(公社)日本柔道整復師会第39回関東学術大会埼玉大会が開催!
平成29年3月12日(日)午前9時30分から第39回関東学術大会埼玉大会が大宮ソニックシティで開かれ、多くの市民が聴講した。
特別講演の前に工藤大会会長は、〝埼玉大会にご尽力頂いた埼玉県の渡邊会長、会員の皆様に心から感謝申し上げます。今日の慈眼寺・塩沼亮潤住職のご講演は、ご来場の市民の皆様の人生にとって素晴らしいお話になると思います。
また会員の皆様には、日ごろ日本柔道整復師会の諸事業に対しご協力頂き感謝申し上げます。
専門委員会では、我々の柔道整復術が如何に安心で安全で安価で提供できるか、そして素晴らしい技術を提供できるのか、最終的に発表されるのが3月21日です。我々日本柔道整復師会の役員は、国民のためにこういう行動を起こしたということ、日本柔道整復師会に名前を載せることで安心して職業を続けられるにはどうしたら良いのか、日整の役員が常に考えているということをご報告させて頂きたい。
今の制度改革と学校のカリキュラム改革が進むと大体5年経つと大きな花が咲いて柔道整復師の技術を必要とする国民、都民、県民の方達に我々の技術がより多く利用され、我々の手当てをもって地域の患者さんに安心と癒しが受けられるような状況を作りたい。
昨年の9月1日にモンゴル国の国立健康科学大学の中に柔道整復セラピー科が誕生し、有明医療大学が協力することになっています。また今年から国際医療財団からの要請でベトナムにおいても協力します。最後に我々のフェイスブックを広報部が世界に発信させて頂きました。
患部に触って心に触れて、そして青少年の育成に協力する、これが日本が誇る伝統医療である柔道整復術です。今日お集まりの市民の皆さん、県民の皆さんこれからも地元の整骨院・接骨院を活用して頂いて、どんな悩みもどんな苦しいことでも地域の接骨院の先生に相談して頂ければと思っております。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。本日は早朝よりお集まり頂きまして有難うございました〟等、開会の挨拶を述べた。
特別講演
「大峯千日回峰行」
慈眼寺住職・塩沼亮潤大阿闍梨
数々の荒行を成し遂げた僧侶の姿が壮大かつ厳粛にビデオで映し出された。往復48キロ、標高差1300メートル級の獣道を、一日も休まず登り下りする。
1999年、奈良県吉野の大峯山で千日回峰行の史上2人目の満行者、塩沼亮潤大阿闍梨。翌年、四無行(断食、断水、不眠、不臥を9日間続ける)も満行し、大阿闍梨の称を得て、現在は故郷仙台に開山した慈眼寺の住職を務める塩沼亮潤大阿闍梨による特別講演『大峯千日回峰行』が行われ、多くの大宮市民と埼玉県民がそのありがたい講演に聞きいった。
塩沼大阿闍梨は、999日間の山の中で神と仏の絆を紡ぎ合った修行の期間を語り伝え、〝この世に生まれた全ての命あるものは尊い存在であり一瞬ということに永遠を感じ、自分の人生を大切にやっていきたいものです。
私もこれからまだ人生の修行が残っていると思いますので一瞬一瞬を今の心が花開くくらい、心を明るい方向へ向けて共に歩んで参りましょう〟と結ばれた。
日整国際部活動報告
「JICA草の根事業(パートナー型)日本伝統治療(柔道整復術)指導者育成・普及プロジェクト~プロジェクト終了時評価を終えて~」
(公社)日本柔道整復師会国際部田澤裕二氏・金井英樹氏
〝公益社団法人日本柔道整復師会が約10年間活動した日本伝統治療柔道整復術指導者育成プロジェクトは昨年の8月31日にて終了しました。このプロジェクトの目的は、医療インフラが整っていない地方において第一次医療を担うバグ医師が適切な治療を施せることになることであり、全てのモンゴル国民が平等に治療を受けられるようにすることです。
私達は柔道整復術の特徴を生かし現地で入手可能な材料を使い治療することを念頭に活動を行って参りました。本プロジェクトの特徴は日整の自己資金のみで行う事業ではなく日本の国民の税金であるODA式を使って実施している点です。国が柔道整復の必要性を認め、それに対して資金を出すというところに大きな意義があります。
