(社)福島県整骨師会平成25年度後期研修会
平成25年11月23・24日の両日、郡山ビューホテルアネックスにおいて、(社)福島県整骨師会平成25年度後期研修会が開催された。
1日目の23日は、午後3時から保険研修会が開かれ、(社)福島県整骨師会保険部長・村上英一氏が「保険請求に関して」と題し研修を行った。
続いて4時から国民健康保険中央会顧問・田中一哉氏が「柔整業界の現状に思う」と題して講演を行った。
講演の前に遠藤会長から〝柔整保険の取り扱いに対して保険者は、今までになく厳しい目で見てきております。何故このようになったのでしょうか?今後のことを立て直すには、保険取扱いの範囲、基本的な問題が多々ありますが、中味を振り返ることも非常に大切です。柔整師は国民・県民に必要とされているのか、今後また必要とされていくのか、柔整師医療として医療の中に必要とされるのか、また保険者は我々柔整師をどのように見ているのか、しっかりと見つめていかなければなりません。会の組織も見つめ直さなければいけない。一人一人、自己を見つめ直さなければならない〟等挨拶し、講師の紹介を行った。
田中一哉氏は〝柔整業界の現状を私なりに思っていること、医療保険者の世界が如何なっているのか、非常に大きな問題が背景にあるということを話したい〟として本論に入り、〝私は30数年業界のことに携わってきた経緯がありますが、いろんな課題・問題点というのはこの10年あまり変わらない。変わっていないということは解決していないということにもつながる訳で、皆さん方の業界の人たちが、動いているとしても動いていないとしても良い方向に動いているのであれば、それはそれで良いがどうもそうではないんじゃないかという気がして仕方がない〟と述べ、その問題点と解決に向けての考えを示した。
〝「養成校の急増により質の低下を招いている」という問題については、教官の質の確保と研修体制をしっかり構築することによって、業界の評価に繋がってくる。「医療保険者の信頼が失われている」ことについて、健保組合、今は市町村国保も患者調査を義務的にやり始めているところに異常性を感じる。例えば回数制限等の問題に対し、実態は違う、現実にはそうではないと検証できるものをキチンと作り上げて、変えていく努力をしなければならない。これは出来ると思いますし、施術範囲だって出来ると思っています。ある時、医療課長に柔整の施術範囲というのは変えなければ駄目だ、実態とあっていないじゃないかという話をしましたが、その通りだと思う、どんな風に変えたらいいかを教えて欲しいと言われました。行政自らがそういうことはやらない。皆さん方のほうでやっていく。保険者との関係は、全国レベルでものを考えないで、県レベルで身近なところの保険者、県内の市町村国保の組織、組合健保の県連合の人達、或いは協会けんぽの方達と日常的に情報交換を行う場を持って、お互いのことが分かり合える世界を全国に作る。日本の国民皆保険制度を支えている社会保険制度、医療保険制度の財源はみんなの保険料、被保険者から保険料を徴収して運営しています。社会保険の基本原則は、保険者は自立するということです。健保組合は、健康な20代から50代位の人しか雇いません。病気になったら退職します。そういう健全財政を保障されながら行っています。一方、国民健康保険は市町村に住所を有する人は全部国保に入る。除外規定で被用者保険に入っている人は除くとある。要するに国保は被用者を選べず、自立できない組織で、これが国民皆保険のベースになっています。若い人が多くお年寄りが少ない社会であれば、どうってことはなかったが逆三角形の様になってくると、国保はもたなくなる訳です。国の財政も厳しいからお互い保険者同士が何とか助けあえないだろうかとして、昭和58年に老人保健制度を作ったが、保険者は自立するという社会保険の原理をあの時点で崩してしまった。しかも先行きの見通しがないからと作ったのが後期高齢者医療制度と前期高齢者医療制度で、ちっとも楽になっていないし、これから先の見通しも分かっていない。健保組合にしてみると、何がなんでも自立していくためには、結局、自分のところに流れてきたレセプトを点検する以外にない。