第4回柔道整復師団体情報交換会 開催される
平成28年11月2日(水)、衆議院第2議員会館B1F第3会議室において「第4回柔道整復師団体情報交換会」が開催された。
主催者である(一社)全国柔道整復師連合会(以下、全整連)の田中威勢夫会長は〝本日、第8回柔道整復療養費検討専門委員会(以下、検討専門委員会)が開催され、厚生労働省より出された工程表に対し意見交換が行われた。施術者側からは施術管理者の要件強化について、できるだけ早期に、29年度中に施行するよう要望した。保険者や有識者からも様々な意見が出たが、今後中身を深く掘り下げて議論されるだろう。今回は厚生労働省の方々にも来ていただいているので、先日改定になった労災料金についてもお話を聞ければと思う〟と挨拶。さらに〝情報交換会は回を増すごとに参加者も増えてきており、やりがいを感じている。これからも積極的に活動を続けていきたい〟と意欲を見せた。
(公社)日本柔道整復師会・三橋裕之保険部長は〝施術管理者の要件として実務経験を課すということは、しっかり実務経験を積み、保険請求を理解して鑑別ができるようになってもらいたいという考え方だ。現在は施術管理者に対する要件は何もなく、登録さえすればすぐになれることが問題。しかし、しっかりシステムを作って始めた方が良いのではないかという意見もある。システムを作ってから施行すると5年10年先になってしまうので、施術者側としてはまずは実務経験を積んで施術管理者として認めるようにすべきと主張した。これが業界の自浄作用ではないだろうか。もちろん、既存の柔道整復師にも研修をやっていかなければ適正化にはならない。ぜひ皆さんのご意見もいただきたい〟と挨拶した。
次に検討専門委員会の概要について、全整連・近藤昌之理事より説明が行われた。
近藤氏は〝今日の検討専門委員会では議論の整理に係る検討の方向とスケジュール案について話し合われた。同一建物の複数患者に対する往療料の見直しについては既に10月1日より施行されているが、保険者からは申請書の様式も改めるべきではないかとの意見が上がった。亜急性の文言については、有識者側から質問主意書の内容に囚われずに具体的に根拠を示すようにと厚生労働省に対する意見が出たが、施術者側は「亜急性」を認めないのであれば、他の用語についても医科と同様の表現を使用できるようにするなど、同じ土俵に立って議論すべきだと反論した。柔整審査会の権限強化については保険者側から「効果がない」との主張があったが、施術者側は効果を出すためにも権限を強化し調査もできるようにしてほしいと要望した。しかし保険者からは、権限を強化するならば審査会の人員を増やすなど具体的な案を示すべきとの意見があった。地方厚生局における個別指導の迅速化については、保険者より迅速の定義がなされていないので明確にするようにとの要望があった。一時的にでも受領委任払い中止の権限を保険者に与えてほしいとの意見も上がっている。施術管理者の要件強化については最も議論が紛糾した。施術者側は実務経験の登録だけでも認めてくれないかと意見したが、厚労省はシステムを整備してから施行したいとの主張だった。初検時相談支援料については、保険者側は廃止して初検料に含めればいいと意見したが、業界側は残してくれというせめぎ合いだった。不適正な広告の是正については、有識者から全国調査をやるようにとの意見があった。施術者側も保険者側も適正にしていこうと意見が一致している。長期・頻回事例のデータの収集に関しては、保険者側は必要データを集めても信用できない、回数制限をすればいいと主張したが、施術者側は患者の利便性に反すると意見した〟と説明した。
続いて、労災保険柔道整復施術料金算定基準の改定内容について、厚生労働省労働基準局補償課の古谷真治氏より説明がなされた。
古谷氏は〝労災については健康保険の内容を踏まえて、2年ごとに改定を行っている。11月1日施行で改定が行われたが、初検料は10円の引き上げ、運動療法料は20円引き上げた。骨折・不全骨折・脱臼の後療料については、例えば大腿骨の骨折であれば3,000円引き上げる等それぞれ引き上げを行った。労災には健康保険に準拠した部分と労災独自の部分があるが、健康保険に準拠しているものは健康保険の改定後の料金に1.2倍した額としている〟等、改定の経緯について解説した。
その後、出席団体による検討専門委員会の内容に関する意見交換が行われた。
各団体からの意見
- カリキュラム改正により、実技研修等も増えているのに何の告知もなくいきなり実務経験が課されるのか。今不正をしているのは既に資格を持っている者なのだから、有資格者に対して試験を行って合格者のみ受領委任取り扱いができるようにすべきではないのか。
- 広告の規制を強化しても、無資格者の広告は無法状態のままで何の検討も無いのはいかがなものか。何か対策すべき。
- 柔整審査会の権限強化や長期・頻回のデータ収集等様々な案が出ているが、細かい締め付けをしても問題の解決にはならない。いっそのことまるめ請求にしたら犯罪の温床も消えるのではないか。柔道整復は医療費の削減に貢献していると思っている。もっと生かしていただければさらに医療費も削減できる。
- ガイドラインを出して何が良くて何がダメなのかを具体的に示してほしい。保健所や担当者によって違いもあると思うので統一していただきたい。
- 養成校や教員の質が低いと感じている。支給申請書が作れるのに施術録が書けないという人もいて、教えられる教員が少ないように思う。
- 保険請求等に関しては、養成校の教員が教えるよりも整復師会等が教えたほうが効率的ではないか。
- 亜急性については、柔道整復理論で習った「反復性・蓄積性の外力による」外傷という表現にしたらいいのではないか。
- 施術管理者については、免許取得後すぐに開業することではなく知識がないままに受領委任を扱うことが問題とされていると思う。それならば、患者の鑑別はもちろん施術録や申請書の書き方、受領委任の取り扱いについてカリキュラムに組み込む方が早いと思うが、そうなると果たして実務経験が必要なのかという思いもある。
- 柔道整復の仕事は保険対象であり、制約を受けるのはやむを得ない。不正の実態を良く知っているのは我々なのだから、厚労省にお願いするだけではなくまずは自浄努力をすべき。今すぐでなくても、柔道整復師団体に所属しなければ開業できないようなシステムにするなど、コントロールできるようにしていただきたい。
最後に、全国柔道整復師連合会・竹田潔監事は〝今回、様々なご意見をいただきました。議論の整理として18項目がスケジュール化されているが、業界発展のために良いものにしていきたい。皆様の意見を頂戴しながら進めていきたい。次回検討専門委員会は1月に開催予定となっているので、それを踏まえてまたご参加いただきたい〟と参加を呼びかけ、終了となった。
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