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第17回日本統合医療学会が華々しく開催!<後篇>

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市民公開講座  21日(土)17:30~18:30まで、『生への希望と統合医療―福島に必要なこと』と題し、福聚寺住職・芥川賞作家である玄侑宗久氏の講演が一般公開された。

第17回日本統合医療学会

講演の前に菊地大会会長が玄侑宗久氏の略歴を紹介。また大雪でギックリ腰を発症された玄侑氏が学会会場に到着されてから統合医療学会の鍼灸師の先生をはじめ総力をあげて早期回復されたことを伝えた。

玄侑氏

玄侑氏は冒頭〝佐藤先生に施術していただきお蔭様で痛みが抜けて来るべき所は統合医療学会だなと思いました(笑)。タイトルにある福島は特別な場所に思われていますが、統合医療を考える時には福島に限らない多面的な話かなと思っております〟と挨拶してから講演に入った。

玄侑氏は〝震災でいろいろなことを思い知らされたが、日本人は一から出直すということが好きで得意な民族ではないか。恐らく災害列島であればこそ出来あがってきたものではないか。一から出直すということを我々の体について、考えてみたい。人類の歴史を遡ると、何時頃から言葉が使われるようになったのかは謎で、人間が他の動物と極端に違う生を歩むことになった切っ掛けは言葉だろうと、一から出直すことを人体において考えようと思うと言葉を使う以前の状態に戻ろうということなのではないか。コンピュータも初期化するとちゃんと機能するようになることも多い。我々人間のほうも時々初期化してあげる必要があるのではないか。

初期化するというのは、つまり言語を用いない状態に持って行くということでそういう状態に意識してなれる。言語を使わない脳の状態をいろんな宗教が技術として蓄えてきた。お経を唱える、コーランを唱える、或いはバラモン教でも基本的に経文は暗記をする訳で、暗記しているものを再生する。宗教がいろんな手段を使い言葉を使って物を考えない状態に初期化をしていこうということは、どの宗教にも共通していて恐らく言葉というものが元々統合されている人間の「命」を分断してしまうと思ったからではないか。

言葉を使わない状態を意図的に作るのは、体にも省エネになり、実は言葉を使っていない状態の頭は、体にも楽である。意図してそういう状態を日常的に作れるようになることで、元々統合されていた「命」が、見えてくる。言葉を使わない生き物と使う生き物で何が違ってくるか。例えば、猫の鳴き声は、怒っている時の様子など感情を偽ることは出来ない。しかしひとたび言葉を使うと感情を偽ることも出来て、時には言葉だけがあって実態が無いというものに動かされることがあり、命に根拠のない概念を作ってしまえることになった。言葉によっていろんなものが分断されてきた。

今日はいろんな実験を皆様にもお試しいただきながら、言葉によって分断される以前の初期化された状態を味わっていただきたい。基本的に言葉を用いようがない状態にもちこむ方法を瞑想と大きい括りで言っている。(中略)未来に意識をもっていってある意味で予知することに人間は憧れます。何十年以内に震度いくつの地震が来るとまことしやかに新聞の一面をにぎわせている、一方それ以上のことは来ないと思っている。未来を想定して分りたい。今をどれだけ味わえるのか、今とどれだけガップリ四つに取り組めるのかが我々の心身を統合する鍵ではないかという気がするんです。

福岡伸一先生と対談して〝命とはなんですか?〟と聞きますと〝それは流れでしょう〟と仰った。実に仏教的な生物学者だなと思いました。常に入れ替わって行く、変化し続けていく、そのことを意識し続けておくということはとても大事な気がします。流れが淀むということがいろんな分断を起こしています。流れを止めないと思考ができない。流れというものに意識を乗せることで心身を統合していくという方法を統合していく、元々統合されている訳で、分断をやめるということにすぎない、瞑想と呼んでいる技術をちょっと見なおしていただければと思います〟と述べ、簡単にできる瞑想法を紹介した。

