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(公社)日本柔道整復師会 第34回東北学術大会宮城大会 開催

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公益社団法人日本柔道整復師会第34回東北学術大会宮城大会が2013年7月21日(日)、仙台国際センターで華々しく開催された。

櫻田裕会長

9時から始まった開会式では(公社)宮城県柔道整復師会・櫻田裕会長より〝あの忌まわしい東日本大震災から2年が経過いたしました。その間私ども柔道整復師は被災地で懸命に復興支援と救護にあたって参りました。現在復興の最中ですが、一生懸命業務に尽くし地域の健康保険・復興に寄与しております。広く公共の利益に資する目的で多数の講演と研究発表がありますが全て社会に対応した形式をとっています〟等、開会の挨拶を行った。

工藤鉄男氏

(公社)日本柔道整復師会会長・学会会長工藤鉄男氏から〝2年間の復興に対して努力され、今大会を準備・開催されたことに対し宮城県の櫻田会長以下会員の方、また前会長の豊嶋会長に心から感謝と敬意を申し上げたい〟と冒頭で話され〝私はこの6月23日の総会・代議委員会において会長を拝受することになり、新しい19名の理事と一緒に公益社団法人日本柔道整復師会を預かって参ります。今、社会においては我が業界に対して厳しい目が注がれていることは事実で、全柔道整復師の代表としてやらなければならない我々の使命は今まで以上に重大さを増しています。ご承知の通り、人口減少問題、少子高齢化、経済的要因等により社会保障の枠組みが変わってきています。かつては我々の療養費は社会保障の中の医療費においてどうすればいいかを考えれば良かったが、介護保険という新しい保険の仕組が出来て如何にして柔道整復術を国民のために寄与する治療技術として提供できるか、こういうことを考えていかなければいけない時代に入ってきています。11ブロックで行われている学術大会で発表されたものを研讃し、提供することで国民の大きな信頼と要望を得ることが出来る訳です。多くの社会保障の新しい仕組みの中に我々が入っていけるかどうか、これが我が日本柔道整復師会に課せられた責務です〟等、日本柔道整復師会の公益社団法人としての使命と責務を述べ、更に〝多くの全国各県の会員と一緒にこの危機感を共有しながら如何にして打破していくか。我々執行部は将来ここに居る若い先生たちを責任もって皆さんの技術の向上をさせるよう新しいアイデアをもって皆さんと共に歩いて参りたい。これからも日本柔道整復師会、業界の発展に皆さんの温かいご支援ご協力を切にお願いしたい〟と、日本柔道整復師会の新執行部の考えを示した。

続いて来賓の紹介が行われ、医事評論家で宮城県柔道整復学構築学会特別顧問である水野肇先生から激励のビデオレターが公開され、その後櫻田会長より講師のご紹介があり、特別講演に入った。

伊達家三十四世・仙台伊達家十八代当主・伊達泰宗氏による特別講演「歴史から学ぶ」が一般公開の形で行われた。

伊達泰宗氏は講演で、〝東日本大震災の時、津波が多くのものを奪い去っていった。震災から2年4か月を経て復興の思いを全国に発信したい。今日この講演を聴いていただいて共有していただけたらと思います。慶応4年に戊辰戦争があり、伊達62万石は28万石になり、領地を失った家臣たちは北海道の開拓団として海を渡っていきました。以来伊達家の当主は東京住まい。昭和49年10月に政宗公墓所の発掘調査が行われた。戦災で焼けた瑞宝殿の跡は床石と礎石、玉石と粘土の層。1つずつ掘っていくと墓石の蓋石に到達。338年前に封じ込められた空気と現在の空気が混じり合う瞬間、実在の人として目の前に現れた瞬間、政宗公のご遺骨が現われた感動は生涯忘れない。成人したら戻って守らせて頂きますと誓って、この願いが叶って現在仙台で伊達家の仕事に携わることが出来たのは何よりの慶びで感謝する日々を過ごしている。

藩主政宗公の直系子孫であることを忘れてはならないと幼少のころから言われて日々伊達家の歴史の中で生かされていることを感じている。昭和62年に制作されたNHKの大河ドラマ独眼竜政宗は47.9%の視聴率でいまだに記録は破られていない。敵味方限りなく尊い犠牲があることを心に留めながら監修にあたった。因縁の浅野長政氏ご子孫との対面。かつて先祖が命をかけて戦ったその日の出来事。絶交の歴史をここで終りにしませんかと申し出、398年ぶりに両家和解の茶会を開いた。

