☆必見!! ☆ビッグインタビュー どうなる柔整業界?当事者・有識者等に聞いてみた!『医接連携は、まだまだ続く長寿社会において、健康長寿の要になると言えるでしょう!!』

この度、(公社)東京都柔道整復師会と医接連携の調印を正式に交わされた医療法人社団愛宝会浜田山病院理事長で院長の小瀬忠男氏は、現代の赤ひげと称される人物である。丁寧なインフォームドコンセントと患者さんに寄り添った質の高い医療を提供されている方である。昨年度の浜田山病院の手術実績は、2150症例。手術経験が豊富で優秀な専門の医師達が各診療科でそろっている素晴らしい病院である。柔道整復師をこれほどまでに深く理解してくださった医師は、かつておられたであろうか⁈小瀬院長先生のような医師との連携を深めることで柔整は今後も間違いなく国民の健康に寄与し続けることは間違いないであろう。小瀬院長に本物の「医接連携」について話して頂いた。
―この度は、貴病院と(公社)東京都柔道整復師会における医療連携の調印、まことにおめでとうございます。素晴らしいことだと思っております。調印に至った経緯についてと、これまでどういった事例があるのか等教えていただけますか?
遡ること15年、弊院は平成22年より、弊院近隣の(公社)東京都柔道整復師会の杉並支部、世田谷支部、中野支部、新宿支部、武蔵野支部、練馬支部、豊島支部、北支部の先生方の支部研修会に参加し、接骨院の先生方を対象に医療講演をして参りました。
この目的は、地域医療を担う接骨院の先生方と弊院との「医接連携の確立」です。
日々、接骨院の先生方は懇切丁寧にケガの患者様を診て、適切な施術をされています。
ともすれば、病院やクリニックでは対応しきれない細やかなケアを施すことができるため、患者様の早期の症状改善と安心に大きく寄与されています。
しかしながら医療法上、レントゲン検査や投薬、観血的処置、入院、手術といった手段をもたれていないため、これらが必要と判断した際に、安心して紹介できる病院が無いといったお声をうかがっておりました。
そこで私共は、接骨院の先生方が気兼ねなく紹介、相談できる病院を目指し、(公社)東京都柔道整復師会の先生方に医接連携を説いて参りました。
その結果、今となっては多くの接骨院の先生方よりご紹介、ご相談をいただけるようになり、日々、接骨院の先生方からの検査依頼や診断依頼、入院依頼、手術依頼をお受けしております。
特に交通事故や労災保険などの場合は、保険者から病院の診断を求められるケースが多く、そうした場合にはしっかりと医学的根拠を提示し、適切に接骨院での治療が継続されるよう対応しております。
こうした医接連携の啓蒙があってか、令和5年3月3日には(公社)東京都柔道整復師会本部より「学術顧問」を委嘱されるに至りました。
学術顧問の使命は「接骨院の先生方の学術の向上」と考えておりますので、日々の治療において、柔道整復学、整形外科学にとどまらず、医療訴訟や保存的治療と手術治療の境界と限界などの幅広い知識を身につけていただけるよう、お役に立てればと思い務めております。
―私事ですが、母の入院先の病院で同室の方が退院される時に、医師が絶対接骨院にはかかってはならないと念を押されておりました。そのように臨床整形外科医会では、かなり厳しいことを言われておりましたが、それについて小瀬院長のお考えをお聞かせください。
考え方が人それぞれであるように、医師の考え方も人それぞれです。
前述の通り、私は接骨院の先生方が懇切丁寧なケアしてくださると、私の外来に来られる患者様からよく伺います。患者様は自らの身を預ける治療者のことを実によく見ています。
接骨院の先生方は「○○骨折を疑いましたので、精査ご高診賜りたくご紹介申し上げます。」とのコメントとともに患者様をご紹介くださいます。そして、レントゲンやMRIの検査なく、問診と徒手検査とエコー検査などの所見から、適格な判断をされておられます。また、患者様をご紹介される際に、その接骨院の先生が付き添われて来院されることもあり、そうした丁寧なご対応に尊敬の念と頭が下がる思いがします。
さらに、上腕骨顆上骨折に対して徒手整復後の「画像評価」を目的にご紹介いただいた患者様は、レントゲンでは骨折による変形はおろか骨折線らしきものが見当たらず骨折との診断不能で、CTで確認し初めて骨折線が見えたというケースもありました。
こうしたことからも、ホスピタリティ、診断力、整復技術に優れた会員の先生方の実力に私は感銘を受けております。
―浜田山病院では柔道整復師を雇用されていらっしゃいますか?
