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第40回近畿学術大会京都大会が開催!

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第40回近畿学術大会京都大会が平成27年9月27日(日)に京都テルサにおいて開催された。主催・(公社)日本柔道整復師会。主管・(公社)京都柔道整復師会。後援:京都府・京都市・(一社)京都府医師会・(一社)日本柔道整復接骨医学会・(公財)柔道整復研修試験財団・(公社)全国柔道整復学校協会・近畿柔道整復師協同組合連合会・日本理学療法器材工業会・京都新聞・KBS京都。

第40回近畿学術大会京都大会が開催!

開会式が開かれ、大会実行副委員長・萩原隆氏の開会宣言が行われた。

工藤鉄男氏

(公社)日本柔道整復師会会長・工藤鉄男氏が〝開催にあたり多くのご来賓の皆様をお招きすると共に近畿地区の会員の皆様が一堂に会し、衷心より御礼申し上げます。これから始まろうとする地域包括ケアの医療・介護の改革の中で柔道整復師が地域医療として必要とされる職業になるにはどうしたら良いのか。顧問の先生たちに相談をし、次世代の柔道整復師のために皆さんが国民に必要とされる職業に位置づけられるようにしっかりと厚労省とお話をするという温かいお言葉を頂いています。柔道整復師業界の未来のためにもみんなで勉強して参りましょう〟と挨拶。

長尾淳彦氏

主催者を代表して実行委員長・(公社)京都府柔道整復師会会長・長尾淳彦氏が〝今日一日京都府民の皆様に一般公開しております。府民の皆様に柔道整復師というのはどういう職業なのか、どういうことをしているのかということを今日一日存分に観て理解して頂くことを切にお願いします。今日学生の皆さんが沢山参加されていますが、国家資格である柔道整復師はどういう職業かということ、自分がどういう志を持って柔道整復師になるかという決意をして頂くような日にして頂きたい。また柔道整復師の資格をお持ちの先生は自分の原点を見つめ、我々が患者さんに何ができるかをもう一度学んで検証して頂く日にして貰いたい。私も含めてみんなで勉強していきたいと思います〟と挨拶。

次に京都府知事ご名代、副知事・山内修一氏が〝皆様方には日ごろから地域住民に対し大変なご尽力を頂いていますことを改めて感謝申し上げます。2025年には所謂団塊の世代が後期高齢者となる時代を迎え、まさに地域包括ケアシステムの構築が重要になります。京都府としましても地域包括ケアシステムのポジションと思っていますので、関係者の皆様方と更なる連携、地域住民の皆様が安心して暮らせる地域社会を是非とも作り上げたいと考えていますので、一層のご支援をお願い申し上げます〟と祝辞を代読。

伊吹文明氏

次に衆議院議員・伊吹文明氏は〝先程工藤先生からお話がございました。柔道整復術は他の東洋医学と違って柔道を通じて、骨折・脱臼・捻挫・打撲について診断行為を伴った治療行為をずっと重ねてこられました。いろいろ東洋医学がありますが、鍼等も治療効果があります。長寿社会になり、東洋医学の役割は劇的に変わってきております。地域の中で高齢者の体の不調を如何ケアしていくか。きちっとした治療に対してはそれ相応の報酬を支払わねばなりませんが、社会面をにぎわすようなことがあってはならない訳です。あらゆる通知、通達等は日本医師会、日本歯科医師会・日本薬剤師会等を通じて伝達されます。日整もそのような体制を作りたいと思っております〟と述べた。

碓井貞成氏

続いて京都市長・門川大作氏、参議院議員・西田昌司氏の挨拶があり、全国柔道整復学校協会会長・碓井貞成氏は〝今、カリキュラム・総時間数等を検討している最中です。救急・災害、地域包括ケアにおける機能訓練指導員、介護等を取り入れていきたいと思っています。国家試験等の改正についても検討し、未来の柔道整復師の地位を確固たるものにしたいと思っています〟等、来賓を代表して5名の方が祝辞を述べた。

特別講演・一般公開
『病まないカラダをつくる腸健康法~免疫力を高める生活習慣~』

東京医科歯科大学名誉教授・藤田紘一郎氏

【講演要旨】

藤田紘一郎氏

今日は、腸を元気にして病まない体をつくれば125歳まで元気に生きるという話をします。私が整形外科の医者を辞めてバイ菌学の研究に移った切っ掛けは大学のトイレで熱帯医療調査団の団長の先生と会ったのが運のつきでした。熱帯医療の調査団でインドネシアのカリマンタン島に6カ月おり、其処で子供たちを観ているとアトピー・喘息・花粉症が全くなかった。杉花粉症の日本の第1例は、1963年です。それまでは日本で花粉症は無かったんです。ウンチが流れるカリマンタン島の川で子供たちが平気で遊んでいる。私は〝君達はなんて野蛮なんだ、うんちが流れている川で遊ぶから病気になるんだ〟と言いましたが、日本の子供たちよりずっと元気に育ちました。

