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「急性期経過外傷申請書 提出後の報告会」開催

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平成26年4月17日(木)、柔道整復師センターにて「急性期経過外傷申請書 提出後の報告会」が開催された。

主催団体である患者と柔整師の会は、平成22年から『柔道整復診療の療養費受領委任払い制度改革基本試案』を推進し、平成25年度に『柔道整復師施術料療養費請求・受領委任払制度運用改善方策(案)』を発表した。社団JB日本接骨師会が運営するJB接骨院では、既に昨年11月施術分から急性期経過外傷の改善方策案の運用を開始しており、本会議は、改善方策案に基づく急性期経過外傷申請書提出後の保険者の反応を報告し、また保険者から率直な意見を聴取する目的で行なわれた。

開会に先立ち、患者と柔整師の会・患者代表の今城康夫氏は〝昨年6月、柔道整復療養費受領委任払い制度の改革・改善のため、現実的な第4次改革試案を発表し、11月にJB接骨院が同案に基づいた療養費申請を開始した。改善方策実施に当たり、昨年末より施術内容の明確化を図るため、業界統一の柔道整復施術ガイドラインの策定にも取り組んでいる。本日はこれらの調査結果と今後の取り組みを検討したい〟とこれまでの活動について話し、〝柔道整復は私たち患者にとって欠かせない医療制度で、多くの患者が身体機能を回復できたり、痛みから救われたりしている。患者と柔整師の会は、信頼される柔道整復診療制度の改革に今後も取り組んでいく〟と患者目線で切実な思いを語った。

続いて事務局より、急性期経過外傷申請書提出後の保険者の反応と今後の対応について報告された。

保険者の反応として〝支払者として患者の情報がほしいため、実態に即した申請であることは大変良いという意見が非常に多いが、急性期経過外傷は支給対象ではないという見解から情報提供書が添付された申請書は受け入れられないという保険者もある。市町村国保の場合、国保連に審査を委託し支払いを保険者自身が行なっている場合と、支払いも委託している場合で状況が異なる。支払いまで委託していると支給や返却の判断も国保連に委ねているため、国保連が返戻と判断したら、それを覆してまで支給することはできないという意見があった。支払いを委託していない場合は、支給基準外とされて国保連から戻ってきても、状況は把握していて疑義があるとは考えていないので支給すると判断された保険者もある。また、情報提供書を読んでもわからないから送られても困るという意見もあった〟との現状が報告された。事務局によれば、代表的な返戻理由は「支給基準外」や「急性または亜急性の外傷性の負傷とは認められない」等であり、今後は保険者ごとに申請方法を検討・対応しながら2年ほど続けていく予定となっている。

その後、出席した保険者からフリートーク形式で議論が交わされた。

急性期経過外傷申請書・情報提供書に関して

事務局からの報告を受け、保険者からは〝しっかり詳細が書かれている分、逆に返戻されやすくなっているのではないか。ただ、情報提供書自体は申請書だけでは解りにくかったものが保険者が見てもわかるようになったので有難い〟〝点検にそれほど時間もかけられないので情報提供書がなければ素通りして支払ってしまうが、情報提供書があると目に留まり返戻となってしまう。趣旨は理解しているし有意義だと思うが藪蛇ではないのか〟との意見が挙げられ、施術の実態を明らかにして保険者の理解を得ようとする方策案の意図が上手く伝わらないケースもあることがわかった。

司会進行役を務めた社団JB日本接骨師会・最高顧問の本多清二氏は〝まずは保険者に申請書のみ提出し、疑義がある、または判断しかねるという反応があったら情報提供書を送るという方法も考えられる〟と、急性期経過外傷が少しでも支払い対象として認められる可能性が上がるように、対応を検討する姿勢を示した。

亜急性に関して

亜急性の定義の認識については、保険者から〝亜急性には慢性も慰安も含まれていて線引きがわからない〟や〝慢性と書けないから亜急性と書いているに過ぎないという感覚〟といった厳しい見方を示された。一方で、〝保険者としては本来、組合員である患者の痛みを解消するために活動すべきだというのが難しいところ〟〝金額は整形外科の3分の1で済むし、痛くて通っているなら慢性でもいいと個人的には考えている。それでも認められていないのは、内臓疾患等が原因である場合も多いから〟と、板挟みになっている複雑な心境が語られた。

本多氏は〝情報提供書を書けないような施術をしていてはいけない。問題が起きたときに対応するのではなく、予め情報を作成しているから信憑性も担保される〟とコメントした。

混合医療・併療に関して

本多氏は〝現在、政府において認められる方向性になっている混合診療だが、柔道整復でも患者から一部負担金以外に料金を徴収していると思われる部分がある〟と、支払者側として保険者が現場で受ける請求の印象について尋ねた。

これに対しては〝慢性でも自由診療であれば施術しても構わないが、保険請求はできない。しかしルール外の治療でも、なぜ行なったのか医学的判断等が書いてあれば認められることもある〟というように、医科と同様、基本的には混合診療は認めない考えを強調する保険者もあるものの、柔道整復における混合診療に対する明確な取扱い規定はない。〝柔道整復に関しては曖昧なので、患者も「自費で支払わなくていい」と言われたら鵜呑みにする。表に出して議論していかなければならない〟との意見もあった。

本多氏は〝明細書をしっかり書いて、保険適用分と自費請求分が明らかになっていればいいのではないか。漫然と治療をすることのないように、施術所内に「自由診療を希望する人は申し出てください」のような掲示もしてほしい〟と、一部負担金以外の取り扱いについてルール化し、策定中の柔道整復施術ガイドラインに盛り込んでいきたいと話した。さらに本多氏は〝病院で薬を処方されると、服用していなくても接骨院に行くと併療だと言われてしまう。一度医師にかかったら接骨院では診てもらえないのか〟と保険者に疑問をぶつけた。

〝例えば整形外科でリハビリをしている場合、整形外科はプログラムを組んで治療しているのだから、同時に接骨院に行くことは認められない。しかし整形外科から紹介を受ける場合もあるので、時期が重なっていなければいい〟や〝セカンドオピニオンは推奨されているが医師同士の話であって、柔道整復師ではどうなのか疑問。期間が重なっていなければ認めざるを得ないと思う〟というように、同時期に受診していなければ問題はないとの見解が多かった。しかし〝医師の管理下を離れたことが申請書だけでは判断できない〟などの問題もあり、保険者も頭を悩ませていることがうかがえた。

最後に、JB接骨院の小林勉院長より、実際に急性期経過外傷申請書を運用した感想として〝通常の外傷であれば10分以内に判断できるが、急性期経過外傷に関しては期間が経っていることと保険に関する説明が必要なこともあり、初診時には30分程かかってしまう。また内科的疾患を見逃すことのないように検査もしっかり行なっている。そのために、その後に診る患者を待たせてしまいクレームがあった。情報提供書に関しても、データを比較しながら記入しなくてはならないので相当な時間を要する〟と述べ、効率的な作業の難しさがあることが感じられた。

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