勤務柔道整復師は「浜田山病院」に5名(ほかPT11名、補助者2名)、分院の「むつうら整形外科」に1名(ほかPT4名、補助者7名)、「あかばね整形外科」に2名(ほかPT4名、補助者2名)おりますので、弊法人には8名の柔道整復師が勤務しております。
皆勤勉で、患者様に優しく、高度の技術を持った私の自慢の職員達です。
―お互いのメリット等についてもお考えをお聞かせください。
15年の長きにわたり医接連携を実践してこられたのも、接骨院の先生方にとっても私共にとってもメリットがあった証といえます。
接骨院の先生方にとっては、画像診断と医師の診断で医学的診断の補足が得られる事、投薬、観血的処置、入院手術といった補足の治療が出来る事は、目に見えるメリットではないでしょうか。
一方私共浜田山病院にとっては、接骨院の先生方と懇意にさせていただくことで、当院の患者様の術後リハビリや、遠方からの通院がお辛い患者様には、懇切丁寧なリハビリをしてくださる各所の接骨院様への逆紹介をさせていただく事もあり患者利益につながるというメリットがあります。
つまり、ウインウインの関係にあると言えます。都柔整に入られたメリットとして、少しでも都柔整の先生達のお役に立てればと願っています。
紹介されたからには必ず患者様を紹介元に戻すように努めておりますし、また患者様が慢性の疾患であるのであれば、その医学的根拠を患者様に詳しく丁寧に説明することで、永くその接骨院に通院できるように促しております。
確かに医師は画像検査や手術が出来ますが、保存療法に関しては医師より優れ良心的な柔道整復師の先生が大勢いらっしゃいます。柔道整復師の先生にはより多くのMRI画像やCT画像を観ていただき判断技術を確保できるよう私も講演等で努めて参ります。
―もう随分前の話になりますが、かつて近畿大学整形外科医の濱西千秋教授が神奈川県の柔道整復師である酒田達臣氏との対談で〝貴方達柔道整復師は地域のゲートキーパーになって頂きたい〟と話されました。小瀬院長はどう思われますか?
濱西教授のおっしゃるとおりだと思います。地域に根ざした治療環境があれば、遠方まで通院する必要がなくなりますので、私達地域医療に従事する柔道整復師の先生方と医師は協力して助け合い、地域住民の健康増進を命題として、治療に励むべきだと考えます。
―やはり、これからも都市部ではずっと超高齢社会が続くと言われております。ますます高齢者、そして国民にそった医療が求められているように思います。小瀬院長の今後の抱負等もおしえてください。
食生活と医療の進歩により、いまや人生100年時代に突入すると考えられています。
ここで重要視されるのは、介護状態や寝たきり状態ではない「健康寿命」をどれだけ保てるか、最もよいのは「ネンネンコロリ」ではなく「ピンピンコロリ」です。
そのためにも、打撲、捻挫、脱臼、骨折、膝や腰の運動器疾患、脊椎の圧迫骨折や骨粗鬆症を放置せず、接骨院の先生方と医接連携をもってしっかりと高度な治療とケアをしていくことが私達の使命だと考えております。
これからも柔道整復師の先生方と一緒に、より良い医療を実践していきたいと思います。
小瀬忠男(おせ ただお)氏 プロフィール
1988年東京慈恵会医科大学卒業、同大学整形外科教室に入局。東京慈恵会医科大学附属青戸病院整形外科医長、総合川崎臨港病院整形外科部長を経て、現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医、脊椎脊髄病医、スポーツ医、リウマチ医。産業医(警視庁高井戸警察署嘱託医、警視庁高井戸警察署留置嘱託医、学校法人高千穂学園学校医)。
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