「何故うんちが流れている川で遊ぶ子供たちにアトピー・喘息・花粉症がないのだろうか」というのが私の生涯の研究テーマになりました。うんちが流れている所で生活していましたから住民は全員回虫がいるんです。しかし血圧を測ったら正常、コレステロールの値も正常でした。私は助教授をしていましたが、大学の教授は〝藤田、こんなつまらない研究はやめろ。もっと医学的に面白い研究をしろ〟と。でも私は、三重県多気郡明和村大字上野村とカリマンタン島の経験から絶対回虫の中にアレルギーを抑える物質があると確信していましたし、ここからアレルギーを抑える物質を見つけました。アトピー・喘息を一発で治したが、免疫のバランスを失って癌になりやすい体質になることが分りました。

『笑うカイチュウ』(講談社文庫)という本を書きました。 実は免疫は、2つありTh1は1日1万位出てくる癌細胞を見つけてやっつける。人間の細胞は60兆あり、その2%が毎日変わっています。昔から人間は1日3000個の癌細胞を出している。ところが今は1万個位と言われています。それは、私たちが作った文明社会が癌を作っているのです。皆さんは活性酸素だらけの世の中に住んでいる。年をとってくると癌になりやすいというのは、生理的にTh1が小さくなって出てくる癌細胞を見逃すからです。

ガン・アレルギー・鬱など心の病気、バランスの病気は西洋医学では治せない。東洋医学的な発想が必要で、「自然治癒力」です。腸内細菌が戦前から3分の1に減った1つの原因は、文明社会が作った。2番目は、ストレス社会を作った。3番目は、エサである食物繊維の摂取量が減ったからです。活性酸素は免疫を低下させ細胞を老化させ寿命を短くさせ細胞を癌化させます。心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー、みんな活性酸素です。活性酸素を抑えるのは植物です。植物は自分の身を守るために抗酸化物質をだします。フィトケミカルを摂らなければいけないということです。手作りの野菜・豆類・発酵食品を摂って添加物が入ったものをあまり食べないようにしてください。そして楽しく生き甲斐があるような生活をしてください。

私は、ティーペック㈱という医療総合会社の社外取締役をやっています。ティーペックというのは、日本の優秀な医師をネットワークで結んでいる会社ですが、そのトップが日野原先生で、日野原先生は103歳で、とってもお元気です。日野原先生は週に2回、可愛い女の子と六本木の素敵なレストランでステーキを食べています。百歳以上の元気な人で菜食主義者は一人もいません。もう1つは、ストレスです。ストレスは自分で対処しなければいけません。ストレスが加わると交感神経に作用して免疫が落ち、ストレスが腸内細菌を減らします。嫌な人とはお酒を飲まないほうがいい。又、お酒やたばこはストレスをとるのに良いため、お酒が飲める人は毎日飲んだほうが良い、但し1日2合までです。

生き物は腸があればいいんです。脳なんていらないんです。『脳はバカ 腸はかしこい』(三五館)という本は売れました。今、うつ病の人が多いが、うつ病の人は脳のセロトニンが少ない。あと一つ、子供の食物アレルギーは私たちが作った病気です。赤ちゃんは短い期間に免疫を上げようと、いろんな物をなめるというのは大事です。一人一人の細菌の種類は決まっているが、努力次第で増えるのです。癌家系であろうが、糖尿病の家系であろうが遺伝子は腸が良くなると変わってしまう、つまり環境によって遺伝子は変わってくるのです。遺伝に関係なく100歳まで生きられる。活性酸素を浴びると寿命が短くなります。活性酸素を抑える色のついた野菜・果物を摂って腸内細菌を増やして免疫を高めることをすると125歳まで元気で生きられるということです。

自然に親しんで笑って楽しく生活して運動する、規則正しい生活をする、ポジティブな思考をする。一日一回は大声で笑いましょう。笑うとみんな元気になります。私たちの体を構成している細胞は1万年前と同じです。「キレイ社会の落とし穴」を聴いて頂きました。

