接骨院で学生が無資格施術 療養費不正請求疑い
東京都荒川区の接骨院で、無資格の学生が施術した上、不正に健康保険から支出される療養費を請求していた疑いが浮上し、区が調査に着手、警視庁も情報収集に乗り出したことが分かった。
区に情報を提供したのは柔道整復師養成学校の卒業生で、学生時代に実際、接骨院で施術を行っていたという。区によると、接骨院を経営するのは区内の柔道整復師養成学校で非常勤講師を務める男性で、少なくとも平成24年以降、自らの接骨院で学生に無資格施術をさせていたという。昨秋には学生を名乗る従業員から施術を受けた患者達に、同院で健康保険が適用された記録も届いていた。区は警視庁荒川署に情報提供し、荒川署も不正請求の可能性があるとみて情報収集に乗り出した。
明治国際医療大学の長尾淳彦教授(柔道整復学)は、学生でも仕事がこなせるのは「骨折などの施術ではなく、体をもむだけのマッサージをしているためだ」と指摘する。マッサージは、基本的に健康保険の請求が認められない。「ところがマッサージでも柔道整復の施術と偽り、堂々と請求されている」と長尾教授は憤る。
また、長尾教授は「学校の数が急増したことで、モラルのない柔道整復師が増えた。今求められるのは学校と学生の質の向上だ」と話している。10年度に全国で14校だった柔道整復師学校は規制緩和で27年度に109校にまで急増。柔道整復師の就業者数も約6万4千人と10年前の1.8倍になっている。柔道整復師の質の確保のため、厚生労働省は年度内にも省令を改正し、柔道整復師の養成課程と療養費の請求のあり方を見直す。学生には倫理教育を義務付けた上で、臨床実習を強化するなどの改革を行っている。
<ニュースソース>
産経新聞(2016/10/03)
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