☆必見!!☆ビッグインタビュー どうなる柔整業界?当事者・有識者等に聞いてみた!『我々柔道整復師は、国民の健康を守ることを第一義として、今後も貢献し続けることをお約束します!!』
もはや加速する少子高齢社会は止められない。また一方で、ストレス社会でもある。世の中全体が試行錯誤を繰り返す中、柔整業界も同様である。
健保連参与・幸野庄司氏が投げかけた問いに対して、2023年から(公社)日本柔道整復師会の会長を務める長尾淳彦氏はどういうビジョンを持っているのか?そして柔整はどう変わろうとしているのか?!
現在日本柔道整復師会並びに業界全体を鑑みて進めている事案並びに長尾会長自身が今後目指している構想について話して頂いた。
―健保連・幸野参与が唱えられる2040年問題並びに柔整の意識改革について、お考えを聞かせてください。
幸野さんのメッセージを読ませて頂きましたが、1回読むと保険者さんの言い分ですね?と思いましたが、複数回読み返すと私たち柔道整復師業界が国民からの信頼を得るために必要なことを保険者という立場からアドバイスいただいていることがわかります。感謝申し上げます。
例えば私が開業した30年前、40年前は、開業すれば患者さんが来たという時代です。これはどうしてなのかというと、養成施設の定員が1学年全国で1050名という総量規制があって、施術所も全国で2万箇所でした。今の半分以下の施術所数です。当時は、所謂、患者さんは接骨院に行って話しをすることで気分転換が出来たり、人が集まる一つのサロン的な場所でもあった訳です。ただし其処のところと療養費を使うということとは、キチンと区別して考えなければならないところではあります。また、そういうサロン的な場所であったとしても、急性、亜急性という外傷性の患者さんも多くあります。やはり保険者さんの財政が厳しくなっていく中で、国もキチンとそういうことは調べましょうというのは当然のことでありますし、当時国民医療費の伸びを上回る柔道整復療養費が対象になった訳です。つまり、国民医療費が右肩上がりである中、その医療費よりも柔整療養費のほうがどんどん上がっていって、約4000億円までになりました。そこで支払い側の保険者が、キチンと請求内容が適正かどうかとして「適正化」を旗印に掲げたのです。そういった中で、適正で無いものがやはり請求が出来なくなっていった結果、総額も落ちていったということです。ということで、保険者が何んでもかんでも支払わないとか、ちゃんとしているものも支払わないということではないと私は思っております。何か魔法使いの手が出てきて1000億円をガバッと取られたような意識はあるかもしれませんが、よく考えると今まで適正でないものを柔道整復師側も請求していて保険者側が払っていたものが適正化されたという見方も出来ると思います。
調査票が全ての患者に届く等、勿論受診抑制的なものもあります。行き過ぎた患者調査ということでは、厚生労働省もそういったことがあった場合は、それについての通報システムというのがありますから、其処にちゃんと通知をするようなシステムは以前からちゃんと構築されていますし、日整としてはそういったようなことの対応もその当時からしている訳です。私も当時、柔整療養費検討専門委員会の委員でしたけれども、〝この10年間で1000億円も減っているんです〟と繰り返し述べてきましたが、何故減ったのかという具体的なリサーチも無く、検証した結果としてこうなんだということも無く、概ね患者調査だとかそういうことで、あたかも接骨院に行ったらいけないんだというような受診抑制、そういったことを患者さんに植え付けてそうなったと。確かにそういうこともあるでしょう。しかし、果たしてそれだけなのかということを検証して来なかった。やはり、保険者さんは1つ不信に思うと全部不信に思えるんです。あの支給申請書1枚の中だけではわからないことが多くあります。そういったことについてキチンと日整も業界としても対応して来なかった面がありますので、私はこの1年半、キチンとこういうことについて対面で会って話し合いをしましょうという環境づくりをしてきたつもりです。
今回のインタビューでは言い尽くせませんが、私が考えていることは2040問題に限らず、今言われているデリバリーの運転手不足の2024問題、或いはこれからの過疎地の問題等、それらの問題について私は接骨院というインフラや柔道整復師がもっと関われる世界を作ろうという構想があるんです。それについては、経産省をはじめとして国とも柔道整復師の携わり方について話をしています。全国に5万施術所というのはコンビニと同じインフラです。今のコンビニの店員の人達と顧客の信頼関係があるかというと、殆どありません。セブンイレブンやローソン、ファミリーマートといったブランドの信頼感がある中で営業していますが、今は外国の人達のバイト先になっています。つまり柔整は対面の中での地域との信頼関係がありますので、○○地域に配送される荷物を○○村の○○接骨院に置いておいて、其処に受け取りに行けば良い訳です。そのインセンティブに関しては、クロネコや佐川、アマゾンと同様に業界として契約すれば良いと思っています。
