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あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師法制定70周年記念の集い開催

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開催主旨
1947年(昭和22年)12月20日に「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」が制定されて、今年は70周年に当たる。
そこで、法制定70周年を祝い、学術の研究、また、教育に当たるものを含む関係職能専門団体等の代表者等が集い、功労者に対する顕彰及び広く法の意義の普及、徹底、学術の振興、もって権益の確保等を図ることを目的に、記念の集いを開催する。

平成29年11月5日(日)午後1時より東京有明医療大学にて「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師法制定70周年記念の集い」が開催された。
主催は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等法推進協議会((公社)全日本鍼灸マッサージ師会・(公社)日本鍼灸師会・(公社)日本あん摩マッサージ指圧師会・(社福)日本盲人会連合・(公社)東洋療法学校協会・(公社)全国病院理学療法協会・日本理療科教員連盟)

はじめに「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師法制定70周年記念の集い」実行委員長・(公社)日本鍼灸師会副会長・大口俊徳氏が〝多くのご来賓のご臨席を賜り、北海道から九州沖縄まで多くの受賞者の方がご来場され、また7団体から多くの会員が出席し、このような盛大な式が行われることを実行委員会一同心より御礼申し上げます〟等、開会挨拶を行った。

次に7団体の会長紹介が行われ7団体の会長を代表して伊藤久夫氏が〝70周年を迎え、今まで業界団体を指揮して来られた先生方、また地域での地域住民の健康保持増進にご尽力された皆様方に大臣表彰が授与されます。心よりお祝い申し上げます。
さて、あはき業界は早急に解決しなければならない問題が山積しております。特に最優先課題であるあはき療養費受領委任制度は本年3月27日に一定の方向性が示されました。しかしながら方向性だけではなく国民に利益を被るような制度設計をして頂くとして今現在も厚労省と交渉を続けています。
また無資格者との差別化対策では、厚生労働大臣免許保有証を提示、証明書を看板に表示するなど、あはき等の推進協議会でも啓蒙・啓発を続けているところです。
この70周年を節目として我々鍼灸マッサージ師業界が進むべき道を皆さんと共に考えていければと願っており、あはき法において現状に即さない条文も多々あり法改正にも皆さんの力を借りて検討していかなければならないと思っております〟等、述べた。

次に加藤勝信厚生労働大臣代理で厚生労働大臣官房審議官椎葉茂樹氏が〝主催の貴協議会をはじめ、加盟団体の会員におかれては、日ごろより、鍼灸マッサージの進歩発展とその医学的研究推進に努められ、資質の向上等、様々な活動を通じて国民の健康の保持に大きく貢献されてきたことに心から敬意を表します。
昭和22年の制定以降、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師法が70年にわたりその本質を変えず、受け継がれているのは、まさにこうした貢献が社会に敷衍されているからに他なりません。厚生労働省としては、今後もこの法律の理念を尊重していく所存です。鍼灸マッサージ師の皆様方が引き続き自己研鑽を重ねられより一層国民の信頼と期待にお応え頂けるようお願い申し上げます〟と祝辞を代読した。

続いて表彰式が行われ、厚生労働大臣表彰者は(公社)全日本鍼灸マッサージ師会会員・朝倉正博氏(北海道)他25名、(公社)日本鍼灸師会会員・稲井一吉氏(宮城県)他43名、(公社)日本あん摩マッサージ指圧師会会員・安田和正氏(山口県)、(社福)日本盲人会連合会員・及川清隆氏(岩手県)他14名、(公社)東洋療法学校協会会員・坂本歩氏(東京都)他1名、計88名が受賞した。