本来は、医療費40兆円の中の5千億円はなんていうことは無いがそこをやらなければいけないくらい大変になっているのが健保組合です。保険者はそういう財政状況にある訳で、決して保険者が悪い訳でも皆さん方が悪い訳でもない。結局そういった状況を何時の間にか作ってきた。従って実態をキチッと把握して、医療保険者の方々と折衝される場合には、保険者の立場を理解して話をされると何らかの道が生れてくるかもしれません。 日本の医療体系の中、しかも高齢者が増え続ける地域社会の中で、貴方達の存在というのは地元にとって非常に大事、医療保険者にとっても非常に大事、いつも言うことですが、自分の住んでいる地域の人たちの顔が見え、家庭が見え、人間関係をキチッと構築すること、人間としての魅力をしっかり持つことです。もう1つ、厳しい言い方ですが、柔整師という職業はそんなに儲かる仕事だと思いません。地域の方々から「先生有難う!」の言葉、これが何事にも替えがたい財産だと思います〟と結んだ。
引き続き、参議院議員で現在、内閣議院運営委員会委員長・自由民主党福島県連会長の岩城光英氏が「国を想い、福島を想う」と題して、今の福島の現状と再生に向けての取り組みについて講演を行った。
岩城氏は、自民党と公明党が提案している第3次提言「原子力事故災害からの復興加速化に向けて(案)」について説明。5月と9月に1次提言、2次提言を福島も含めて宮城、岩手の被災地に向けての復興提言をして政府に申し入れた。今度の3次提言は、宮城と岩手は時間はかかるかもしれないが復興に向けての見通しがほぼ立ってきたので、残った原子力災害をかかえる福島に特化した内容となっている。政府が今これを受け、オールジャパンで福島の再生を実現していく。被災者の帰還促進とふるさと再興、さらに新しい生活を選ぶ方々への支援、原子力損害賠償、除染・中間貯蔵施設、廃炉・汚染水対策が第3次提言の骨子で、①除染とインフラの復旧②早期の帰還に対して住民の方々は帰還先のインフラや生活環境が完全に整う前に復興に向けて、先陣を切っていただくことになる。東電の賠償について年内に結論を示すこと。また故郷への帰還や転居の環境が整った段階で、早期に避難生活を終え、新しい自立した生活を促すべく、適切な方法を国が示していくこと。生活再開のための各種サービスの再開支援では、例えば避難指示区域内で休業中の病院の(区域外への移設も含め)診療再開のための支援策を検討すること。商業施設の整備を加速する、治安上の不安払拭のためのパトロール等を強化する。新しい生活を始めるための支援強化。即ち、双葉郡全体の将来像を明確にし、また帰還しないで別の場所で生活したいと望む人にとってはその生活が実現できるようなキチンとした賠償等の支援対策、これを早期に示すこと。要するに帰るか帰らないで、今いる所、或いは別な所にお住まいになるか、それを早く決めていただくための様々な前提条件を国のほうが早く示すこと、最終的にはご本人に判断していただく、こういうことで政府に提言しています。精神的損害等の賠償の終期を決めて一括して支払う等により、新しい生活を始める際に必要な生活資金の確保等を検討すること。健康管理・健康不安対策、「場の線量」ではなく実際の「個人の線量」を基にし、被ばく低減を図るためのきめ細かな対策を講じていくこととして、原子力損害賠償も早期に賠償の支払いを完了することが重要である。東電は最後の一人まで責任を持って対応するとして具体的に提示する。今、民法で時効の消滅が3年となっており、来年の3月で切れます。殆どの方がまだこの請求をしていません。これを延ばさなければいけないということで、10年にしようと特例法案をまとめ、野党の皆さんにご理解を頂いて今度の臨時国会中に議員立法で成立させたい。除染・中間貯蔵施設の目途が立たないと住民の皆様に中々ご理解頂けない。中間貯蔵施設は30年にわたって安定的に継続する事業であり、国が責任を持って管理することを強く謳っている。廃炉・汚染水対策も国が東電をフォローしながらやっていくことを明確に求めています。日本中の国民の皆様に理解を得ながらこういったことを政府に進めて頂きたい。国主導の下、いろんな対策を強力に推し進めると話した。