また、保険者と一緒になって生成AIを使った「外傷性の明らかな」を判別するアプリケーションを作ろうとしています。保険者も乗り気でいます。やはり、それを行うと不必要な労力が無くなりますし、そのアプリケーションを通過した申請は、保険者と一緒に作っていますから、無駄なストレスはありません。ただし、医療通知と同じで被保険者だとか患者に〝あなたは医療費をこれだけ使いましたよ〟というような通知は必要です。医療通知と同じように○○接骨院に何日通って、これだけ療養費は使われましたという通知は保険者として必要なことですし、それまで失くすということは出来ませんが、今までみたいな調査は、そのアプリケーションを通過すれば私は無くなっていくと思います。既にもう着手していますし、そういうことが出来るということを、これは日整だけではなく業界全体でやろうと思っております。
お互いが協調していって信頼関係を作ったほうがより理解が深まります。私が先述しましたように保険者側も、接骨院でやっていることの良いことはもう分かっていますと話されています。私が願っているのは、柔道整復師の良きものを支給基準に入れる作業もお手伝いくださいということを保険者さんに伝えたいのです。
―もっともっと広くアナウンスをするべきだと思いますが・・・
それはまさに仰る通りです。でも、『からだサイエンス』という業界誌が無くなったり、柔道整復師はどちらかというとウェブ上のものに取っつきにくく、紙ベースが主です。勿論、若い人たちはウェブを見ます。我々にしても柔整ホットニュースも読みますが、やはり60歳以上の人達はX(エックス)等にどのように登録するのかわからない等々、そんな話になっていくのです。情報が氾濫している反面、正しい情報の取り方を我々の業界はキチンと出来ない面があると感じます。東京都知事選、或いは今回の兵庫県知事選にあるように、所謂ネット、SNSの中で、あれはフェイクであるのか、何であるのかがよく分からない。例えば我々の業界にしても、1つのことで操作をされる場合もありますから、やはり正しく広報すること。日整ではニュースレターだとか、トピックスだとか、SNSで届くように、自分のメールアドレス、携帯のメールアドレスを登録してくださいとか、LINEのアカウントを知らせてくださいとお願いしています。今75%位はこちらが発信すると瞬時に伝わるところまでは来ています。見る見ない、読んで理解をするというのはまた別の話ですが。今こうやって話をしたことで分かることもありますし、もっと更にそういうことをしないとという反省もしています。
基本的には柔整療養費を以前のように4000億円にするためには、算定する項目、請求できる項目を増やす等をしない限り、今の現状で4000億円をというのはとても不可能です。従って、接骨院にかかることで例えば認知症に本当に有効であったり、社会的繋がりを作る、例えば体を任せている接骨院の先生に自分の悩みを話すことによって、そういう認知症の発症が遅くなる、或いは少し改善されるとか、または健康寿命が延伸する等、そういったことのエビデンスを作る準備やリサーチをすることをはじめます。繰り返しになりますが、例えば認知症に対する有効性がキチッと証明されることで、月に一回来られている患者さんが柔道整復師と話すことによって、例えば1回1,500円加算してくださいというものが出来れば、接骨院は全国に5万軒ありますので、それだけで7500万円という金額がポンと出てくる訳です。そういったような交渉をしていかなければ、今回の柔整療養費の改定で電療を3円上げたとか、初検料を30円上げたとか、改定率0.26%というのは、10億円ですから1000億円戻すには百年かかります。従って算定項目を増やす、柔道整復師が出来ること、柔道整復師はこういうことが出来ますということを柔整療養費の算定基準の中に盛り込むことをしていかなければいけないというのが1つです。
