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療養費請求のための上手な施術録並びに療養費支給申請書の書き方講習会 開催

トピック

平成26年12月7日(日)、横浜シンポジア(横浜市中区)において、「患者と柔整師の会」主催『療養費請求のための上手な施術録並びに療養費支給申請書の書き方講習会』が行なわれた。本講習会は2部構成となっており、保険者からの療養費の支払いが厳しくなる中で、柔道整復師が適正な請求・活動を行なっていくことを目的として開催された。

会場

1)療養費請求のための上手な施術録並びに療養費支給申請書の書き方
~予診表・施術録・申請書にもとづいての説明~

社団JB日本接骨師会 副会長兼保険部長 諸星眞一氏
社団JB日本接骨師会 事務局部長 澤田成弘氏

諸星氏、澤田氏

第一部『療養費請求のための上手な施術録並びに療養費支給申請書の書き方』では、主に予診表、施術録、支給申請書の記載方法について解説が行なわれた。

予診表については〝必ず患者本人に署名してもらい、先生方は一切記入しないこと。負傷年月日が不明の時はいつから痛み出したかや思い当たる原因についてしっかり話し合ってほしい。予診表の人体図の丸の付け方にも注意が必要〟として、諸星氏は保険者に誤解を与えない記入の仕方を患者に指導するようアドバイスした。また、患者が来院したらまず来院簿を記入させることとして〝保険者の来院日数や日付の調査の際にも役に立つので必ず書いてもらう。併せて負傷名確認書も作成し、次回来院時に渡すようにすると良い〟と述べた。

施術録は〝厚生労働省の支給基準に則った記載・整備事項を網羅したものを作成し、保険者や患者から閲覧を求められた場合は速やかに対応する。なお、施術完結日から5年間は保管しておくこと。リスクマネジメントの観点からも、使用したテスト法や検査結果、症状の変化等も記載しておくと良い。負傷原因となる動作や状況についても詳細に記載すべきだ〟として、実際に返戻された事例を基に記載方法を具体的に解説し〝「どこで」「どのようにして」「どうしたのか」を書くこと〟と述べ、怪我をした状況が想像できるくらい詳細に書くことを心掛けるよう主張した。

支給申請書については、諸星氏は〝自分の書いた申請書に責任を持ち、返戻されても再請求すべきだ〟と語気を強めた。そのうえで〝領収書は施術ごとに毎回発行すること。白紙委任状に関しては患者に対しその旨を説明し、毎回領収書を発行したうえで、毎月の一定の期日には支給申請書の内容閲覧も可能とすることで対抗できる〟と返戻対象になりやすい注意すべきポイントを挙げた。

2)療養費請求についてのガイドライン~医科との併療について~

弁護士 本多清二氏

本多清二氏

第二部では、弁護士の本多清二氏が医科との併療、自賠責保険、「患者と柔整師の会」が作成した柔道整復施術ガイドラインの3点について講義を行なった。

本多氏は冒頭、〝医療は本来現物給付だが、柔道整復は医師の治療が受けられない患者に対し、補完として手当を行ってきたという経緯があり、保険医の治療を受けている場合は不支給となる。では本当にそれでいいのか?〟と問題を提起した。〝投薬期間は保険医の管理下となるが、多くの患者は薬をもらったからと言って保険医の管理下にあるとは思っていない〟と述べ、患者が保険医に処方された薬を服用していない場合など、徒手療法による治療を希望している際の対応について保険者と交渉を進めていると話した。

自賠責保険については〝事故の程度、大きさと施術の期間・内容に相当な因果関係があるかどうかが重要である。交通事故患者が来たときには事故の対応と程度、結果についてよく聞くこと。物損の程度、例えば車同士の事故の場合は、車の損傷の程度を参考にする。しかしむち打ち症は起こりやすく、事故の対応と必ずしも相関関係があるとは限らない。また患者の年齢から更年期症が疑われる場合は、事故が引き金となって症状を引き起こしてしまい治療が長引くケースもある〟と、交通事故患者の治療において押さえるべきポイントを解説。患者から事故に関する情報をよく聞き取り施術録に記録し、それらを保険者に提供するよう強調した。

さらに本多氏は、柔道整復が昭和11年に作られた制度が現在まで運用されていることに言及し〝当時と現在では状況が異なることは明白〟と、制度が疲弊していることを指摘。〝一部の柔道整復師の行動により、柔道整復師は保険者や行政から不信感を持たれている。実態として、柔道整復師は急性期を経過した外傷、慢性期に入ったものも施術しているが、それを慰安行為とどう区別するかが問題だ。そのための基準として、①変形性を素因とするもの、②繰り返し動作により持続的な痛みがあるもの、については治療を認めてほしいと提案している〟と柔道整復施術ガイドライン作成に至った経緯を説明した。しかしそれだけで全ての柔道整復師の生活が楽になるわけではなく、〝薬物治療を行なうか徒手療法を受けるかは患者が選ぶことだ〟として、柔道整復師には生き残れるよう腕を磨いてほしいと訴えた。

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