◇2日目の24日は2つの講演が行われ、講演Ⅰは午前8時50分から、学校法人素霊学園東洋鍼灸専門学校校長・竹内廣尚氏が「腰痛と足関節の調整法」と題し検査法・調整法など実技を交えながら講演を行った。
竹内氏は様々な話の中で〝今日は、腰痛でも前後に痛いのか左右に痛いのか、様々なタイプがあるので、夫々をやってみたい〟と話しモデルを使って実技を交えて講演された。 腰痛の患者さんが来院されると最初に外果の周りを触って痛い個所があった場合に、痛い箇所により10円玉と1円玉を貼る場所が異なることを話し「十一円療法」の実際をやってみせた。 また腰痛治療の1つの方法である軽擦法いわゆる「のの字操法」を紹介し、大腿四頭筋を軽く摩って2・3回行ったら必ず伸ばすことが大事で、背中に足がつくぐらいまでやると大体6割の腰が楽になると話し、また肩と逆足の股関節が関連しており、肩の動きをよくするために股関節の張力を出してあげて戻す動作を5分ずつ繰り返し大体15分位すると治まりますと話した。 更に、背中を押したり揉んだりした時に余り強く揉まなくても良いことや、曲げた時に何所に抵抗があるかをみながら行なうこと。また背骨を押した時に楽な方向に動かせば良く、ただし風邪をひいている患者さんが来た時などには「揉む」と筋膜に炎症を起こす可能性があるため、むしろ「押す」ほうが炎症は起きないこと。また、ゆっくり押してあげると良い等注意を促した。 その後、L1~L5の足の検査肢位や捻転の足の組合せ等をやってみせ、腰痛治療のテープ療法では、スパイラルテープを5ミリに切って一番痛い処に米印に貼ると痛みが消失することなど、更に腰痛予防と治し方としては、たたみ1畳の所でお尻歩きで前後に歩き2往復すると良い結果が出ることなどを講演された。 また足関節のうち返し捻挫は、後頭部をさすって検査をする方法。また足関節捻挫の調整法では、痛い処を押さえながら反対側を押してあげると痛みがなくなること。更に患者さんの痛くない方を治療すると治っていくこと。痛みをとるテープ療法、オスグッドへのペイントルテープも紹介した。最後に〝米印は絶対忘れないでください。明日から使えます〟と盛りだくさんの内容で講義は終了した。
◇講演Ⅱは、テレビや著書でおなじみの東京医科歯科大学名誉教授・藤田紘一郎氏が「免疫力を高める快腸生活~腸内細菌と食物繊維はとっても大切~」と題して1時間半の講演を行った。
先ず初めに遠藤寿之会長から今回の公開講座について詰めかけた約450名の入場者に〝本日の講演は社団法人福島県整骨師会の生涯学習講習会として以前より行われておりましたものを昨年より公開講座として、県民の方々にも是非参加して頂き、健康の大切さを考え知識を高めて頂ければと思い、県民の皆様に公開しております〟等、挨拶を述べ、講師である藤田紘一郎先生の紹介を行った。
講演で藤田先生は、〝今日は、125歳まで元気で生きる、免疫を上げるにはどうしたらいいかという話をします。50年前には花粉症や喘息、アトピーは私たちの小さい頃にはなかった病気です。50年前に無かった病気が何故増えてきたか。50年前、インドネシアのカリマンタン島にある三井物産の診療所に1年駐在し、何故ウンチが流れる川で遊んでいる子がアトピーにならないのかが生涯の研究テーマになりました。私の出身は三重県多気郡明和村大字上野村立明星小学校で、みんな回虫をもっていました。三重県多気郡明和村大字上野の経験とインドネシアのカリマンタン島の経験からウンチの中にアレルギーを抑える物質があると思いました。お腹の中に寄生虫を飼っていると花粉症・喘息・アトピーにならない。アトピー・喘息・花粉症になった人は、症状は押さえられても中々治らない。抗ヒスタミン薬を飲むと治るが、肥満細胞を破れないようにする薬はない。初めて私はアトピー性の損傷を一発で治す薬を作りました。しかし、アトピー・喘息を一発で治せたが、免疫のバランスを失って、ガンになりやすい体質になることが分りました。皆さんの体の中には毎日1万個のガン細胞が出来てきます。ガンにならないのは、Th-1が出てくるガン細胞をやっつけるからガンにならないのです。ストレスを受けるとTh-1が小さくなります。お肉ばっかり食べても、添加物が入っている食品を食べても、Th-1は小さくなります。Th-1を大きくしてやる条件は、腸内細菌が70%、気持ちが30%です。