12月22日(日)特別講演1『統合医療から未来医学へ』

「今後の医療は変る」日本統合医療学会名誉理事長・渥美和彦氏

渥美氏

渥美氏は〝地球を1つの人間社会として考えるというレベルの発想がこれから重要になってきます。できれば格差のない社会を望みたい。これから大きな一つの人間社会の中で格差のない状態、価値観は「健康・長寿である」を前提に『未来健康共生社会』を提案します。社会システム、生活環境など全てのものがこれから健康に関係してくるのではないか。未来社会を推進していくと統合医療の時代になるという考えです。統合医療コンソーシアム、例えば地域でどのように合意をうみだすか、企業に集まっていただいて、どういう形で運動を展開していくか。コンソーシアムと学会を一つにしながら未来社会を構築するような組織を作る。企業の連合をなくしてこれからの学会の発展はないと考えています。

東日本大震災でいろんな人間の価値観や医療の在り方が変わりました。人間は無常であり、必ず死ぬ。地球の資源は、有限である。これからは予防・エコ医療・セルフケアが医療の大きな方向です。ライフサイエンスの進歩は遺伝子科学と再生医療で大きな2本の柱である。これから予防医学は、予防センサーの開発、予防情報システムによるデータバンクの解析等、健康な衣食住の生活を認識して実践する必要があります。人間の健康を守る自然や社会の調和と社会システムの中での人間の生き方をこれから追及していく。

今後の課題は、統合医療の定義・統合医療の単行本シリーズの発刊・統合医療大学の設置(医科大学に大学院・学部・学科の設置)〟等話し、最後に〝長崎のハウステンボスや淡路島に予防センターができることになった。流動的な時代から実践の時代に入った。皆さんの活躍をお願いしたい。これからの統合医療の在り方に夢をもってやっていただきたい〟と力強く結んだ。

特別講演2『統合医療学会の課題』では日本統合医療学会理事長・仁田新一氏が「日本における統合医療の現状と今後の展望」と題して特別講演を行った。

仁田氏

仁田氏は〝全人的な医療を目指し方法論としては、いま地球上にあるいろんな療法の良さを十分に習得して全人的医療を新しい統合医療として、医療制度を含めて日本が中心になってこれから発信していく。国民参加型の医療を目指し新しい健康ビジネスを創出する。たとえば今被災地の何か所かで始まっている薬草の生薬の栽培、製品化し地産地消で国内に販売する。被災地であることをタテにした素晴らしいコホートが出来上がり10年で答えが出てくると思われる。医療費の大幅な削減にもつながり多様性のある医療の展開が全人的医療です。科学的な臨床的な根拠づけが西洋医学的にできていないのであれば、統合医療的観点から新しいセンサーを作ったら良い。未来型医療を実現するための学会の課題として、新しい学会のガイドラインを作る〟等述べ、昨年開催した箱根セミナーの報告を行った。

  1. 各療法のエキスパートによるチーム医療を前提とした情報提供はまだ経験が乏しく必ずしも効率よく相手に伝わったかどうかは不明であるが相手を連携プレーの仲間として意識するという意味で今までになく有益であった。
  2. ナイトセッションでは通常の学会では得られない踏み込んだ各療法間の情報交換が行われお互いに理解を深めることにつながった。
  3. この様な試みは今後とも続けたいとの要望が多く出された。予想通り、各療法間での効能効果に対する考え方に大きな隔たりが感じられた。他療法との連携に必要な心構えが不十分な点が見られ、もう少し連携の機会が必要と考えられた。
  4. 患者中心の全人的な療法を行うということの意味をそれぞれがもう少し深く考えるべきである。反省点として患者中心の全人的な医療を目指すという意味あいでも各療法士の考え方の隔たりがあり、お互いに尊重し合って歩みよることが必要である。

最後に〝かつて私は大学でボートの選手でした。将来は統合医療が舵を取るようになると思います。まさしく統合医療の夜明けです。夫々の療法士が1つの目的に向かって力を合わせお互いに尊敬の念をもって、是非皆さんのお力を借りて日本の医療を国民に提供したい〟と締め括った。