『草原に架かる虹を追って』
-公益社団法人日本柔道整復師会 モンゴルでの記録-

(公社)日本柔道整復師会国際部・金井英樹氏、本間琢英氏

まず初めに金井氏から、モンゴル国の医療状況について説明があり、〝近年、国際評価基準をみたす病院が建設され、益々高度医療・先端医療が進んでいく中、モンゴル国で頻度の多い外傷は、柔道整復師が得意とする症例ばかりです。急成長する中央の医療と裏腹に地方医療は相変わらず医療インフラが整備されていない。特に第一医療を担うバグの医師が適切な治療を施せるようになることが大切で高度な医療機器を必要としない柔道整復術はモンゴルの医療にとって大きな効果をもたらすのではないかとして柔道整復術普及プロジェクトが始まりました〟など、活動目的等についても報告が行われ、次に本間氏から、皆さんに知っていただきたいこととして、〝平成18年から活動が開始されましたが、実際はそれ以前から活動は始まっていました。現在のこのプロジェクトは、日整の資金だけではなく、ODA・JICA等国から約2億円の支援を受けています。国が日本柔道整復術の有効性、必要性を認めて国民の税金が投入されています。外務省が抜き打ちで調査した我々の事業に対する評価は○Aという高い評価を受けています。これまでモンゴル全域で活動を続け、再講習会・スキルアップ講習会を実施。ウランバートルでの市民公開講座では、250名以上の方々が参加されています。プロジェクト終了後は指導者候補の5人を中心にモンゴルでの普及活動を担っていくことになります。モンゴル語の柔道整復術テキストブックとハンドブックを発行しました。モンゴル語で保存療法に関する専門書が出されたのは10年以上前ということで、モンゴルの医療機関の人々、大学、学生にとって貴重な教科書となっています。その後外傷に対する徒手治療の数が非常に増えてきているというデータが上がっています。また、日本研修は年2回、整形外科と柔道整復施術所で2か月間の研修を行っています。最近の出来事では、モンゴルの国民医療百科事典に「柔道整復術」という文言が記載され、モンゴルの医療の中に「柔道整復術」という言葉が入ったことは、今までの活動の大きな成果であると思っています。先月の派遣でモンゴル国立医療科学大学の学長が、日本大使・保健大臣の前で来年9月、大学に柔道整復学科を創設すると明言されました。また地方の県立病院、保健所からの要請文〝来年でこのプロジェクトは終わりますがモンゴルの地方の事情として更に普及活動を続けて頂くように国を通じてお願いしたい〟というものが沢山来ており更に増えることが予想され、いよいよ我々が念願としてきたことが一つ一つ実現に向けて走り出したという実感を強くもっております。プロジェクトの最終的なゴール地点は、モンゴルの各医療機関で柔道整復術を用いた外傷治療がスタンダードになることで、その上位目標を目指すにはまだまだやらなければいけないことが沢山あります。我々は日本人として、日本の柔道整復師としてこの素晴らしい技術を世界に発信するという強い意志で今まで活動してきました。またこれからも頑張ってやっていきたいと思っています〟と志高く明言した。

この後、第一会場では、近畿超音波画像観察小委員会より演題発表・一般発表、第2会場では養成校学生によるポスター発表、第3会場では、近畿超音波画像観察小委員会による活動報告、第4会場では日整保険部介護対策課・川口貴弘氏による介護保険に関する発表が行われた。

学術功労賞表彰者は、兵庫県・根來信也氏、滋賀県・伊部正記氏の2名。発表表彰者は、滋賀県・梅田周司氏が受賞した。 閉会式が行われ、学術委員長・綾田剣一氏より、〝今回の大会では、新たな試みとして一般の方に特別講演に参加して頂いたり、府民スペースを設けたり、柔道整復師の活動や歴史を知って頂くため展示もしました。私たちの業界を取り巻く現状は厳しいが、地域の人々に我々の学会活動に参加して頂き、柔道整復師のことを深く周知、理解して頂くことが我々の業界を明るい方向へ導いてくれると信じています〟。司会の奈良県・福本善之先生、和歌山県・古久保成紀先生、兵庫県・長山誠先生、滋賀県・川戸典知先生、京都府・田中弘昭先生等、共に支え助けてくれた方々を紹介し、皆さんにお礼と感謝を述べた。

最後に〝近畿は一つです。来年の奈良大会も素晴らしい大会になると信じております〟と力強く宣言し、無事終了した。
今学会の参加人数は1,016名、一般参加人数58名であった。

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