腸内細菌が70%ということは、手作りの野菜・豆類を摂って、発酵食品を摂る、添加物が入った食品を摂るのは止める。そして楽しく笑って生きがいのある生活を送るということがTh-1を大きくすることになる訳です。Th-1はガンをおさえ、Th-2はアレルギーを抑えるんです。ガンとかアレルギー、鬱のような心の病気、これは西洋医学では治せない。薬では治せない。東洋医学的な発想、自然治癒力が大事です。腸内細菌を、減らしている原因の1つに、私たちの文明社会が活性酸素をいっぱい生んでいるのです。活性酸素は免疫力を低下させ、細胞を老化させ寿命を短くして細胞をガン化します。皆さん方は文明社会に住んでいますから活性酸素を浴びています。それを抑えるものを食べなくてはいけない。腸内細菌を増加してガンを抑える。色のついた野菜・果物が活性酸素を抑えるんです。色が活性酸素を消します。125歳まで元気に生きるのは、手作りの野菜・豆類・果物・発酵食品を摂って、添加物の入った食品は摂らない。そして明るく笑って楽しく過ごす。そうすれば125歳まで生きられるかというとそうではない。「50歳からは炭水化物をやめなさい」という私の著書に書いてあります。50歳過ぎたら白いお米と白い砂糖と白い小麦の3つを止めたらいいんです。50歳過ぎて炭水化物をやめて添加物をとらない、楽しく生きれば125歳まで生きられるかというとそうではない。65歳からはステーキを週2回食べることです。年をとってきたらタンパク質を摂らなくてはダメです。魚でもダメです、お肉でなければダメなんです。長生きされている方はコレステロールが正常値より高い人です。血圧もちょっと高い人が長生きする。よく噛む、ゆっくり食べることも大事です。よく噛むと食品中の活性酸素が消えてしまいます。たとえガン細胞を持っていても体を温ためてゆっくり呼吸して過激な運動はしない。休みの時は釣りに行ったり森林浴に行ったりして自然の中で生活する、これが活性酸素を消すことになるんです。セロトニンは今でも人の腸の中に90%あります。脳はたった2%のセロトニンが減ると鬱になるんです。最近、鬱になる人が増えているのは、腸内細菌が減ったからです。調査の結果、世界で最も大きいウンチをしている所はメキシコでした。メキシコは食物繊維の摂取量が一番多い。食物繊維の多い処は自殺が少ない。自殺は経済的な原因が多いと言っていますが、そうではない。腸内細菌が多い処は自殺がない。腸内細菌が少なくなるとアトピーとか喘息が出る、鬱になり、自殺が増えることになる。腸内細菌を増やそうとして土壌菌を飲む。ほとんどの腸内細菌は土壌菌で、土壌菌といっても納豆菌と同じです。納豆を発酵する菌は土壌菌なんです。こういったものを摂り入れないと元気にならないということです。今日お話ししたように免疫の70%が腸内細菌です。あとの30%は自然に親しむ、笑って楽しく生活をする、運動をする、規則正しく生活をする、ポジティブに生活をする、今日も笑ってもらおうと思って、ダジャレをいっぱい考えてきました。笑うということは大事で、笑うとみんな免疫が上がっています。私は一日一回大声で笑いましょうと言っています。スポーツの世界でやられていまが、良いほうにイメージするということも大事なことです。癌のイメージ療法もやられています。ガンを普通に治療するのではなく、〝ガン小さくなっているんじゃない〟と毎日言っている内に本当にガン細胞は小さくなるのです。癌になって亡くなる方とガンになっても何時までも元気でいる方といますが、これは免疫が関係しているのです。生甲斐を持って、笑って腸内細菌を大事にするやり方をするとガンになっても治ってしまうという話です。私も皆さん方も必ず寿命があります。ところが125歳まで元気で生きられる、免疫を高め活性酸素を消すような生活をすれば病気をしても100歳以上元気で生きられる。私たちの体を構成している細胞は一万年前と同じです。綺麗社会の落とし穴を聞いていただきました〟等、講演した。
アレルギーやがんに関わる免疫力と自然との共生・腸内環境の大切さについて興味深い話をされ、満場の拍手喝采が沸き上がる中、終了した。
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