各省庁・地方自治体における統合医療

『低炭素・循環・自然共生型社会の構築―環境・生命文明社会の創造に向けて―』環境省総合環境政策局総務課(謙任)環境保健部企画課課長補佐(総括)・大倉紀彰氏

大倉紀彰氏

わが国が直面している諸課題として、世界に先行して本格的な人口減少・超高齢化社会に突入した。国土計画など各種のシステムの見直しが必要。「健康寿命の延伸」が課題である。枯渇性のエネルギー資源の大量消費を前提とした社会は、気候変動の進行を引き起こすなど、地球の環境容量の限界に達しつつある。自然環境は、開発等による分断や利用形態の変化によるバランスの乱れにより、本来持つ恵みと強さを喪失している。また所得・購買力の低下によるデフレ、化石燃料大量輸入による資金の流出、地球経済の疲弊、TPPと農林業等の経済問題を抱えている。累積1千兆円を超える財政赤字も深刻化し、経済力の陰りとともに国際的なプレゼンスも低下しつつあるなど、従来のコミュニティが崩壊しつつあるが、特に東日本大震災を契機にコミュニティや人と人のつながりの重要性が高まるとともに、大量生産・大量消費に支えられた物質的豊かさに較べて健康で心豊かに暮らす質的豊かさが重視されるようになってきている。

新たな文明論的視点に立った「将来に亘って続いていく真に持続可能な社会」の具体的な絵姿を求めている。多くの企業や人が自然の繋がりを豊かにする取組に参加することで自然と共生する経済社会が実現し、地域内のコミュニティも強く濃くなる。統合医療というのは正にライフスタイルと社会システムのイノベーションの中に入ってくると思っている等、報告し、環境省として目指すべき社会像を提示した。

『健康寿命延伸産業の創出に向けて』
経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業研究官・仁賀建夫氏 

仁賀建夫氏

新たな成長戦略(日本再興戦略:平成26年6月14日閣議決定)成長への道筋として日本産業再興プラン、戦略市場創造プラン、国際展開戦略としてはTPPやPOEP等・海外市場の構築(インフラ輸出、クールジャパン等)・内なるグローバル化の促進として国民の「健康寿命」の延伸(ヘルスケア関連市場の創造)であり成果目標は、健康予防、介護関連産業の市場規模を2020年に10兆円(現状4兆円)に拡大。医薬品、医療機器、再生医療の医療関連産業の市場規模を2020年に16兆円(現状12兆円)に拡大、健康寿命延伸産業の育成と予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくりを行い、医療分野研究開発の指令塔(日本版NIH)の創設。医療の国際展開その他で一般医薬品のインターネット販売、先進医療の審査迅速化等であり、目指すべき社会システムの姿は生活習慣病等の慢性期医療にかかる費用を予防・疾病管理にシフトすることにより、健康寿命を伸ばし、健康で長生きできる社会を目指す。

具体的には、公的保険外の運動・食事指導サービス等により国民のQOL(生活の豊かさ)の向上を図り、個人の一生にかかる医療費総額を抑制する等、報告。今後の対応の方向性として公的保険外の予防・健康サービスの充実には需給両面からの課題克服が必要。またグレーゾーンの解消として、消費者が安心して購入・利用を判断するための情報が乏しいことが市場拡大の阻害要因の一つであるため、大学や学会等の協力・連携による第三者認証の仕組みの構築を目指す。健康投資の拡大への取組、レセプト分析による医療費削減をはかるとして、呉市国保やローソンの取組みを紹介した。

『機能性農林水産物・食品に関する研究開発について』
農林水産省農林水産技術会議事務局研究統括官(食料戦略・除染)室研究専門官・坂本匡司氏
 

坂本匡司氏

平成23年度に医農連携による農林水産物・食品の機能性研究を開始。具体的には、茶、リンゴ、大豆、柑橘、昆布等の疾病予防効果のエビデンス・検証を実施。研究開発の考え方は健康長寿社会の実現に向けて、科学的エビデンスに基づく医食同源を推進(主な研究参画機関:京都府立医科大学・神戸大学・(独)農業・食品産業技術総合研究機構等)し、医療分野との緊密な連携により、予防医学等に活用できるよう、農林水産物・食品の各種疾病予防効果に関する研究開発について体系的に取り組む。

