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第1回健康施術産業展が開催される!

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令和2年2月12日(水)~14日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて、東京ケアウィーク2020「第1回健康施術産業展―からだケアEXPO―」(主催:ブティックス株式会社)が開催され、全国各地より多くの施術者および業界関係者が参集した。なお、東京ケアウィーク2020では「第6回国際介護用品店/介護施設産業展/介護施設ソリューション展」「第1回在宅医療総合展」「第3回超高齢社会のまちづくり展」「第3回健康長寿産業展」「第3回次世代介護テクノロジー展」が同時開催された。

第1回健康施術産業展

柔整業界の今後の展望

公益社団法人日本柔道整復師会 理事・学術教育部長
長尾淳彦氏

平成31年3月時点で、柔道整復師の登録者数は約11万人、施術所数は約5万件にも上り、いまや業界は飽和状態にある。

柔道整復の歴史は古く、718年頃にははり・灸とともに古書に記載されている。1920年(大正9年)に内務省令により公認され、今年で100年の節目を迎える。柔道整復が隆盛していた時代には、千住では名倉家が「江戸の骨接ぎ」として名を馳せ、その周囲には宿が立ち並び、各地より骨折・脱臼の患者が詰め掛けていたという。また、福島では医学博士の鴫原氏が「接骨療院」としてまるで学校のように大きな施術所で整復・固定を行なっていた。昭和11年には健康保険の取り扱いが認められたが、それは「柔道整復師は必ず治す」、「柔道整復師は不正をしない」という信頼と信用があったからである。

平成元年には、柔道整復師法改正により都道府県単位で実施されていた柔道整復師試験が国家資格となったが、個人請求者の増加や養成校の乱立により施術所数も爆発的に増え、次第に柔道整復師の収入は減少していき、平成の終わり頃になると不正請求の問題等で柔道整復業界全体がバッシングを受けるようになった。

そこで業界内部から是正していこうということで、厚生労働省をはじめとする行政とともに「平成の大改革」を実行した。具体的には、公的審査会の権限強化、養成校のカリキュラムの改正、施術管理者の要件強化などを実施した。
改革の一部として、電子請求化に向けた取り組みを行っている。厚生労働省により関係各所へのヒアリングが既に行われており、現在は業者を公募している段階となっている(2020年2月12日現在)。1年や2年では難しいかもしれないが、近いうちに柔道整復も電子請求化されると認識しておいていただきたい。
一昨年からは「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が開催され、広告に関するガイドラインの作成や広告可能な事項の見直しについて議論されている。法の目をかいくぐるような不適切な広告が散見される今のような状況では、今後保険が取扱えなくなるということも考えられる。国民の求める情報が、正しく明確に伝わるようにしていかなければならない。また「なぜ広告してはダメなのか?」と思ったら、そういう声を上げることも大切。そのような意見が届いて検討されていくきっかけになる。ガイドラインは今年度中に作成され、令和2年度より普及・啓発が進められる予定だ。

日本柔道整復師会の取り組みとしては、骨折・脱臼の整復・固定技術の理解と実践、超音波観察装置の正しい取り扱いを目的として、昨年4月に「匠の技 伝承プロジェクト」を立ち上げた。東京2020オリンピックパラリンピックでは、東京都柔道整復師会会館や講道館等に柔道整復師を派遣し、選手のトリートメントやケアを行う。

我々柔道整復師が施術をできるのも、公的保険を扱えるのも介護支援専門員や機能訓練指導員になれるのもすべて、応急処置といえども「骨折・脱臼の処置ができるから」だと考えている。柔道整復師は「骨継ぎである」ということを再認識し、鑑別できる知識と技術を持つことが重要だ。


高齢者の住まいと住まい方最新事情

東京通信大学教授、(一財)高齢者住宅協会顧問、(公社)有料老人ホーム協会理事等
高橋紘士氏

高齢者の住まいと住まい方とは、地域包括ケアシステムの概念図での表現である。仏教には「生病老死」という言葉があるが、「生」から「老」あたりまでは考えていても「死」は念頭にないという自立型有料老人ホームも多く、必要があると判断したら入居者を追い出してしまうところもあった。必要に応じて介護を受けられるようにする施設も増えたが、それでも多床室であるなど不十分な場合もある。「生病老死」ということを踏まえて、人生を謳歌するための住まいと住まい方とは何なのかを考える必要がある。

年齢別死亡数の推移を見てみると、戦前は結核などの感染症による15歳未満の死亡率が高かった。それが徐々に変化してきており、将来的には85歳以上で亡くなる人の数が圧倒的多数となる「超高齢・多死社会」の時代が来る。ピークとなる2039年には85歳以上での死亡数は165万人にも及ぶと推計されている。しかし、日本は異様に「自宅では死ねない社会」になってしまった。国際長寿センターの調査では、自宅での死亡率は12%と少数にとどまっている一方で、病院での死亡率は81%にも及び、他国と比較してもかなり高い数値となっている。つまり日本には良い死に場所がないのだとも言える。

建築学者の上田篤氏による、その時代の住まい方を表した「現代住宅双六」というものがある。1973年版の現代住宅双六では、アパートからスタートして最終的には一戸建住宅を買ってゴールという流れだったが、2007年版では都心の高層マンションや老人ホーム、外国定住など、ゴールが一つではなくなっている。それだけ住まいの多様化が進んでいるということだ。したがって、これからは病院で生涯を終えるのではなく、住み替えの選択が起こるだろうと考えられる。そこで、魅力的な住まいと住まい方を提供することが重要となる。

自宅以外の住まいとしては、現在は特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者住宅(以下、サ高住)など様々な選択肢があり、ハードとしての住居ではなく、住まい方を考慮したうえでの住まいという考え方にシフトしてきている。サ高住の数も随分増えてきた。しかし、サ高住を若い人が住むような単身者向けマンションの老人版と思っている設計士も多い。若者と高齢者では生活スタイルも違う。若者は日中や休日には外出も多いが、高齢者は24時間そこで生活するので共用部分の充実なども必要になる。また、廊下に何の変哲もないドアがたくさん並んでいるような住まいは、特に認知症の人は自分の部屋がわからなくなり混乱してしまうため、視線を低くする、ドアを個別化するなどの工夫を凝らすことが重要となる。また、新しい潮流として「わいわいがやがやサ高住」をコンセプトとした、近隣の子育て中のママや子どもなど多世代が集まるサ高住も増えてきている。

住宅の在り方が多様化する中で、全体の住まいと住まい方の構造を見通しながら、そこに我々がどう関わっていくかが問われている。


上記以外にも、本展では業界の第一人者による専門セミナーや、治療技術や施術所経営ノウハウに関するプログラムが多数用意されており、多くの聴講者を集めた。また、展示エリアには接骨院・整体院・鍼灸院などの施術所を対象とした商品・サービスを提供する企業約70社が出展し賑わいを見せていた。

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