2011年にJICA草の根技術協力支援型からモンゴル国において柔道整復術の指導普及が可能になることを目的としたパートナー型へ移行しました。カウンターパートであるモンゴル国立医療科学大学は、国内唯一の医療大学で医療行政に多くの人材を排出しており、世界各国の医療大学にも協力関係を結んでいます。このプロジェクトでの受講者数はのべ1800人、講義時間は1000時間をこえました。
柔道整復術普及は医療従事者のみならず毎年地方とウランバートルで怪我に対する処置について市民公開講座を行い、一般市民に啓蒙して参りました。
本プロジェクトの最終的な目的はモンゴル人に柔道整復術の指導する者を育成することでした。選出された4人の指導者は高い志を持ち、モンゴルと日本国内で臨床実習を行い、技術習得に励み、現在はモンゴル国内の医療機関で働きながら講習会を各地で開催し、柔道整復術の普及活動を継続しております〟等、報告。
なぜ柔道整復師がモンゴル国に受け入れられたかについて〝JICAの皆さんの献身的な協力と指導〟〝柔道整復術はモンゴルの現状にあっている〟〝全土を万遍なくまわり講習会を実施した派遣員の努力〟〝CPとしてのMNUMSが積極的に協力してくれた〟〝実技を中心とした講習形式〟〝モンゴル語テキストブック・ハンドブックの作成〟〝モンゴル国柔道連盟との連携〟を上げ、今後の課題として①整形外科医との協力体制の構築 ②公的保険制度の対象となる ③医療制度の中に入るためには柔道整復術を身に付けた医療従事者が継続的に排出される ④医師をはじめとした医療従事者の理解を得る。様々な医療職種が参加する学会の創設・協会の設立 ⑥5人の指導者のさらなるスキルアップ等について述べた。
介護保険に関する講習
「2016 柔道整復師と介護保険について」
(公社)日本柔道整復師会保険部介護対策課・三谷誉氏
〝これから介護保険の波がやって来ます。国は、介護予防の整備をこの4月までにやるように、市町村単位で整備をしていきましょう。住居も何とかしていきましょうとしており、市町村は慌てて取り組んでいるところです〟と話し、先生と奥さん2人で接骨院のやれること等について解説した。
介護予防の具体的アプローチについては、リハ職等を活かした介護予防の機能強化をはかり、ケアカンファレンス等に参加することにより、病気の特徴を踏まえた生活行為の改善の見通しを立てることが可能となる。
要支援者等の有する能力を最大限に引き出すための方法が検討しやすくなる。通所と訪問の双方に一貫して集中的に関わることで、居宅や地域での生活環境を踏まえた適切なアセスメントに基づくADL訓練やIADL訓練を提供することにより、「活動」を高めることができる。
住民運営の通いの場において、参加者の状態に応じて、安全な動き方等、適切な助言を行うことにより、生活機能の低下の程度にかかわらず、様々な状態の高齢者の参加が可能となる。住民主体の体操教室など通いの場は、高齢者自身が一定の地識を取得した上で指導役を担うことにより役割や生き甲斐を認識するとともに、幅広い年齢や状態の高齢者が参加することにより、高齢者同士の助け合いや学びの場として魅力的な場になる。
また、参加している高齢者も指導者として通いの場の運営に参加するという動機づけにもつながっていく。高齢者の社会参加を通じた介護予防の推進としては、定年後の社会参加を支援する等を通じて、シニア世代に担い手になってもらうことにより、社会的役割や自己実現を果たすことが、介護予防にもつながる。
「柔道整復師は何ができるか?」1.外傷の専門家として 2.総合事業の通所型A・Cの機能訓練指導員として 3.総合事業の訪問型Cの機能訓練指導員として 4.総合事業の通所型Bのサポート 5.認知症高齢者の見守りネットワークであるとして、事例や費用比較等を紹介。
また柔道整復師として何をすべきか ①介護保険制度を理解 ②地域支援事業を理解 ③新総合事業を理解 ④介護予防の理念を理解 ⑤介護予防の機能訓練を理解 ⑥柔道整復師は何ができるかを理解 ⑦団体として、市町村と交渉と述べ、最後にIADL低下の後にはADL低下が起こる。一般高齢者の17~30%にIADL障害がある。高齢者住宅の入居者は50%が低下し、居宅サービス利用者では95%が低下している。