研究の目的は、機能性が科学的に確認された農林水産物・食品を活用したバランスのよい食生活の推進を行うことである。研究結果から、温州みかんがβ-クリプトキサンチンの重要な供給源で発がん抑制作用や肝機能障害のリスク低減作用がある。「べにふうき」は、日本初の紅茶用品種として開発され、「べにふうき」に含まれる高メチル化カテキンにアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、花粉症等に対する症状緩和作用が期待できることを発見。ペットボトル入り緑茶飲料として商品化((独)農研機構とアサヒ飲料㈱の共同研究)され、平成20年の出荷量が10万箱、約3億円を超えるヒット商品(農林水産技術会議事務局調べ)になった。

いかに高付加価値をつけながら農林水産物および食品を提供していけるかということで、いま医学部と委託研究を進めている。3.11の災害、宮城県、岩手県で先端的なモデル地域を開発し全国展開していく。健康長寿社会に向けた研究開発、農林水産物による健康長寿社会の実現、大規模なコホート研究とリンクさせた研究を進めていく。同時に品質評価の技術も進め需要も創出していく。

『「統合医療」に係る情報発信等推進事業について』
厚生労働省医政局総務課薬事情報専門官・井上大輔氏 

井上大輔氏

医療における情報発信についての基本的な考え方は、医療に関する適切な選択の支援・利用者保護であり両者のバランスを取る必要がある。患者さんの側からみると医療に関するいろんな情報を知りたいと考えているが専門的な知識もなく広告の内容について妥当かどうか判断できないため副作用等、医療に関する適切な選択の支援を行う。

平成22年、当時の鳩山総理大臣が施政方針演説で〝統合医療の積極的な推進について検討する〟との宣言があり、それを受けてプロジェクトチームを発足、様々な知見を収集した結果、統合医療には多種多様なものがあり適切な医療推進の観点から統合医療の在り方に関する検討会を平成24年の3月から25年の2月まで5回開催し、25年2月にこれまでの議論の整理を行った。また各種療法に対する認識について調査した結果、マッサージや漢方は患者さんはよく分かっていると判明。しかし分かっていると答えた人は、半数は超えなかった。患者さんが参考にする情報の1番は価格であり、他は一般の人の体験談、研究成果の提示等であった。

統合医療は多種多様で現時点では十分な治験が得られていないことを前提に今後の取り組みとして、統合医療の各療法の有効性・安全性に関する科学的知見を収集する。それを基にして国民や従事者に情報を提供する。引き続き、研究を支援して統合医療に関する科学的知見の集積をはかることを進めていくの2点が定められた。効くもの効かないものを分けて安全ではないものを明確にした上で今後統合医療を検討していく必要があると考えている。

『甘草栽培による地域の生きがいづくり』
北海道沙流郡日高町町長・三輪茂氏代理・副町長・佐藤則男氏

佐藤則男氏

太平洋側にある紋別町と山間部の町が合併した日高町は、人口13.091人、992.67平方㎞。健康づくりでは、高齢者の健康増進ということで温泉を使ってトレーニングも兼ねて実施している。統合医療学会の推奨等もあり、高齢者・障害者の活用、雇用の確保、働く場づくりもあって甘草栽培を始めた。生産販売事業者も加わって5社で法人を設立。現在42万株が植えられている。

お年寄りもまだ社会に必要とされ、手作業や社会奉仕活動を通して生きがいを感じていただく。生きがいづくりが生きていく上では必要であることが日高町の健康づくりの1つとして重要になった。甘草の製品化やご支援いただける制度を国で考えていただくことをお願いしたい。

『地域医療の実情と健康食材による町おこし』
鹿児島県大島郡伊仙町町長・大久保明氏

大久保明氏

少子高齢化社会が進み、出生率が東京は1.02、徳之島は2.4で現在の人口は2万7千人。徳之島は徹底した予防医学を推進していく中、特定検診はこの3年間で60%を達成、医療費も下がってきている。100歳以上の方が1000人以上おられる。自然の中で生きて、3世代が同居している家が殆どであり、子供が沢山生まれても爺ちゃん婆ちゃん近所の人が野菜を持ってきたり、地域の繋がりと日本の昔からの伝統的な世界が未だ残っている地である。これからの日本社会のモデルになっていく「長寿・子宝宣言」をした。自然と人間、共生と循環をしっかり考えていく時代で、心豊かな地域社会をつくっていくことを考えた時に東京一極集中から地方に戻って行く時代を作りだしていくことが重要ではないか。ダイエットアイランドツアーで、島に来ていただきたい。

