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第14回医療オリンピックC-1 2016決勝大会開催

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平成28年10月23日(日)13時より、東京国際フォーラム(東京都千代田区)にて『第14回医療オリンピックC-1 2016決勝大会』が盛大に開催された。

第14回医療オリンピックC-1
近藤昌之代表理事

主催者である、整骨院振興協同組合・近藤昌之代表理事は、〝どんな時代であっても、今があるのは過去の人の積み重ねがあるからだ。つまり、今の私たちが未来の柔道整復業界を作っていくのだと思う。現在この業界は厚生労働省に検討専門委員会が設置されたり、カリキュラム改善が検討されたりと大きく変化してきている。そこで大切なのが、患者の意識を取り入れて新しい業界を作るということだ。患者のニーズを取り入れ、介護やスポーツの分野で活躍することが柔道整復師に求められているものであり、我々は新しい分野に参入するために戦っていかなければならない。その時に大切なのが患者からの信頼を得て、地域に根差していくことだ。そしてそのために、マインド、技術、知識をしっかりと学び競っていくのがこの医療オリンピックC-1の役割だ〟と挨拶し、各地区から予選を勝ち抜いてきた出場者を激励した。

医療オリンピックC-1は、2003年に始まり今年で14回目を迎えた。今大会では、各地区予選を勝ち上がった出場者が「医識王」「診断王」「刺鍼王」「矯正王」「包帯王」の5種目において知識と技術を競い合った。

医識王

医識王

医療知識を問う、クイズ形式のオープン競技。予選は会場全体でマークシート形式により行われ、成績上位5名で早押しにより決勝戦を行う。

診断王

診断王

患者への問診から診断までを8分間で実際に行い、診断力を競う。「問診」「視診」「触診」から「傷病、保険説明」等の一連の流れだけでなく、「患者の感覚」なども審査の対象となるため接遇力も問われる。

刺鍼王

刺鍼王

刺鍼の技術を競う。長さの異なる2種類の鍼を使用し、それぞれ1分ずつ片手挿管による刺鍼を行い、総刺鍼数で勝敗を決する。審査は「刺鍼カウンター」を使用し、自動的に本数がカウントされ、斜刺などの違反を行った本数を差し引いた数がポイントとなる。

矯正王

矯正王

様々な手技により、3分以内で矯正技術を競う。歪み分析装置を用いて、立位・屈位・側面の3つの視点から身体の歪みを分析し、施術前後の数値から審査を行う。また、患者および審査員による評価も加えて優勝者が決定される。

包帯王

包帯王

包帯巻きの見栄えやきつさ、実用性などの複数の審査項目から、包帯巻きの技術を競う。準決勝までは足関節、3位決定戦では足関節と肩関節、決勝戦では足関節・膝関節・肩関節・手指の包帯巻きが一度に行われる。

決勝という大舞台に実力を出し切れず悔しげであったり、納得のいく結果に晴れやかであったりという出場者の表情から、それぞれ普段から施術に真剣に取り組み、研鑽を積んでいる様子がうかがえた。観覧者からの声援も飛び交い、会場は活気に溢れた。

全競技終了後、日本柔道接骨医学会認定柔道整復師であり、柔道整復実技審査員、柔道整復研修試験財団認定柔道整復スポーツトレーナーも務める、五日市整骨院院長・庄子元喜氏により特別講演が行われた。

特別講演
『カルテ整備における亜急性損傷と基礎的状態について』

庄子氏

庄子氏は、〝亜急性という言葉をお聞きになったことがあると思う。柔道整復師の施術には亜急性損傷が多いが、今日は亜急性損傷とその基礎的状態との関わりを中心に述べる〟として講演を開始した。
まず庄子氏は〝亜急性損傷の施術時に、原因と長期施術理由をカルテに記載するのに皆さん苦労しているのではないだろうか。患者が具体的に原因を把握していることは少ないため、施術者が患者からしっかりと聞き取りを行ない、施術に当たらなければならない。もしかしたら慢性ではないか、本当に保険診療に当たるのかを曖昧に感じながら施術している部分もあるかもしれない。柔道整復師は漫然と施術を行なっているわけではなく、判断に基づいて施術している。しかし患者は外傷として認識していないのが現実であり、原因として考えられることを問診や検査の結果などから分析し患者にフィードバックすることで、まずは外傷であると認識させることが大切。そしてそのために鑑別や徒手検査が重要となる。必ずある原因を客観的に判断・特定し、患者に認識にしてもらう。つまり、的確な判断は柔道整復師が下すものである。それをカルテに記録として残すことで正当な医療行為としてみなされる。そのためにも日頃のカルテ整備において困っている事象を解決していかなければならない〟として、柔道整復師が正しい判断を下し、患者に原因を認識させたうえでカルテをしっかり整備することが大切だと説いた。

