第94回日本感染症学会総会学術講演会 <FUSEGU2020 市民公開講座>
第94回 日本感染症学会総会学術講演会が、「グランドニッコー東京 台場」(東京都港区)で8月19日~21日の3日間開催された。テーマは、感染症学の新時代を切り拓く―“探究する心”を誇りとして―。
最終日に行われた<FUSEGU2020市民公開講座>を取材した。
総合司会の三鴨廣繁氏から〝新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に大変な脅威をもたらしているのは、ご存知の通りです。しかしながら深刻となりうる感染症は、実はCOVID-19だけではなく、麻疹や風疹或いは侵襲性の髄膜炎菌感染症等、他にも沢山ある訳です。特にオリンピックなどのような国際的なイベントでは、世界中から多くの人が集まる催しとなるので様々な感染症のリスクへの備えが必要です。感染症に携わる学会・企業・団体と連携して、注意すべき予防、啓発活動を行う協同プロジェクトとして、まさに防ぐ、『FUSEGU2020』を立ち上げ活動しています。市民向けにウエブサイトや小冊子を制作提供していますので是非ご参考にしていただければと思います。 市民公開講座もこの『FUSEGU2020』プロジェクトの活動の1つであります〟等、リモートで挨拶を行った。
講演1
『新型コロナウイルスからの学び withコロナ・afterコロナにおける私たちの生活』
日本感染症学会理事長/東邦大学 舘田 一博先生
舘田氏は、〝日本感染症学会の総会は今回ハイブリットで行いましたが、全体の登録数は3000人を超え、来場者は約500人です。一つ一つの発表に沢山の人と繋がり、情報交換できるといったことが今できるようになっています。それを私たちは挑戦しており、正にこれがウイズコロナ時代の新しい生活様式、新しい学会の在り方の一つの例になると思います。いま三鴨先生からご紹介がありましたように『FUSEGU2020』がスタートしました。勿論これは東京オリンピック・パラリンピックに向けて、大規模集会マスギャザリングで生じる感染症のリスクを考える。しかも一般市民の人達の目線、視点で考えようといった目的の下に発足した訳です。
今日こうやって市民公開講座を迎えることが出来て、しかも学生の中の有志が集まってくださって意見交換に参加くださることは本当に有難いことです。やはり感染症は専門家だけでは防ぐことは出来ません。いろんな人達が会食、カラオケに行く、そういった中でこの感染が拡がっていますので、どういうことに注意して対応すれば良いのかを学んでいかなければいけない。まさに一般市民みんなとの連携が重要だということを感じているところです。
今日私の立場から、このコロナ、新型ウイルス感染症に視点をあてながらお話させていただきます。
この感染症の増大が今でも世界中で進行していることは、皆さんご存知の通りです。3カ月の間に390万人から2200万人を超え5.6倍に増えており、死者も27万人が77万人と2.9倍になっています。増加のスピードに比べると死者の割合は少し下がっている。これは少し良い傾向かもしれませんが、世界でこれだけの人が感染して、多くの人が重症化していることは重要な事実です。
4月7日の緊急事態宣言に繋がってしまったあの第一波を乗り越えて、いま我々は第二波の真っただ中に居る訳ですが、第一波を乗り越えることで、いろんなことを経験して、少しその対応が上手くなってきました。第一波の時は本当に手探りの中で何も分からない状況の中で対応せざるをえなかったのに比べると、いま皆さんはリスクを知っています。「三密」或いはマイクロ飛沫、お酒を飲んで大声でお喋りすることでうつってしまう等、いろんなことが分かってきました。医療の現場、病院の中でもその対策を、少しずつ学びつつあるという状況が反映されているのかもしれない訳ですが、今いろんな要因が検討されています。
第二波では治療法に関して確実的な方法は無いけれども、いろんな経験が蓄積されてきて、ウイルスの変異が起きてその病原性が下がっているのではないかということも可能性として考えなければいけないという状況だと思います。(中略)
いま我々はオーバーシュートを起こして、アメリカやフランスやイタリアのようになる状況ではないけれども増加が続いている、なんとかこの状況を下向きに変えていかなければいけないということが分科会の中で話し合われ、皆さんにお伝えして、皆さんの協力の下にそれを進めようとしているところです。