会場の渥美名誉理事長から〝調査の時代ではなく、実践の時代になったのである。どんどん地域が進んでいる。小さな研究課題の時代はもう終わった。政府が援助して頂きたい〟と発言があった。

『キューバ ―知られざる統合医療先進国―』をテーマに海外招聘講演が行われた。

『Traditional and Natural Medicine in the Cuban Public Health System』
キューバ共和国保健省自然伝統医学局のDr.Yohann Perdomo Delgado氏

Dr.Yohann Perdomo Delgado氏

キューバ共和国はエーゲ海の島国で、首都はハバナ、人口は1100万人。キューバは教育水準並びに医療の水準が高いことで知られている。我が国における保健医療は市民の重要な権利であり、保健医療を提供するのが国家の責任であると保健医療法の第41条に示され、第41の50条には、全ての国民は健康を守り、治療を受ける権利を有し、国家はこの権利を保障せねばならないと謳っている。革命後に医療サービスがどのように推移してきたか。最も重要なことはキューバの保険システム、公共医療システムはユニバーサル、国民皆保険で全て無料であり、全ての人が診療を受け、病院にいける可能性をもつものである。また包括的で国際的な海外協力を含むものである。

医療システムの最も小さな単位がファミリードクターを支えるグループで、キューバの80%の病人が治療を受けている。ホスピタルといわれる医療施設があり、一番高いレベルには研究施設がある。乳幼児の死亡率4.6人/1000、5歳以下の子供たちの死亡率5.9/1000、平均寿命77.9歳。住民134人あたり1人の医師、ファミリードクター13.419人あたり1人、住民の100%が家庭医のネットワークにカバーされている。全国に452のクリニック、152の総合病院等がある。60歳以上の人は18.6%と高齢化が進んでいる。キューバは伝統医療を代替医療と定義し、その実践は総合的で公衆衛生システムによって構成されている。災害その他の被災に対して医療サービスを保証するためのキーポイントとして政府に奨励され国民に深く根差している。薬草の使用は特にキューバの医療の伝統の一部になっている。

2008年~2012年の間にプライマリヘルスケアにおいて治療を受けた患者数が増えている。医療現場においても、また教育現場・研究施設においても伝統的な自然の治療法が上手く近代的な西洋医学と統合されている。これまでの経験をもとに統合医療のシステムへの取り入れは足をとめることなく、今後益々進歩を求めていくことになると考えている。

学会最後に、『持続可能な社会における医療:エコ・ヘルスケアとしての統合医療』と題して総合討論が行われた。

総合討論

演者は、公益財団法人未来工学研究所主任研究員・小野直哉氏、日本赤十字看護大学学部長、教授・守田美奈子氏、昭和大学医学部顕微解剖学講座教授・塩田清二氏(次回日本統合医療学会大会会長)の3名で、座長は昨年の第16回日本統合医療学会大会会長を務めた大阪大学大学院生体機能補完医学寄付講座教授・伊藤壽記氏と本大会会長で公益財団法人医療機器センター理事長・菊地眞氏が務めた。

前大会会長で座長の伊藤氏が〝東日本大震災が大きな転機になった。ライフラインを絶たれると無力になってしまう。最終的に医療とは何かという命題に気がついた〟等の意見を述べ、今学会大会会長で座長の菊地氏が〝やりっぱなしの学会ではなく示唆する学会であるように、周辺が高まりを見せている中、一度リセットして更に目指すべき道を問いかえす〟等、統合医療とは何か、生きることは何かを追及し、これからの道筋を提示し、次の学会へと繋いでいく強い志を示し、多くの実りを残して第17回統合医療学会は幕をおろした。

学術会議の先生たちが今回のシンポジウムに参加して如何考えたのかとして、神奈川県立福祉大学の中村丁次氏、日本統合医療学会理事長・仁田新一氏、がん研有明病院漢方サポート科部長で渥美夫妻の主事医でもある星野恵津夫氏らが一言ずつ短い挨拶を行った。

ディスカッションは時間の関係で行われなかったが、懇親会の場に引き継がれる形となって終了した。

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