが不正の根本原因だという意見がある一方で、柔整審査会の権限を強化したためこの結果を見て判断してもいいのではないかとの意見もある。そのため、施術者のコストなどを考慮し、現行発行されている領収書または明細書を活用して、負傷部位等の記載を追加するなどして、領収書または前月分の明細書のどちらかを発行することができないかと考えている。

施術者側:柔整審査会の面接によって不正も減らせると考えているが、面接が進んでいないのが現状。柔整審査会を活用するようにと事務連絡を発したのに、実際に面接確認をしているケースは少ない。

保険者側:患者が施術内容を確認することと柔整審査会の権限強化はどう繋がるのか。審査会の権限を強化したとしても、それとは別に患者が請求内容を確認できる仕組みも作るべき。

施術者側:両方とも大切だが、個別事案で見ていても良くならない。大枠で対策を行うべき。

保険者側:領収書では請求内容はわからず、実際には違った請求が行われている場合もあるため仕組みとしては不十分。事務局案のような明細書の発行ではどうか。

施術者側:一人で施術を行っている施術所も多く、療養費も減少するなかで人を雇うこともできないため、明細書の発行や月末に署名をもらうことも実際には難しい。手書きで請求している施術者もおり、そのような人にとっては明細書の発行は相当な手間であり、時間もかかってしまう。対価があるのであれば明細書の発行も検討したい。

保険者側:主張としては受け止めるが、すぐに承諾はできない。

電子請求に係る「モデル事業」の実施

電子請求については実務的に整理が必要な項目が多く存在するため、実務者会合などで検討を行うこととしてはどうか。進捗としては、1月に柔道整復療養費の電子請求に係る保険者会合を実施し、保険者より課題を聴取した。課題、問題点を洗い出しながら引き続き検討したい。

保険者側:ルールが曖昧なままシステム構築するわけにはいかない。ルールを決めてから進めるべき

施術者側:ルール作りをしながらモデル事業を進めて、課題を解消しながら完成に近づけていくべきではないか。来年度上半期くらいで運用方針や要件定義等などの指針を示していただきたい。

不適正な広告の是正

広告ガイドラインを検討するため、平成30年度からガイドライン作成を含む広告に関する検討会を開催している。ガイドラインが施行されたら、それに違反する場合、受領委任払い上どう取り扱うかについても検討課題となっている。ガイドライン検討の進捗も踏まえて検討していきたい。

保険者側:ガイドラインを守らない、あるいは不適切であると認められる場合は受領委任を中止すると通知などで出してほしい。また、厚生局への情報提供に関する項目を作っていただきたい。ガイドラインの施行時期に合わせて適用できるよう、今から準備していただきたい。

施術者側:不正防止のために罰則の厳格化も検討すべきと考えているが、国家資格がなければ何を広告してもいいという状況なので、我々よりも先に無資格者に対して何らかの対策を行ってほしい。

支給申請書における負傷原因の1部位目からの記載

柔整審査会における面接の取り扱いについて平成30年12月に事務連絡を発出したところであり、その状況も踏まえながら引き続き検討していきたい。保険者側が〝負傷原因を1部位目から記載することは意味がある。施術所に対する牽制効果もある〟とする一方、施術者側からは〝柔整審査会で傾向的に請求内容に問題のある施術所をピックアップして不正対策が出来ている〟との意見が出ている。

保険者側:1部位でも患者照会の内容と一致しないものが約3割程度ある。1部位から負傷原因を記載してくれれば患者照会も減るのではないか。患者が来院すれば必ずどうして負傷したのかを把握した上で施術するはずなのに、それを記載するだけのことをなぜそんなに拒むのか。

施術者側:施術録には負傷原因を記載しているが、支給申請書にも記載するとなると事務作業が増え労力が要る。1部位目から原因が記載されていても不正を行っているケースも多く、記載させたからと言って不正防止にはならない。だからこそ柔整審査会での傾向審査が重要となる。

問題のある患者に対し保険者において償還払いしか認めない権限を与えること

現在、あはき療養費についても、長期・頻回の施術について同様の仕組みを検討しているところであり、その状況も踏まえて引き続き検討してはどうか。

保険者側:あはき療養費の取り組みを評価してということだが、柔道整復とあはきは違う。受領委任払いで療養費申請が行われた場合に、保険者の審査で適正化を行うことが困難と判断された場合に、保険者がその患者と面談し、患者の理解を得た上で償還払いにするかどうか個別に判断・決定できるように仕組みを構築してほしい。

その他

昨年末に詐欺で摘発された大阪の接骨院グループについては請求代行業者の関与もあったと報道されている。このような復委任の取扱いについてはこれまでには検討してこなかったが、今後の検討課題としてはどうか。

保険者側:復委任は問題だというのは施術者側との共通認識だと思う。保険者としても振込先の確認が不十分であった等の反省点はあるが、検討専門委員会でも検討していくべき。

施術者側:請求団体を立ち上げる際の基準あるいは規制について、国は何ら取り決めを行っていない。罰則の強化などを行って、怪しい施術者や団体を潰していく必要がある。

次回柔道整復療養費改定について

次に令和2年度の柔道整復費の料金改定について、どの項目にどのような改定を行うか、各委員に意見が求められた。

施術者側:療養費は平成24年度~29年度まで減少し続けている。減少の要因は様々なものが考えられるが国家資格を持っているにもかかわらず食べていけず廃業する施術所も多い。これまで長い間、改定率は医科の半分とされてきたが、半分ではとてもやっていける状況ではなく、真面目にやっている柔道整復師のためにも医科と同程度にしていただきたい。

保険者側:不正対策につながる改定にしていただきたい。往療料については距離加算があるが、距離加算は廃止して包括化すべき。

その他、施術者側からは各項目の改定に関する要望も詳細に挙げられた。

次回検討専門委員会の開催日程は未定となっている。

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