(公社)日本柔道整復師会 社団法人設立60周年記念式典を開催
平成25年3月24日(日)、公益社団法人日本柔道整復師会 社団法人設立60周年の記念式典・祝賀会が東京ドームホテルにて開催され、日整所属会員の他、国会議員や関係各所から数多くの参加者が列席した。
記念式典の前には特別講演として日本赤十字社・大塚義治副社長による「赤十字概観、社会保障雑感」と題した特別講演が行われ、一昨年に起こった東日本大震災時の日本赤十字社の活動、事業概要などが説明された。その他にも厚生労働事務次官だった経験を活かし、現在日本が抱える少子高齢化、公的年金制度、社会保障制度などについて、自身の見解を踏まえた解説がなされた。
特別講演に続けて行われた記念式典は(公社)日本柔道整復師会・工藤鉄男副会長による開式の辞で幕を開け、国歌斉唱、会歌斉唱の後、記念式典参加者全員による黙とうで物故者に対し哀悼の意が表された。
式辞として、(公社)日本柔道整復師会・萩原正会長は〝日本柔道整復師会が社団法人設立60周年を迎えるにあたり、公私ご多用の中、各界ご来賓のご臨席を賜り、盛大な記念式典を挙行できます事を衷心よりお礼申し上げます。大正2年、数名の有志が本組織の起源となる柔道接骨術公認期成会を発足し、さらに昭和28年に社団法人設立を果たし、以来全国の会員の皆様と柔道整復術の学術研鑽、国民皆保険への協力、地域医療の普及拡大など、志高く努力を続けてきました。日々地域住民に寄り添い、保健衛生に身を挺してきたことで、国民の皆様の支持や信頼を勝ち得ることができたと自負しています。業界の危急存亡を何度も克服し、私達が今晴れやかにこの場に立つことができる礎を築いていただいた先輩諸氏に改めて深甚なる感謝の気持ちを表すと共に、今後も一路邁進する所存です〟と設立以降、数々の苦難を乗り越えてきた先人達の苦労を称えた。また甚大な被害をもたらした東日本大震災を振り返り、現地では被災した会員も自ら救護に立ち、全国からは多くの有志会員がボランティアとして被災地入りしたことを明かし、公益法人として社会奉仕の精神を持って、今以上に国民に信頼される医療の一端を担う決意を語った。加えて、最重要課題としている柔道整復学の構築をはじめ、柔道整復師を世界に発信する国際交流活動、介護予防機能訓練指導員認定柔道整復師講習会の実施、卒後臨床の確立と行政に対する働きかけ、全国少年柔道大会及び講道館形競技大会の実施などの事業についても、熱意と誠意を持って続けていくと述べた。
続いて登壇した田村憲久厚生労働大臣からは〝国民の健康増進や柔道整復術に対する進歩・発展、さらには柔道整復師の育成に大変なご尽力をいただき心より感謝申し上げます。昭和28年の設立から、日本の戦後の国民の医療、健康をしっかり守っていただいてきました。今、日本は少子高齢化と言われていますが、そんな中で生涯現役社会を作っていこうと我々厚生労働省も色々な政策を進めています。当然、国民の皆様の医療に対するニーズも多様化してきており、柔道整復師の皆様には本当に多様なニーズにお応えいただいています。少年柔道大会などで子ども達の精神育成にご尽力いただいていることにも改めて感謝申し上げます。今、療養費の改定についてご心配されていることと思いますが、色々なご意見をいただきながら、真面目に施術を行っている先生方がこの施術をしっかりと運用できるような成果を得るべく努力していきたいと思っています〟と祝辞を述べた。
その後厚生労働大臣表彰として柔道整復業務功労表彰状、労災補償行政関係功労表彰状が授与され、さらに会長表彰として多数の会員が表彰を受け、日頃の功績を讃えられた。次に目録として、(公社)日本柔道整復師会から日本赤十字社に対し金200万円が贈呈され、来賓祝辞へと移った。