我々はインフルエンザのシーズンになるとマスクをしていました。そのマスクをする習慣、花粉症の時にマスクをするというその日本の習慣が実はこのコロナを拡げないということに非常に大事な役目をしているということが分かってきました。即ちこれは、咳やくしゃみだけではなく、お喋りの時に唾液が飛ぶ、目に見える唾液ではなく目に見えない唾液が飛んで作りだされる、暫くの間、その近くを周る。手が届く距離でお喋りをすることによって、うつるリスクが高まる。マスクをすることによってそれを抑えることが出来るということが明らかになっている訳です。偶然かもしれないが、日本のマスク文化が最初の段階で新型コロナウイルス感染症の蔓延を抑えた可能性は、十分にありうると考えていて良いのではないか。そういう風に、みんなが行う文化としての行動が非常に感染症をセーブしていく上では大事であることを改めて感じる事例なのではないかと思います。三密を防ぐ、マイクロ飛沫を防ぐ、手の衛生を徹底する、マスクをメリハリをつけて使う、そういったことが重要であり、大事だと思います。
緊急事態宣言が出され、或る意味その強い宣言の下に先ほど話した、感染を抑え、その後に上手くこの感染症と付き合いながらダンスをするようにそれを乗り越えていかなければならない。そういう風な戦略が言われている訳です。春まで緊急事態宣言で叩かなければいけない、そのタイミングを今見ているような状況にあり、もしかしたら上手く緊急事態宣言を出さないで乗り切れるかもしれない。それはウイズコロナ時代に求められる私たちの生活様式にかかってきている訳です。そういうことをみんなで考えていきましょうというそれがこの『FUSEGU2020』の一番大事な目標です。決してコロナだけではなく、いろんな感染症が持ち込まれる、或いは外に出て行くリスクがある、そのためには我々一人一人がそのリスクを知って、メリハリをつけた対応をとっていく、その生活様式を身につけていかなければいけないことになります。2020で終わりません。2021、22、23、24というような形でこの活動を続けていかなければいけないという風に感じています。
最後に、人・社会・国の分断を引き起こすのがこのウイルスの特長です。その中で、差別や偏見が知らず知らずの中で起きているとするならば、これは何をしなければいけないのか。こういう時だからこそ、みんなで付き合って協力し合っていく中で、〝貴方感染した〟そういう風な情報で差別に至ることがないように、我々一人一人がそれを認識して考えていかなければいけない。それはある意味、メディアの責任もありますし、我々専門家の責任もあります。我々専門家の知識、メディアと共存を組む、そして皆様がた一般の人達との連携・理解の下に差別をなくしていくことが大事です。私たちが考えていることと皆さん方が考えていることの温度差がちょっとあるとするならば、それをなんとか埋めるような、防ぐようなことをしていかなければならないと思います。国民性という力を信じて、これはある意味、私は日本は他の国にはない力を持っていると信じたい。それはみんなが性善説で動ける数少ない国ではないかと思います。多くの人達はみんなで協力しようと思ったら守る、協力することが出来る国、そういう国だと思います。〝なんであいつ、マスクをしていないんだ〟,という風に、それが同調圧力になったり自主警察になって、それが差別や偏見になってしまう可能性を持っている、ここは非常に注意しなければいけない問題だと思います。
私はこのピンチを如何に私たちの大事な経験に出来るか、チャンスに変えられるか。これは我々にとっても新しい技術や革新、そういうものにいかに結び付けられるか、新しい治療や診断の方向を開発できるかということにもなりますし、皆様がたにとっては、こういう時だからこそ〝連携だよ〟〝協力だよ〟〝みんなでそれを乗り越えられるんだよ〟ということを経験して、次に備えるということにしていかなければいけないのだろうと思います。この新型コロナウイルス感染症を『FUSEGU2020』で私たちに今何が求められているのかについてお話させて頂きました〟と結んだ。
講演2
『国際的大規模イベントを迎える日本 その他の輸入感染症にも備えよう』
防衛医科大学校防衛医学研究センター 加來 浩器先生