〝柔道整復の治療の多くは軟部組織損傷の後療法である。軟部組織損傷は骨格筋への急性又は亜急性に外力が作用して発生するが、年齢や栄養状態、姿勢・体型、日常生活様式など、損傷直前の患者の身体の基礎的状態は、損傷の発生に大きく関わる。基礎的に慢性疾患や障害部位が存在していると、それらの影響により軽微な外力でも損傷を受けやすいことがあり、それらが急性外傷となる。外傷への理解を深め、基礎的状態と併せて損傷の原因を引き出す、そして患者に気づいてもらい理解してもらうことが重要だ〟とした。亜急性外傷とは、反復あるいは持続される力によってはっきりと原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生するものだ。整形外科でいう亜急性期と柔道整復の亜急性は違う。時間的概念ではなく蓄積性の外傷である〟として、亜急性損傷と判断される症例を紹介し、生理学や運動学などの知識が判断に役立つと述べた。

最後に、〝長い歴史の中で育まれてきた柔道整復だが、業界が臨床を行い、臨床の結果を学校で研究し、学会で理論形成を行うというプロセスのひとつでも欠けたら、柔道整復の将来はないと考えている。それぞれが役割を果たしながら発展していく必要がある。しかしむやみに権利を主張するのではなく、的確な判断を基に正しいカルテ整備をすることが大切である〟と改めて強調した。

質疑応答では会場から〝亜急性損傷の請求について、保険者から返戻を受けることがあるがどう対応すべきか〟との質問が上がり、〝施術には「白」と「黒」しかない。亜急性損傷は外傷として法律的にしっかりと認められたものであり、紛れもなく「白」である。柔道整復の施術はグレーだと言われることもあるが、自分たちでグレーだと思っているからグレーになる。自信を持って施術してほしい〟と力強く答えた。

特別講演終了後、全競技の優勝者が発表され、表彰が行われた。

表彰

医識王     

優勝:今村健太郎(ジェッツ北習整骨院)

診断王

優勝:阿野智也(亀戸駅前中央整骨院)
準優勝:岸澤裕太(町屋中央整骨院)
第3位:杉野貴久(西船南口中央整骨院)

刺鍼王

優勝:真木唯(河原医療福祉専門学校)
準優勝:鎌田真央(河原医療福祉専門学校)
第3位:藤﨑太輔(夢のはり灸接骨院)

矯正王

優勝:加藤大樹(習志野台中央整骨院)
準優勝:木村文隆(お花茶屋北口整骨院)
第3位:高井那央登(亀戸駅前中央整骨院)

包帯王

優勝:岸澤裕太(町屋中央整骨院)
準優勝:酒井信幸(五香中央整骨院)
第3位:熊谷圭一郎(小川の整骨院)

田中威勢夫会長

閉会挨拶として登壇した全国柔道整復師連合会・田中威勢夫会長は、柔道整復療養費検討専門委員会委員としての立場から、今般の療養費改定について〝柔道整復師の技術が評価された改定内容だったと感じている。現在は運動療法と拘縮後療について、もう少し金額が上がらないかと折衝している最中だ。また、公的審査会は今後大きく変わる。審査会は現在も行われており、明らかに不正と思われる請求については保険者に対して返戻するよう要請しているが、それでも支払われてしまうケースも多く、なかなか改善に至らない。そのため公的審査会を強化しようと考えている。調査や指導を行い、あまりにもひどい場合には厚生局からの指導対象となる。また、悪質な保険者に対して意見が言えるような審査会にしていきたいとも考えている〟と、改革の今後の展望について語った。さらに庄子氏による特別講演の内容に触れ、亜急性という言葉について〝整形外科からしばしば「亜急性」という言葉はないと批判されるが、国会での質問主意書において、亜急性とは急性に準ずるものだとはっきり書かれている。つまり、国が定めたことなのだと主張していきたい。しかしながらずっと同じ議論を続けていくわけにもいかないため、今後は「亜急性」の内容はそのままに用語のみ違うものに変更するという話し合いも進んでいくと思われる〟と説明。最後に〝今日皆さんの技術を見て、年々レベルが上がっていると感じた。柔道整復は学問と技術を生涯研鑽していかなければならない職種だ。また患者を診る上では、技術だけではなく施術者の人間性も重要となる。正しい診断・正しい治療・正しい請求をするということを念頭に置いて、焦ることなく、また背伸びすることなく今後も頑張っていただきたい〟と締めくくった。

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