歴史というものは過去を検証することも学問であるが、今ここに新しい歴史が生まれることを実感した。今から402年前、慶長三陸の大津波、東日本大震災は丁度その400年後に発生し、規模範囲がほぼ同じだったことが判明した。政宗公はキリシタンを擁護していた。スペインとの交易、仙台藩自らの手で船500トンを建造。世界で初めて環太平洋の周航を目的として、当初計画は徳川幕府の承認を得てのことであったが、家康は禁教令を発布、計画は失敗に終った。唯一日本から世界を目指すという逆転の発想。政宗公は、このことをやりたかったと私は感じている。

天下取りには20年遅く生れてしまった。伊達の黒船は世界を舞台にして、伊達の歴史を後世に残していく。私の心には政宗公のそういう思いが伝わってくる。派遣から400年、派遣の3年前に三陸大津波があった大変な時期であったが大変な事業を行われた。その勝敗の行方は未来の人に託そうではないか。真剣に生きた思いを託そう。未来の人へ伝えようではないか。この度の吉報は、復興を目指す吉報となった。皆さん方は困難を乗り越え、私達はその力を支えにして次の時代に紡いで、未来の人達にしっかりと残していかなければならない。祖先を崇拝するものは自己を尊敬する人である。我々が今日この地にあるということは、これ偏へに祖先の努力の賜物である。歴史を没却して現在あるとは考えられない。過去において祖先は我々の現在を思い、血と肉とことごとく伝え奮闘したのである。その子孫である我々はその努力を思わねばならぬのではないか。過去の歴史に発奮する者は必ず勝利者である。あらためて現在に生きる、未来を紡ぐ私達は過去における歴史の偉大さを思う。現代人を生んだ祖先の努力を決して忘れてはならない。この言葉を残して私の役目を終わらせていただきます。〟と結ばれた。淡淡と語られる姿は神々しく魂が浄化されるような講演であった。

その後、研究発表「陳急性足関節内反捻挫を有する患者における身体各部の主訴(疼痛)について」谷川弘氏(青森県)、「シンスプリントに対するDSISテーピングの応用」森元利和氏(秋田県)、「特徴的な姿勢をとる―側肩筋部痛四症例からの一考察」田頭一志氏(岩手県)、「TPP規制緩和と医療の行方」原田洋典氏(山形県)、「構造的アンバランスが障害発生のメカニズムに及ぼす力学的影響」鴫原一信氏(福島県)が行われ、特筆すべきは宮城県「柔道整復学」構築研究委員会委員・田村博氏、委員長・岩佐和之氏、前副委員長・新井田一吏氏らによる『いわゆる「柔整捻挫・挫傷」に関するアンケート結果についての考察―上肢について―』で、捻挫・挫傷の概念・定義の共通解釈に一石を投じる内容であった。

実技発表は、「肩周辺の過剰緊張(肩こりを含む)への臨床実技」千葉歩氏 (青森県)、「足アーチテープの効用」佐藤智之氏(秋田県)、「有窓テーピングの応用」小山田徹男氏(岩手県)、「即、その場で痛みを取るキネシオテーピング法」奥山治朗氏(山形県)、「足踵組織(heel pad)の退縮や萎縮による踵骨痛(painful heel)に対するテーピング法の工夫・第2報」岩佐和之氏(宮城県)、『足関節捻挫の再発予防におけるテーピング方法の一考察「中間位固定と足の形状を考える」』藤井裕文氏(宮城県)の6題。 またランチョンセミナーでは、(公社)日本柔道整復師会保険部 介護対策課 三谷誉氏、藤田正一氏による『柔道整復師と介護保険について-機能訓練指導員として現場で直ぐに実践できる運動実技を含めた必要なskill-』と題し行われた。

閉会式の前に行なわれた表彰式では、役員表彰は及川磨氏(岩手県)・大河原孝氏(岩手県)の2名、役員永年表彰は小山健氏(山形県)、学術・技術表彰は該当者なし、功労賞は佐藤金一氏(青森県)ら9名、会員永年表彰は鎌田光教氏(秋田県)ら20名が表彰された。

最後に宮城県「柔道整復学」構築学会名誉会長であり医学博士・佐藤揵氏が講評を述べ盛会裡に終了した。

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