加來氏は、〝私はこのコロナ時代に多くのインバウンドの方を来年以降お迎えする時に、他の輸入感染症に備えようというお話をさせて頂きます。感染症は、感染菌が無いと成り立ちません。そこに感染経路が無いと成り立ちません。感染経路があり、感染される方が居ないと感染しない。感染には細菌、ウイルス、病原体があり、経口感染、鼻から空気を吸って入って来る経気道という感染経路や、中には皮膚から入り粘膜から感染するといったタイプの感染症もありますし、動物にかまれる、昆虫やダニに噛まれて感染することもあります。
人は基礎的な疾患や基礎的な免疫があり、または特異的な免疫があることによって、発病しなかったりする訳で、私たちはこの感染症の成り立ちの3要素を上手にコントロールします。感染菌を撲滅させる、感染経路を遮断させる、ワクチンなどによって宿主を守るといった考え方です。特にこの3要素でしっかり対策をとる、実は一口で言うと公衆衛生基盤を整備することで感染症をコントロールできる形に繋がってくる訳です。
このような感染症対策で、マスギャザリングといった状況の中でどのようなことが起こるか。本来日本国内に居ないような病原体が入ってくる、または害虫がやってくることも考えられます。沢山の人が集まるイベントでは、バイオテクノロジーの心配もしなければいけません。そういったことも今後考えていく必要があります。私たちはこの輸入感染症が日本国内にどのような影響を与えるだろうかということを考える場合に病原体の症状の強さ、人から人へうつっていくという感染経路を考えて行く必要があります。
病原体を正しく恐れるといった1つのやり方で、症状の強さと感染力の強さというリスク評価をマトリックスを使って考えることがあります。人が沢山しかも外国人が沢山集まるといった状況の中で密集・密接・密閉な空間による感染リスク、即ち「三密」による感染リスクが増大し、感染対策が不適切になりがちだといったことも分かります。
私たち医療従事者のほうで注意しなければならないのは、不慣れな外国人の皆様に対する医療施設での感染対策が不徹底になりがちといったこともあります。一般的に国際的なマスギャザリングの時にどんな感染症が流行するだろうかを予め考えなければなりません。呼吸器感染症等感染ルートが増強されるもの、バイオテロ病原体として使われる可能性があるものについては注意しなければなりません。重篤化なり小レベルでも調査しなければなりませんし、対策が必要になるようなものも注意しなければいけません。主催国では通常みられないような輸入感染症、土着性の疾患、感染性が強い疾患、WHOの国際保健基礎局が、主に広告の義務があるような疾患については特に今回私たちは注意しなければいけない。
是非皆さん今日いくつか疾患を頭の中に入れていただきたいもの、発熱プラス体に発疹が出るような疾患だけ取り上げてみたい〟として、「麻疹」「風疹」の症状や感染経路、コロナとの比較等を解説。 「デング熱」については、〝これは先の2つと違いまして、蚊が媒介する感染症です。発疹は、まず体幹部分にワッと出て、次に四肢末端、顔といった順番で拡がってくるのが特長です。症状がデング症候群、デング出血熱といった重症な病態もある一方で、全く無症状の人が80%います。最後にこれは是非覚えてもらいたい。髄膜炎菌感染症は、発疹性・発熱性の疾患で凄く重い疾患です。足や手に線上出血が出た後にどんどん拡がり、発疹がワッと出て段々褐色になり、最後に真っ黒になってくる。分単位又は時間単位で急速に発疹が拡がって行くのが特長です。(中略)
世界各地での菌株の動き、徴候を見てそれを解析したものを施策に反映させていかなければいけない。市民の皆様には、市ではどのように発生しているかを詳しく把握して、患者さんの早期発見と早期治療をしてもらいたい。緊急事態宣言の時には、不要不急の外出はしないでくださいと言われておりましたが、ウイズコロナ時代においてはこういうリスクがあるが、しっかり感染対策をとるのであれば外出をしてくださいということになり、帰宅後は手洗い、出来ればシャワーを浴びましょうというのも一つの手かもしれません。コロナは、いつ終わるのか分かりません。オリンピックが本当に開かれるかどうかもよく分かりませんが、暑い時期に熱中症とコロナと2つが結びつかないように十分休養と栄養がとれるかたちが重要で、是非参考にしてもらいたいと思います〟等、述べた。
三鴨司会者から〝オリンピックの時にボランティアとして活動する予定です。多くの国から来られた方と接することになりますので、マスクや手洗いなど一般的な感染対策以外に行ったほうが良い感染対策があれば教えてください〟と、一般の方からの質問が紹介され、加來氏は〝日本ではポストタウンということで皆様をお迎えするかたちになります。夫々の国でどのような感染症が流行しているのかといった情報をしっかり知っておくこと、その疾患によって対応策が違いますから、しっかり情報を収集して、備えることが重要です〟等、回答。