現状をいうと柔整療養費の支給基準の中に載っていないことも接骨院では多くしている訳です。しかし、それは基本的には柔整療養費の算定が出来ないことなので、今は実費でやっています。日整の会員の先生方のように、自由診療にあまり馴染まないという人達は、どんなに高い物理療法の器材を購入して、どんなに効果的にやっても、窓口1割負担160円、2割負担320円或は3割負担480円で行っている訳です。そういったことについて私は北海道から沖縄まで、例えば超音波の治療器を使用して疼痛管理が出来て普通の低周波治療器よりも痛みが通常より早くとれる等、エビデンスを説明して患者の求めに沿って、これは柔整療養費の支給項目にはないため、一律700円いただきます、或いは1000円いただきますというような、日整の会員だけではなく全国統一をしていく必要があります。今実費で行っている所は、〝早く治ります〟や〝何でも出来ます〟みたいに広告に書いてあります。しかしながら、ちゃんとした電療にしても物理療法にしても、エビデンスをもって、患者さんに納得していただけるような料金を北海道から沖縄まで同じような形が大事だと思います。
これは保険外の話です。私が思っているのは、「保険」という柔整療養費の部分と柔整療養費の支給基準に無いもので「保険外」というものの料金体系をキチンと作れば良いと思っているんです。そういったようなところを私も日整の中で発信をしています。「保険」というのは柔整療養費の支給基準内のもので、「保険外」というのは柔道整復師が行えることです。小顔だとか骨盤矯正だとかホワイトニング等について、柔整は全部自費でと言っておりますが、ここを切り離して、保険内・保険外をキチッと分けることで、柔道整復師が出来ることについて明確に知らしめられる訳です。つまり柔整療養費の支給基準以外のことを全て自費だとか実費だとして行っているのでは、柔道整復師しか出来ないことが何がなんだか分からないんです。私たち柔道整復師は国家資格者ですので無資格者でも出来ることとは区分したいと思っています。私は保険外という柔道整復師が出来て有効性があるものについて保険外のカテゴリーを作ろうと考えています。そうすると一人単価いくらというのが大体出てきますから、そういうことをしていくと経営の指針にもなりますし、経営が安定していくと思っているんです。ただ闇雲に保険をもうやらないでこの程度だったら5000円、この程度だったら8000円という、回数券を買わせれば良いみたいなことは、止めたいんです。日整をはじめ全整連さんや全柔協さんとは現在、同じ方向性を向いておりますし、残りの3割あまりの柔道整復師の方達にも、ああそうかとして業界全体がまとまっていくであろうと考えています。これについては厚生労働省にも、こういう話をしています。
ただこういったようなことについて、日整や業界が何をしているのかが分からないという疑念はあると思いますので、少しずつアナウンス、インフォメーションをしていかなければと思っております。いろんな問題、日整の中のことであったり、国家試験の漏洩についても、まだ数年しか経ってない中で、やはり未だキチンと払拭されている訳ではありません。そのためにも、「信頼と協調」をしていこうということです。
―業界全体の意識改革については如何でしょう?
意識改革というのは、何でもかんでもけんか腰ではなく、やはり「信頼と協調」です。それ以外にはあり得ません。つまり、意識改革というのは、言われたことをハイハイと聞くことではありません。協調というのは、お互いに主張することはしっかり主張すべきであり、しかも意識改革というのは、基本的には患者さんである国民のためというのが私は第一義だと思っております。ただし柔整は、今までは患者さんがしてほしいというので行っただけで、それを何故請求したら悪いのかというようなロジックで言っていました。しかしながら、それは支給基準に合ってないものを請求していた感がありますし、そういうことも含めて先述しましたように保険と保険外というものをキチンと作れば、これは保険では出来ませんが、柔道整復師が出来ることですと説明することが出来ます。勿論一律の料金を作ることが先決ですが、こういうことで我々は施術を提供できますよということがキチンと出来るような業界にしていくことを、私は望んでいます。従って基本的には、保険者によるあれほどのいろんな患者調査があって、結果的に1000億円マイナスになったとしても、何故いまだに接骨院に患者さんが来るかというのは、やはり求めているものがあるからです。それを明らかにします。安くマッサージしてもらおうとして来られている人は、僅か数パーセントです。しかも毎日高齢者が接骨院に来るというのは、やはり其処に癒しだとか安らぎだとかだけで無い、いろんな経緯があると思います。私は、現状に合った支給基準を作ることや、或いはそれ以外については患者さん負担であってもやむを得ません。ただそういったことが出来なければ、患者さんは来ないでしょうし救えません。
―厚労省とのパイプ等については?