下村博文文部科学大臣は〝私も何度か柔道整復師の方に整復をしていただきました。本日まで1日も休まずに仕事を続けることができたのは、まさに柔道整復師の皆様のおかげであると感謝申し上げたいと思います。課題は色々あることと思いますが、是非文部科学省としても研修等のフォローをしながら、柔道整復師の方々の仕事環境づくりをバックアップさせていただきたいと考えています。先日、2020年のオリンピック、パラリンピックの事前調査でIOCの評価委員の方々が東京に来た際に、『日本はIOCの憲章に則って、ただのスポーツではなくスポーツを通じて人格の完成、人が人として生きる道を教えている。世界のスポーツの中でもそこまで極めた指導をしているところは日本しかない』という話がありました。まさに柔道整復師会の皆様方はそういう古来の思いの中で、さらにそれを医学的な分野に広げていくことによって今日があるのだろうと思います。この60周年を節目にさらに業界が発展されますよう、そして個々の皆様方のご努力が報われるよう我々も新たな自民党公明党政権で努力精進をすることをお誓い申し上げます〟と受療経験者の立場から柔道整復の意義を認め、安倍政権下で業界に対する支援を行っていく意向を示した。
また、自由民主党国会対策委員会・鴨下一郎委員長から〝この60年間できっと様々なご苦労があったと思います。特にこれから若い方々が柔道整復師を目指す中で、国民の皆さんの期待に沿えるようにどう研鑚していくのか、この社団の中の活動にどう参加していくのかといった問題では、役員の皆様あるいは本日ご列席の皆さんそれぞれに大変なご苦労があるだろうとお察しします。高齢化社会に向かう中で、高齢者の皆さんの症状をいかに改善していくか。今日も田村大臣、下村大臣をはじめ多くの国会議員をお招きいただいていますが、我々は皆で力を合わせ、先生方がより一層活動しやすくなるようにしっかりとサポートさせていただきたいと考えています。これから先生方の社会的なニーズ、地域での役割はますます広がり、国民の皆さんの期待も大きくなっていくだろうと思います。皆様のご活躍のために、我々も一助となれるよう活動していきたいと思っています〟と業界改善に対し協力的な姿勢を見せた。
社団法人日本医師会・羽生田俊副会長は〝江戸時代に体系化された柔道整復術は古来の武術である柔術の持つ蘇生治療の側面から発生したもので、我が国の伝統医療になっていると言えます。そして貴会は昭和28年に法人格を取得され、設立60周年を迎えられたことは本会としても敬意を表する次第です。貴会が柔道整復学の構築や卒後臨床研修に取り組まれていることと同時に、柔道整復師の皆様が「精力善用」「自他共栄」の精神に努めて社会に貢献され、国家資格を有するものとして誇りと責任をもって施術されていることを国民は必ずや評価していると存じます。しかしこの国民の安心の基盤ともいえる国民皆保険体制は、長年にわたる医療費抑制策やその他の政策により、その安定的な存続は危機に瀕し、また現在TPPの参加によりその行く末はさらに不透明なものとなっています。このような状況にあっても、本会は国民の大切な財産でもある国民皆保険を守り、国民医療が更なる発展を遂げるよう努力を続けていく所存です〟と横倉義武会長の祝辞が代読され、医療の諸問題を解決していくため柔道整復師会と医師会が足並みを揃えるよう呼びかけた。
その後、祝電披露として〝国民の健康の増進に多大な貢献をされてきた長年のご功績に敬意を表しますとともに、ご列席の皆様の益々のご健勝をご期待申しあげます〟と安倍晋三内閣総理大臣からの祝電が紹介され、(公社)日本柔道整復師会・松岡保副会長の閉式の辞をもって記念式典は滞りなく閉幕となった。
会場を移し政治連盟報告会が行われた後、盛大な祝賀会が催され、列席者たちは華々しい宴席を楽しみながら交流を深めた。
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