パネルディスカッション
『グローバル社会のなか、感染症とどう付き合っていくのか -学生の視点も交えて-』
出席者は、東京大学医科学研究所先端医療研究センター・四柳宏先生、日本感染症学会理事長/東邦大学・舘田一博先生の2名。リモートでの出席者は、後半進行役の東北医科薬科大学・藤村茂先生、明治薬科大学薬学部4年/一般社団法人日本薬学生連盟/APS-Japan2020年度会長・中尾美波さん、日本大学危機管理学部2年・成田直央さん、日本医療科学大学診療放射線学科3年・長谷川犀月さん、国際医療福祉大学医学部医学科3年/国際医療福祉大学プライマリケア研究会・宮澤政淑さん、長崎大学医学部医学科5年/日本熱帯医学会学生部会代表・山﨑里紗さんの6名。総合司会は愛知医科大学大学院医学研究科・三鴨廣繁先生が務めた。
進行役の四柳先生から、〝本日のディスカッションを分かりやすくするグラフィックレコーディングを行っています。今日は5人の学生さんの方にご参加いただきます。右上の方が中尾美波さん、中段左が成田直央さん、真中が長谷川犀月さん、下段左は宮澤政淑さん、下段右が山﨑里紗さん。前半は「コロナ禍の情報格差 正しい行動には何が必要か?」というテーマです。情報の真実を見分けることの難しさ、正しい情報を見分けて、情報交換をしていくかについて学生の皆さんに経験等を伺っていきたい〟。
長谷川:
正しいかどうか分からない情報を周りと共有するということは、誤った情報をもしかしたら自分から広めてしまうかもしれないと思って、この情報が本当に正しいものなのかを自分で考えながら気をつけていました。
「長谷川さんの情報はどういった風に得ていらっしゃったのか?」
長谷川:
ネットで感染症について調べたりというのをずっとやっていたんですが、友達と話したりすると違ったりすることが出てきて、自分で解釈して伝えられるように気をつけました。
中尾:
正しい情報が何か分からない中で不安が広がってしまったということが今までにあったと思います。どうしても普段医療から遠い所にいる人とかですとウイルスという恐怖を前に情報の真偽を確かめるのは難しい気がします。私の友達の場合ですが、インスタグラム等で、手洗い、手の衛生が強く言われるようになってから、凄く気にするようになって春先なのに手は赤ぎれてしまうくらい過剰に反応してしまった人もいました。完全にこれが正しいかを突き詰めていくのは、知識としても、テレビや新聞とかの情報量としても難しいとは思いますが、情報発信者のほうも受け取り手も気をつけなければならないと考えています。
「正しいような情報を私たちは取りにいかなければいけない。情報交換を上手に出来る人、出来ない人、そういったことで情報格差というのはどうしても生じるのではないかと思います」
宮澤:
WHOや各国からの発信、法的機関等、様々な論文から情報を得ることも考えられますが、情報を集めるという段階で英語の論文等を利用して情報を集めていましたが、その情報が正しいのかどうかを判断するのは2段階でハードルがある感じがしました。専門家の方の間でも意見が分かれているのも今の状況の中で正しい情報を集める難しさを感じると共に情報格差を生じてしまうのではないかというのを実感しました。
「WHOの情報を、日本とあてはめていいものかどうか、ご意見ありますか?」
三鴨:
WHOも試行錯誤であったので、WHOが正しいかと言われるとそうでもないというところがあったと思います。
舘田:
WHO、もしかしたら正しくないかもしれないという風に考えることが凄く大事だと思います。WHOというのは、世界全体で特に貧しい国、リソースがあまりないような国も含めて徹底していかなければいけないこともありますから、もしかしたら日本には向いていないかもしれない情報を発信してくる可能性は当然ある訳です。大事なのは特に何をもってそれを正しい情報と判断していくのか。其処を考える姿勢が凄く大事だと思いました。
「同じ医学生として何かご意見ありますか?」
山﨑:
新型コロナウイルス感染症に関しては、毎日新しい情報がどんどんアップデートされている中で、どの情報が正しいか分からないという、特に情報格差というのを個人単位或いは地域単位でも実感しました。自分は感染症に興味を持っていて疑問を感じて、情報を得ることに努めましたが、調べてみるとメディアで言われたこととちょっと解釈が間違っているかなと感じることがよくあり、情報を得るのもアクセスがあるか無いかで審判し、情報格差が生じるのは大きくあると感じます。あとは地域単位でも、私は長崎に住んでいますが、東京と長崎の情報格差がある。個人単位でも地域単位でも情報格差というのを感じたので、適切に情報を受信して発信していかないと偏見・差別にも繋がっていくので、極めて重要な問題だと感じています。
「個人間、地域間の情報が大事なキーワードかなと思って聞いていました」
中尾:
私が経験したことを2点お話します。1点目、四国に修業でいかなければいけないかもしれないという移動を検討した際に、関東から人が来ると過敏になってしまうから、控えたほうが良いと言われました。四国の感染者数をみても関東とは違います。警戒が強いというのもあるのかなと思います。個人の問題よりも関東の人というバイアスがかかってしまうことがあるのかなと。2点目は、お盆に帰省するかしないかについて結構議論されていたと思いますが、私もその一人で、私は関東に在住し、私の祖母が関西に居ますが、祖父の一周忌で関西に行くことについて家族会議をしました。検討に時間がかかってしまいましたが結局行きました。祖母にとっては、直接孫なり家族と会って話すことが凄く嬉しいみたいで、そういった点でも、同じ情報を受け取っていたとしても個人個人によって受け取り方や判断の基準は違うということを実感しました。
成田:
地域に関わっている視点から、特長的だなと思ったのは、地域ではご婦人の方々がボランティアでやっているような口コミ、真偽は不確かですが凄く特長的だと思いました。高齢者の方々がテレビのワイドショーやネットのニュースを観て鵜のみにしてしまう方々が多かったのが非常に特長的でした。
「同じ情報を持っても響く人と響かない人、或いはそれが正しい行動に結びつく人と結びつかない人、いろいろな人が居るということで多様性ということが皆さん達のお話からも出てきたと思います」
宮澤:
私が所属しているプライマリ研究会では、緊急事態宣言が出され混乱が生じていた4月にコロナに関する情報発信を行いました。同世代に出来るだけストレートに伝える情報発信をして、画像の投稿やメッセージを発信しました。反応が良かったんですが、今から取り組む課題もありました。現在は新しい生活様式が叫ばれるように、外出することが問題なのではなく適切な感染対策を行なわずに外出することが問題であると考えられています。効果的な情報発信の方法としては、不安をあおるような情報発信が発信力が強くて、情報に対して過敏に反応してしまう方がいらっしゃるので、情報発信は難しいと考えられ、人に情報発信をして響かせるということと、正しい情報を正しく伝える、この2点を両立させることの難しさを実感しました。
山﨑:
私は、情報発信に関しては自身でユーチューブで情報発信をしていました。若者向けの情報発信、あとは在日外国人の方に向けて英語の情報発信に取り組んでおりました。同じ若者、同世代という立場で情報発信しようと始めました。情報格差という点でも、在日外国人の方に例えば10万円の給付金の申請の仕方を英語で説明し、それを通じて思ったことは、専門でやられている先生方が出てくださると見てくださる。私自身取り組みをしてみて、リスクコミュニケーションに関しては世代毎にアプローチを変えていかなければいけないと感じました。
40代の方からの質問:
「現時点で、少し心が折れています。これからどうやってこの感染症とつきあっていったらよいか?或いはどうやってストレスを発散させたら良いか皆さんの考えを教えていただけますか?」
中尾:
あくまでも私の考えですが、ずっと緊張状態は続く、人にうつされることを恐れてどうしてもストレスになってしまいます。例えば家から出ないでエアコンをかけて好きなテレビを観るや、この日はコロナウイルスに関することは何も見ない、考えないような逆コロナウイルス対策みたいなかたちでやってみることも長期的な取り組みとして1つあるのではないかと考えます。
後半に入り、進行役の藤村先生から〝新型コロナウイルス以外の感染症、海外から入ってくる可能性が十分にあるとして、加来先生からのご講演内容、備えはどうするかというテーマで考えていきたいと思います〟とあり、ディスカッションが続けられた。
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