受賞者を代表して(公社)山口県鍼灸師会監事・前会長・河野紘氏が〝本日ここに厚生労働大臣表彰の栄誉に浴し受賞者一同身に余る光栄です。我々の生業であります伝統医療は明治と戦後の社会構造の大変革という二度の大嵐をくぐり抜けて参りました。
夫々の療法には夫々の特徴がありそれを発展延ばすことが出来るような法体制にして頂きたい。きちんと医療として位置づけて頂きたいというのが私どもの願いで、我々の努力は人類の福祉の向上に繋がると信じ、尚一層努力することをお誓い申し上げてお礼の言葉とさせて頂きます〟等、謝辞を述べた。

続いて来賓祝辞で参議院議員・古川俊治氏が〝沿革を読ませて頂き、先人達の物凄いご苦労があったのだろうと今日あらためて思ったところです。未だ解決すべき様々な問題が残っていると考えています。高齢社会になって中々診断できない患者さんが増えるという風に思っており、東洋医学のアプローチは極めて有効で、先生方にご活躍頂ける場は、更に拡がっていくだろうと思っています〟等、挨拶。

(公社)日本医師会横倉義武会長代理で常任理事・釜萢敏氏が〝あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律の制定70周年を記念し盛大に式典が開催されますことを心よりお祝い申し上げます。
歴史を遡ると昭和22年当時はGHQから厚生労働省に対し、あはきの禁止を求められる時代もあったところです。そうした難局を関係者の皆様がたのご努力で乗り越えて法律が制定され、現在もあはきが広く国民の皆様に支持されていることは大変感慨深いものがあると存じます。
いま大きな転換期を迎え、地域包括ケアシステムをはじめ、医療・介護提供体制を再構築し、持続可能な社会保障制度を次世代に繋げていくことが我々に課せられた使命です。
各医療関係団体が国民とともに歩む専門家集団として知恵を出し合い変革にあたらなければなりません〟等、代読した。

(一社)日本柔道整復接骨医学会会長、学校法人花田学園理事長・櫻井康司氏は〝今日の晴れの日をお迎えになられましたこと心からお祝い申し上げます。温故知新、この70周年を迎えるにあたり、これまで様々な苦労の連続であったといっても過言ではないと思います。
この11月5日は、アメリカ大統領トランプさんが来日した記念すべき思い出に残る日になります。オーバーザレインボーを考え、団体が一緒になって汗をかくことによって初めて次への一歩が踏み出せると思いますし、自分たちのパワーを共有しながらしっかりとした歩みを進めてバトンタッチをしていきたい。
2020年、東京オリンピックがこの近くで開催されます。世界のいろんな方が東京にお集まりになる中で、あん摩マッサージ指圧はり灸の良さを更にPRする機会を設けることが出来れば良いと思います。次の明日へ向かって皆さんで頑張っていこうではありませんか〟等、力強く述べた。

最後に(公社)日本鍼灸師会会長・仲野弥和氏が〝今、大事なところに来たと思います。
皆さんに大変ご尽力頂いたお陰でここまで来られましたが、放っておいて何もしなくても70年、今までの70年を10年位で取り戻そうと思っています。
この素晴らしい医療を何としてでも日本の中に残さなければならない。其処が一番大事なところです。
伝統医療として我が国の中で1つのパラダイムを作り上げられるように尽力することをお誓い申し上げます〟等、明言し式典は終了した。

記念シンポジウム「あはき師の過去・現在・未来」~あはき師の今後に期待するもの~

シンポジストに阿部正俊氏・田村憲久氏・竹下義樹氏・森岡一氏ら4名を迎え、(公社)全日本鍼灸学会顧問・後藤修司氏が座長を務めた。

「あはき師の過去の経緯」

厚生省の医事課長であった阿部正俊氏(元参議院議員)が登壇。阿部氏は〝自分たちの都合の良いことをしてくれではなく、国民の求めるものに応えるためにはこうしなければならないと、あくまでも国民のために行われるもので、その大義がなければ、医事法制というのは成立しない。全ての団体の意見を調整することは出来ません。国家試験にすることは、実は凄い行政改革なんです。伝統と安全、資質の向上を申し上げてなんとか国家試験が実現したと思っています〟等、改革には大義が必要であると話し、また1つの突破口として〝療養指南士というのを作り、良くなったというデータを集積し国民に発信していく。
それがこれからの大きな役目であり、そういう志を持ってやって欲しい。そういうことが鍼灸あん摩マッサージ師さんのこれから目指すべき方向性ではなかろうか〟と述べた。