早期喪失のADL入浴にのみ援助が必要な人の殆ど(98%)がIADL障害がある。IADLの自立に関心と能力のある場合に介入は有効である等、報告。
基調講演
「日整の今後の戦略について」
(公社)日本柔道整復師会会長・工藤鉄男氏
〝天上には龍が住む。柔道整復の種が風に乗って、今モンゴルの地に舞い降りた。時代と共に歩み、現代人が忘れかけている精神道を先人たちにより受け継がれてきた。世界に、海外に挑戦がはじまる。世界に繋げる夢。世界規模で構築し、独自の戦略で日本の未来に貢献していくことを誓います〟と迫力のあるビデオ映像が流れた後に登壇した工藤会長は〝この組織を未来に繋げていく、黄金時代をつくっていくことが我々執行部に課せられた課題である〟と述べ、そのためには時代の潮流における「潮目」を読むことであるとして、S63年7月14日厚生省保険局長通達保発89号 個人契約者の誕生、受領委任形式を希望する柔道整復師制度の開始。H10年8月27日福岡地裁における柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決(福岡柔整学校の開設にかかる行政訴訟)養成校の乱立と柔道整復師の増加にいたった経緯を解説。
また執行部二期目に「名称統一」の取り組を行い、接骨師会を「柔道整復師会」に全て統一した。H26年4月1日付け療養費料金改定の実施は、消費税増税での療養費料金改定において①プラス改定の実施(0,68%)②附帯条件のない改定の実施(前回H25年5月1日改定で、3部位目給付の見直し等があった)ができた。更に10数年間手付かずの「柔道整復師学校養成施設カリキュラム等の改善」について、大幅な改正を図ると共に、柔道整復師国家試験の出題数増加等、柔道整復師の質の向上を図る。
H28年度の三者協定制度改革において、世話人会による厚生労働省担当部局との打合せ会の実施によって60年来の制度改革が実現しつつある等、その内容について説明。
更にH28年10月1日付柔整療養費料金改定の実施については、保険者側の「マイナス改定」主張を打破し、骨折、脱臼等、柔道整復施術の基本的評価として+0.28%を実現。前回同様、附帯条件のない改定の実施を行った。
災害対応の新たな仕組みとしてはH28年4月の熊本地震の後、災害対策の基本理念及び基本方針、また災害対策積立金規定を策定し、新たに、DJATの救護活動等に対する経済的援助等ができる仕組みを確立することが出来た。
《今後の展望》について「柔道整復師向けの教育機関を創設」日本伝統医療継承のため、平成29年度の開学を目途に、骨折、脱臼の確かな技術と知識の後進への継承を目標とした日整NPO法人による教育機関の創設。
「国際事業の展開」モンゴル事業の後継国際事業として、例えばベトナム国での「柔道整復術の普及」及び「柔道整復制度の創設」等を図る。
「柔道整復師法の改正(法律改正)」①医師の同意において、「顎の脱臼」については、限定的に、医師・歯科医師の同意に変更②施術所の開設者を「柔道整復師」に限定(現行=法人による開設が可能)「柔道整復画像センター」(仮称)構想、並びに厚生労働省研修生の派遣等について紹介し、力強い講演を行った。
引き続き、会員による7題の研究発表が行われた。
研究発表
- 幼児の鑑別困難な上肢外傷の考察栃木県 大芦昌代氏
- 足部横アーチ低下症例に対する足趾・踵荷重起立台の適応山梨県 山本啓示氏
- 足底テーピングとSLRの関係について千葉県 藤井英之氏
- 腰部外傷患者に対するストレッチと筋力強化群馬県 井浦将文氏
- 関節制御における伸縮性テープの有効性に対する数値的評価神奈川県 山後恭一氏
- 柔道整復術における古典的施術法~撓骨遠位端骨折の固定法より~茨城県 新井俊行氏
- 尺骨骨幹部疲労骨折が複数発生した1症例埼玉県 寺嶋竜太氏
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