先ず、制度に関することは担当の医政局医事課、料金に関わることは担当の保険局医療課が日整に来られてレクチャーをして進めていっています。つまり、物事を進める時に柔整のことは先ず日整に来てから、話をすることになっております。ただやはり、事前レクで来られるので、それを委員会という公の場でこんなことがあった、あんなことがあったということを時間的にも伝えることは出来ません。事前打ち合わせなんですから。結局、行政側は国としてこう思っています、と。柔整としては、イヤそんなのダメだよとか、イヤそれはもう1回検討してやろうとか、国側としても其処の部分はお考えくださいとか、そういったやり取りを事前にして効率的に進めています。それを私は継承していかないといけないと思っていますし、現実にそうしています。
―対策室を設置するというお考えはあるのでしょうか?
保険などの問題に対する対策室は作ります。日整の機構改革ですので、理事会、総会での承認が必要です。今は保険部を中心に学術教育部、総務部がその担当をしています。協会健保、国保連合会、組合健保とありますが、組合健保の総元締めが健保連です。本年11月16日も保険者機能を推進する会のリーダーに47都道府県社団役員にお話しをしていただきました。いま多くの保険者さんとは友好な関係にあります。その保険者機能を推進する会のリーダーが幸野さんと話をしてくれて、幸野さんと会う予定になっております。幸野さんと私とは療養費の検討専門委員会が始まる前にいつも日整の委員と健保連とずっと事前レクをしていました。しかし、それがいつの間にかなくなって、委員会の中で幸野さんが言うと、こちらがまた文句を言うというようなやり取りで、結局は対立関係というのか、お互いのチームの押収みたいなやり取りに終始する構図になっていきました。しかし、保険者とも行政ともキチンと信頼と協調を得るためには、喧嘩をしたってしようがありません。柔整会員に安心していただくためにも専門の対策室をつくることは大切なことです。ただ単に対策室を作って、具体的なビジョン等をキチンとしていかなければ、ただ立ち上げたというだけにすぎません。基本的には対策室で行うようなことは、いま日整では総務部と保険部と学術部で対策をしています。対策というのは対立だとか、喧嘩をするということではなく、信頼と協調の中でお互いの言い分を咀嚼し、キチンと理解して、是々非々で話しをすれば良い訳です。
今から30年40年位前は、支給基準のルールの中でなくても、保険者さんがこれはうちの被保険者、患者、または社員が快適な生活を送るために、ここはまあ良いだろうというところで友好的に来ていた訳です。ところが、1枚の申請書で不正が出ると全ての申請書が不正じゃないかって、やはり保険者は思う訳です。そうしたようなことでキチンと、そのためにカルテがあり、予診票がありますが、今のルールでは外傷性が明らかなということが条件です。それが何時、何所で、どうしたということまで事細かに記載することが良いのか悪いのかというのは是々非々がありますが、所謂外傷性が明らかな骨折・捻挫・打撲・挫傷ということが明確であれば良いし、そうしたものを請求すれば良い訳です。しかしながら、それが金額だとか、回数だとか、そうしたようなことに縛られることなく〝そうしたことは必要です〟ということを柔道整復師側は、保険者側または行政側にキチンと言えば良い話なんです。つまり対策室というのは、何か調査の対策だとか個々のどうこうではなく、所謂友好的に、支払う側はキチンとしたものに支払うのは当たり前の仕事です。請求を出したもの全部を支払えなんていうのもおかしな話です。
現物給付と現金給付の違いというのは、医科・歯科・調剤は現物給付ですが、そういうものと我々の療養費とは若干違います。ところが今まで保険者の人達は、健康保険法の第87条をかざしていました。そういったルールの中で、お互いの理解の中で通してもらっていた部分もある訳です。ただ其処は、現状に合った支給基準を作らないといけないというのが私の考えです。そのためには、キチンとしたエビデンスがあって、所謂国も保険者も〝それはそうだね〟という理解を得なければなりません。それが医科歯科調剤の中医協の会議です。この料金を上げるためにはこういうことが必要ですということをキチンと医療側から提出をして〝それはそうですね〟ということで料金が決まったり、薬剤が承認されたりする訳です。柔整はそういったことを何もしてこなかった。柔整鍼灸あん摩師は、料金改定率も所謂医科の二分の一であるとして、今回医科が0.52%と決まったら、我々は0.26%なんです。