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『整骨みらい塾』勉強会を開催!

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平成29年9月3日、午前10時より帝京大学宇都宮キャンパス地域経済学科棟1階大講堂において、『整骨みらい塾』勉強会が開催され、はじめに熊倉靖氏が開会の辞を述べた。

宇井肇氏

次に整骨みらい塾代表の宇井肇氏が〝柔整みらい塾を開催します。九州から塩川先生に来て頂きました。仙台からは秋山先生に来て頂きました。
秋山先生は私の同級生のご子息ですが、我々の手技ではあまりやっていない治療法で、主に指圧ですが、私がやってもらって非常に良かった。私は、骨接ぎは骨をつがなくちゃダメだとずっと言い続けてきました。
しかし最近は、骨折の患者さんが殆どみえていない。
いろんな患者さんに来てもらわなければならない。そのためには、今日勉強するような治療が良いのではないかと来て頂きました。最後までよろしくお願いします〟等、挨拶を行った。

今回の勉強会は二部構成で行われ、第一部では帝京大学理工学部客員教授・塩川光一郎氏が、『ギリシャのアフリカツメガエル国際会議で受けた表彰状の内容と平成31年度より実施される専門大学構想が柔道整復学に与える影響について』の講演を行った。

塩川氏

塩川氏は、〝アフリカツメガエルの分子生物学の国際会議は最初、1984年にアメリカはバージニアのエーリー・ハウスという国際会議場で30人から成るいわゆるclosedのワークショップ形式で行われました。
その2年後から約250~300人の自由参加の形式で2年毎に開催されてきました。
中でも、「第11回アフリカツメガエル国際会議(東京)」が、カズサDNA研究所のあるカズサ・アカデミック・パークにおいて、34年間で一度だけ日本で開催しました。1962年にガードン博士のクローンガエルが出て、約20年後にエバンスのES細胞、約40年後に山中先生のiPS細胞が出たというナイル川のような大いなる学問の流れの中でノーベル賞が次々に出ました。

細胞の分裂はどのようにコントロールされているのか。細胞の分化と分裂のコントロールの研究からヒトの身体のコントロールを目指す研究に発展してきました。昨年は第16回の会議でギリシャのクレタ島で開催され、私は思いもよらず、合計17回のアフリカツメガエルの国際会議のすべてに「一度も休まず参加・発表してきた世界でただ1人の人」ということで、ノーベル賞受賞者で会議の長老のガードン博士直筆の文章と他の4人の現地開催責任者全員のサインのある「特別賞」を授与されました。

2つ目のテーマは、「専門大学構想」についてです。
2017年4月28日、衆議院文部科学委員会可決。5月10日、学校教育法改正案を閣議決定。5月11日、衆議院本会議可決。5月24日、参議院本会議可決。柔道整復学科にも関係する事柄として、文部科学省の大学設置に関する修正案が通過しました。

新たな高等教育機関を創設する学校教育法を改正する閣議決定をしました。文部科学省が方針を55年ぶりに変え、実学をもっと重要視して、専門学校と名のつくような学校で十分世間に貢献している学校を大学にしようということで、専門大学若しくは職業大学という名前で新しいジャンルの大学をスタートさせます。

実は、尊敬する有馬前文部大臣が10年位前に文章に書いており、それを読んで知っておりました。これは「専門大学」という、従来の大学群とは全く異なる枠組みの大学を作ろうという試みで、全国の力のある専門学校を大学に格上げして、国民生活の足腰を補強しようという今までには無かった新しいタイプの大学構想で、

  1. 既存の高等教育機関との違いを鮮明にすること
  2. 必要な職業教育が為されること
  3. 企業や地方公共団体との連携をしやすくしておくこと
  4. 実習を企業などと連携して基準を定めること
  5. 私学助成のために更に大幅に予算化すること

と付帯事項に記され、又ITや観光の部門であるように書いてありますが、当然、柔道整復学も含まれます。このような高等教育環境の変化は、われわれ柔道整復学に関係する者としては、10年前に帝京大学で4年制の柔道整復学科をスタートさせたときと、本当のところどう違うのかを考えておく必要があります。

一つのポイントは、大学院の今後の運営の仕方では無いか。
つまり、多くの日本の「柔道整復師養成校のための教員」を養成する機関としての意義を最大限生かした運営方針の堅持・展開では無いかと私は考えています。