「あはき師の現在」

衆議院議員、元厚生労働大臣・田村憲久氏は〝昨年の9月、東京国際フォーラムで開催された伝統医学のフォーラムに私も参加をさせて頂きました。
多分来年の5月に決まるWHOの国際疾病分類に関して最終調整をしていると思います。いま伝統医学というのは、世界的に脚光を浴びていろいろなところに位置付けている訳ですが、臨床を目的としながらやっていくという流れの中で西洋医学だけではなく伝統医学が位置付けられていくべきであるという会議だったと思います。
段々鍼灸師の皆様達が増えてきて今はもう10万人近くになっていますので、質というものを担保していかなければならないとしてカリキュラムの見直しを行うことになった訳です。
また社会保障審議会の中の検討専門委員会で受領委任払いを導入すべきという制度設計を議論、30年度からスタートする方向で進めています。不正はしっかり防がなければなりません。
本当は伝統的な鍼灸の皆様がたの技術を益々磨いて頂き更なる高みを目指して頂きたい。
私が大臣の時に地域包括ケアを制度化しました。地域包括ケアで日本の超高齢社会を乗り切っていかなければなりません。慢性の疼痛で苦しまれる高齢者の方も増えており、機能訓練指導員が地域包括ケアの中に入って頂くこともあります。
医師の先生方としっかりコンタクトをとって頂いて、皆様達に超高齢社会を担って頂くことでより快適に過ごす社会を作れるのではないか〟等、話した。

「あはき師の過去・現在・未来」~特に弁護士の立場から~

日本盲人会連合会長、弁護士・竹下義樹氏は〝我が国のあん摩の伝統というのは極めて長い歴史をもっています。杉山和一総検校が有名ですが、ハリ灸マッサージがいわば盲人の専業として300年の伝統を作ったという歴史があり、視覚障害者がそういう伝統に果たした役割は極めて大きい。
明治以降、最初は業者の取り締まりという規則からスタートして、今日のテーマとなっている法律によって制度化されたのが今から70年前です。しかも今から27年前に国家資格制度にまでなったのです。
ところが我が国では無免許者が当たり前のように業を行っていることを皆さん如何思いますか〟と述べ、竹下氏は、昭和35年1月27日の最高裁大法廷の判決について、〝「医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害をおよぼす虞があるからである」と限定してしまったために、取り締まることが出来なくなったことが今の日本の状況である。無免許が何故ダメかというと昭和35年1月27日の最高裁大法廷判決で少数意見であった「人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する」とする考え方には反対だとして、有害、無害は一概に判断出来ない場合が甚だ多い、故に法律は医業類似行為が一般的に人の健康に害を及ぼす虞のあるものという想定の下にこの行為を禁止している。
害が及んでから取り締まっても取締りにならない。国民は安全という見地から無免許問題を考えるとするならば、もっと安定性をもって取締が出来る体制をもう一度考え直さなければと思います。今後どういう取組みが必要なのか。
危険な業務を放置することによって国民に害を及ぼすことは国の厚生行政の怠慢だということを明確にすることであり、業の発展は制度の発展なくしてあり得ない。この状態を放置すれば制度そのものが崩壊するということを事実をもって国や裁判所に示していくことが問われており、又あはき師としての質の向上が伴わなければ制度が壊れてしまう〟等、訴えた。

