(公社)日本柔道整復師会 第42回北海道学術大会札幌大会 開催
平成25年7月7日(日)札幌コンベンションセンターにて『(公社)日本柔道整復師会第42回北海道学術大会札幌大会』が開催された。
開会式の冒頭、同大会会長でもある(公社)北海道柔道整復師会・萩原正和会長は〝本学会も回を重ねること42回目となった。この歴史ある学術大会は公益事業を含め常に会員の学術研鑽に努め、柔道整復術を以って社会に貢献するという崇高な理念の下に開催され続けている。これからもこの意志を引き継ぎ、柔道整復学を深めながら業界の発展に寄与し、それを通じて社会貢献できるものと確信している。この学術大会より何かを習得し、明日からの業務に役立てることが出来る意義のある1日であることを祈念している〟と挨拶。
続けて学会会長挨拶として壇上に立った(公社)日本柔道整復師会・工藤鉄男会長は、現在取り組んでいる事項として、▽柔道整復療養費の適正な見直し、▽卒後臨床研修の制度化、▽柔道整復師の業務に関する算定基準の明確化と法整備―など3項目の実現を掲げられ、工藤会長は〝しっかりとした理念を持っている萩原正和会長を中心として、実現に向けた対策を進めている〟と報告。さらに本学会には学生が多数出席していたこともあり、柔道整復業界の将来の展望について〝安価で安全に治療ができる柔道整復師の働く場は間違いなく大きくなる。少子高齢化の問題により介護保険の分野が注目され、スポーツにおいても健全な身体・精神育成を指導するトレーナーという世界が広がってきている。日本柔道整復師会は、この新しい構図の中にどのように入り込んでいくかという構想をしっかり持って臨んでいく。運用面についても、情報・危機管理室のようなものを設置して戦略的に見直しを行なう。「2年間で何らかの目途を付ける」というのが新執行部の情熱でありますので、柔道整復師の先生方にはこのような学会で学んだことを提供することで、患者さんとの絆を深めていただきたい〟と力強く語った。開会式はその後、来賓の紹介、祝電披露の後に閉会となった。
開会式後は旭川医科大学病院病院長・松野丈夫氏による『弛みのこない人工股関節の開発』と題した特別講演がスタート。松野氏は、人工股関節置換術以外の骨切り術の解説、人工股関節の弛みの原因の特定、日本人の骨格に合わせた新しい人工股関節(4-U)の開発等、多くのスライドを使いながら人工股関節の歴史や弛みとの戦いについて解りやすく解説。近年は人工股関節のクオリティの向上により、殆ど弛まなくなり耐久年数も30年以上となったことに触れ、昔は年配者のみを基本として行なわれていた人工股関節置換術だが、今は痛みが取れるのであれば若い人でも行なって良いという。しかしその場合は、きちんとした技術を持った術者に行なってもらうことが必要であると付け加え、約1時間半に及んだ特別公演は盛況のうちに幕を閉じた。
特別講演後は昨年に引き続き、(公社)日本柔道整復師会・保険部介護対策課の細野昇氏、三谷誉氏により『柔道整復師と介護保険について』のセミナーが開催された。昨年は、柔道整復師が介護予防事業についてどのように係っていくかという広い視点から講義がなされたが、今回はより実践的な内容として、機能訓練指導の現場ですぐに役立つ『転倒』をテーマに取り上げ、転倒により引き起こされる問題や転倒に高く関与する危険因子等の様々な情報提供が行なわれた。
続けて富山大学大学院柔道整復学講座・主任研究員でもある(公社)日本柔道整復師会・学術部の酒井重数氏により『大学評価学位授与機構における柔道整復学区分新設の報告』と題した報告会が行なわれた。この報告会では、大学が授与する学位と同等の学位の授与が認められた大学評価学位授与機構より、平成26年4月の学位授与申請から新たに柔道整復学が設置される旨が報告された。その他、大学評価学位授与機構が定義する柔道整復学の解説、柔道整復学士取得の方法等が説明され、酒井氏は〝生涯学習をしていくひとつの目標としてこの学士を取得し、今後柔道整復師として、医療専門職として進んでいっていただきたい〟と集まった参加者に熱く訴えかけた。
報告会後は各会場に分かれ、会員による研究論文発表・実技発表、付属北海道柔道整復専門学校の学生によるポスター発表、北海道柔道整復師協同組合指定業者による専門分科会が行われる等、約650名が参加し活気のある学術大会となった。
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