冲永学長が目指しておられた地域一体型の大学運営について、この未来塾の代表になっておられる宇井先生がその当時の栃木県柔道整復師会の会長でしたので全面的にバックアップしてくれました。と同時に全国の日整会長だった萩原先生がおられたので帝京大学の方針である地域一体型の柔道整復学科の発信力は極めて凄いものであり、有難いことでした。

栃木県の柔道整復師として勉強しておられる方は非常に尊い訳で、大事です。市民全体の健康を担っておられる皆さんは益々重要にならないといけないと思います〟等述べた。

引き続き第二部では、あきやま整骨院(仙台市)院長・秋山智幸氏を講師に招いて、「筋徒手療法(MTM)~理論と実技~上肢編」を行った。

秋山氏

秋山氏は、〝いま整骨院には様々な患者さんがいらっしゃいます。その中で「筋徒手療法」は、患者さんの症状に対して有効的な治療法です。
腰とか肩、膝のような症状、骨折や脱臼、スポーツトレーナーのような現場、介護福祉のほうでもこの治療法を積極的に活用して評価を頂いています〟と話し、「筋徒手療法」とは、解剖学と生理学根拠のもとに主に手指を用いて機械的刺激を生体へ入力することでその対象疾患である持続的収縮筋症候群の諸症状が軽減・消失するのを期待している治療法であり、また持続的収縮筋症候群とは、複数の誘因から生じる持続的収縮筋と局所の循環不全を原因とし、運動痛・関連可動域制限・運動巧緻性の低下・平衡感覚の低下(ふらつき感)・異常感覚(シビレ・ほてり感・冷感・蟻走感など)・不眠などの諸症状に加え、頭頸顔面部の諸症状(頭痛・歯痛・耳鳴り・目のチラツキ感・嚥下障害など)や自律神経失調症の諸症状(全身の倦怠感・多汗など)、多彩な症状を呈する症候群をいう。

治療対象である持続的収縮筋と局所の循環不全は、同時に存在し、かつ相互に組み合わせる状態になっている。持続的収縮筋が出現、増強していくとそこに局所の循環不全が起こってくる。循環不全によって持続的収縮筋が更に増強されることで局所の循環不全が増強していくという負のスパイラルのような状況が起こっている。

持続的収縮筋を誘因していく原因となるものは、筋・腱への強力な外力(過伸展、内反強制、過伸長など)、筋の酷使や肉体労働、スポーツなども持続的収縮筋を誘因する。
持続的一定姿勢の保持、寒冷環境、屋外作業、残業、徹夜作業、過度の冷房、栄養障害(偏食や過度のダイエット等)タンパク、糖質、グリコーゲン、ビタミンB、カルシウムなどが欠乏することによって持続的収縮筋が発生。

筋連結とは、筋繊維の始まりや終わりが骨(骨膜)のみではなく、隣接する筋の筋膜や腱にもあることが多い。筋膜は、徐々に筋束が始まる起始腱膜に移行しており、この腱膜が集まって骨膜と融合し骨に繋がっている。この起始腱膜は隣接する筋と筋との間にも、筋間中隔の様に存在し、その両面から異なる筋の筋束が始まる。

このように、隣接する2つの骨格筋において、それぞれの筋繊維の先端同士が、腱、各種の筋膜、筋間中隔、骨間膜、関節包、靭帯を介して接続することである。筋性疼痛緩和範囲に置かれる治療対象筋は目的運動や肢位を実施するために必要な収縮力や筋長変化を十分には発揮することが出来ない。

このとき治療対象筋の機能不全を補っているのが、この姿勢保持や運動継続の時に参加している治療対象筋以外の筋群である。これらの筋群を総称して運動学的連結筋群と呼んでいる等、解剖学・生理学的根拠に基づいて解説。

休憩後に、肩関節に症状のある方をモデルに実技指導を行い実際の施術方法を披露した。
また、顔面を適切に下げるとともに骨盤の下のクッションや枕を置いて骨盤をやや後傾位にする。最後に〝この姿勢で楽ですか?〟の一言を必ず付け加える、短縮痛が出やすくなるのでタオルを入れることによって防ぐ等の注意を促した。

デモンストレーションの後に活発な質疑応答が行われ、最後に(公社)栃木県柔道整復師会相談役・五月女欣也氏から謝辞があり、閉会の辞を多田明美氏が述べ、終了した。

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