「あはき師の今後に期待するもの」~特に未来について~

東京農業大学客員教授・森岡一氏は〝私の専門分野は特許などの知的財産という分野です。
現在の知的財産制度の仕組みは、今まで誰も創造したことがない、考えたことがないような物を発明した、或いは創造した人が文章にして紙に書いてそれを特許庁に審査してもらう。新しくて世間に公表すると有用性があると権利として認められるのが現在世界で行われている知的財産制度で、私はその分野でずっとやってきましたが、非常に興味のある分野があり、それは新しく誰かが創造したモノではない知識が世の中にはある訳で、伝統的知識という昔から連綿と続いて来て皆さんが創り上げてきて、ある一定の知識となって世間に流通しています。
今でいう知的財産の制度ではちょっとカバーできない知識になりますが、なんとか権利として認められる方法はないだろうか、というのが私の随分前からのテーマです〟と述べてから〝今の高齢社会でそういった知識を持っている方がいなくなっており、何とか守らなければならないとして、1992年に環境保護を目的に生物多様性条約が作られ、2010年には名古屋議定書が作られ、今年の8月20日に日本が批准しました。その名古屋議定書の中に、伝統的知識を保護しようとしておおまかな仕組み・制度を作ろうと書かれています。
例えばインドではアーユルベーダやヨガを保護しようと伝統的知識の法律を定めたりデータベースを作りそれを使う人には許可が要るという制度を作っています。
同様に中国も韓国も施行されています。日本では伝統医学或いは伝統的知識を保護しようという動きは殆どないが、いま後藤先生が熱心にお考えになっておられるので私も参加させて頂いています。日本の伝統医学には非常に優秀なものがあるというのは事実で、それを如何に保護していくか。やはりデータベースを作っていくことが必要ではないか〟等、提示した。

後藤:
来年の5月にWHOが正式に決めようとしているのが、国際疾病分類のICDの中に伝統医学を入れることです。JLOM日本東洋医学サミットという組織が関わっており、全日本鍼灸学会、東洋医学会、日本鍼灸師会、東洋療法学校協会も入っています。
日本の鍼灸マッサージ界の中でどの様に使われているかを調査しなければいけない新しい段階に来ています。今日は多岐にわたる話題であり質問は用紙で提出して頂きたい。

「言い残したことがあれば?」として

阿部:
世の中というのは、要望を出していくことは非常に大事です。
それを人に繋いで伝えていく。どういう風に実現するか、どういう風な努力をしたかが大事です。1つこれから先のことで、自分たちは何が出来るのかをキッチリ把握し資質の向上について、国民にどういうアピールをして実行すれば良いかを是非やってみることです。
そうしないと世の中動きません。

田村:
受領委任という制度がどういうものであるのか。利便性が高まるのはあくまでも国民で、そこの意識をしっかりと勉強頂くことと責任がより大きくなるということをご理解頂きたい。

竹下:
この時期にこそ無免許と有資格者の差別化が本当に出来ないと我々が誇りを持ち続けて国民のための担い手として今後の制度維持が出来ないという危機感を持っています。

阿部:
私は全てを取り締まることは出来ないと思いますが、名称を用いて業をすることはダメということは出来ると思います。行為自体を取り締まるというのは不可能に近いと思います。

後藤:
データベースを作っていくにはどんな風に手をつけていったら良いでしょうか?

森岡:
やはり臨床をされている方が一番よくご存知のはずで、その方がどんどん発言して、書きとめていく、知的財産というのは文章化が凄く重要ですのでそれを実務の方がやって頂くのが一番重要です。言い残したこととして、如何にモチベーションを上げるかが政策的には非常に重要なことだろうと思います。
やはり「伝統医学振興基本法」というような皆さんが目標を持てる、集中出来る目印を先ずはじめに志向されたほうが纏まりやすいと思っています。

最後に後藤座長から〝なぞるだけではなく、このことは日本の世界貢献に繋がるのではないかと思っています。所謂高齢化少子化は全世界、先進国で拡がっています。日本ではこういうものを活用して乗り切ろうとしていることを示していくためにも「伝統医学振興基本法」を団体として取り上げて1つの目標にしていかなければいけないと思っています〟と纏め、終了した。

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