結局、キチッと我々柔道整復師がどういうことを学んで、どういうことが出来て、国民の生活または保険者がみても国や行政が見ても、〝それはそうですね〟という料金にキチンと跳ね返るようなことをしたい訳です。これまで何一つそんなことをしていなかったと思います。だから、それをしようと思っています。これは我々日本柔道整復師会だけでは出来ないので、業界の中では学術団体の日本柔道整復接骨医学会だとか、教育においては全国柔道整復師学校協会だとか。ところが学校協会に加入しているのは、全部の養成施設の半分位ですし、接骨医学会は会員が5000名を切っています。従ってそういった我々のエビデンスをどう作っていくかという体制を構築して、そういったことをパラレルに要求する、その時に保険者とか行政から、いま言っているような掛け声は良いですけど、〝貴方達柔道整復師は何をやっているんですか?〟〝どういうことが出来るんですか?〟と聞かれて、〝私たちは高齢者も看て、認知症になるような人を対面だとかお話しをすることによって認知症の予防も出来ています〟等、言う人がいますが、それは確かにあるんです。しかし、〝その証拠は如何なんですか?〟と問われると、出せないんです。
柔整にかからないのと、かかるのとで、これをコントロール群で見て柔整にかかったから「認知症が遅れた」や「認知症にならない」等というようなことは何も証明されておりません。そういうことをキチンとしましょうというので、いまの執行部だけでは出来ないため全整連や全柔協とも一緒にやりましょうとして、そういう話をしている訳です。いま日整は、大体3割、全整連や全柔協を併せたら6割~7割のガンバナンスというか、集団が出来ますし、残りの3割というのは、全く個人の柔道整復師になりますが、やはり6割7割がある方向性を示したら、追従して来られる人達は居るように思いますので、そういう業界のガナバナンスとコンプライアンスをキチッと作ることが私の仕事だと思って、この1年半そのために活動してきました。
―最後に償還払いについて、お考えをお聞かせください。
どうして柔道整復療養費を償還払いにするという話になったのかというのは、前述したように柔整療養費の支給基準から逸脱した請求が多いと思われる。それを調査するために照会をする。保険者側からすると、いろんなことを患者さん、患者というのは自分のところの社員です。社員だけど回答が無い、或いは常に同じような請求が出される人が対象です。今の受領委任払いを償還払いにするために取るべき手続きというのがある訳ですが、それをよく分かっていない柔道整復師にとっては、やはりいろいろな不安があったりします。検討専門委員会で出されたのは組合毎の償還払いということを健康保険組合が出してきたのです。それは何かというと、健康保険組合が〝ウチは償還払いにする〟って決めたら全部償還払いになる訳で、患者さんに不利益にならないそのために患者毎の償還払いというところに落ちついた訳です。例えば○○健康保険組合に居て、○○さんだけが償還払いになるというのは、やはりそれだけの手続きを組合の中でしなければならない。そういうことで、患者毎の償還払いというのは相当保険者にとっては、保険料を払っている人に〝貴方だけ償還払いにします〟というのは、難しいことです。勿論改善されたら、また受領委任に戻ることになりますが、相当の困難を伴う話でもあります。
今から4年前に組合毎の償還払いという話が出ましたが、それを食い止めるために、償還払いにすることが患者さんの不利益であるということを平場で納得してもらうことが必要です。また保険者が償還払いにする要件として、長期、多部位、頻回だとか、所謂部位転がしです。そういうようなことを如何改善していくべきなのか?或いは、それらについて決してすべてが悪くないということを、柔整側から出さなければなりません。前述した料金の改定にしても、柔道整復師以外そんなことは誰も考えてくれません。今まで誰か考えてくれるだろうみたいな発想で、業界はずっと来ていたような気がします。しかし、それは業界自らがやっていかなければダメなんだということです。つまり、我々柔道整復師業界で所謂常識とされてきたことからの脱却をはかる必要があると考えております。原点は「現場」であります。
国民の健康を守るためには柔道整復師業界が健全に元気にならなくてはなりません。行うべき優先順位を熟考して業界に係る人たちと共に歩みます。
最後に「将来世代」の20年30年先の柔道整復師が今の我々にこうしておいてほしかったというフューチャー・デザイン的発想も含めて物事をすすめていきたいと思います。
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