『介護保険の後退を絶対に許さない!!1.14 院内集会』開催
「介護保険の後退を絶対に許さない!! 1.14院内集会~バアサンもジイサンも家族も介護従事者も事業者も医療者も、み~んな怒ってるぞお~」が2020年1月14日(火)午後3時から衆議院第一議員会館地下1階大会議室で開催された。「NPO法人高齢社会をよくする女性の会」と「認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク」の共催。
開会挨拶は、NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長・樋口恵子氏が述べた。司会は認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長・上野千鶴子氏とNPO法人グレースケア機構代表・柳本文貴氏が務めた。
リレートーク
リレートークの発言者はNPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長・袖井孝子氏、市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰・小竹雅子氏、共に介護を学びあい・励まし合いネットワーク主宰・藤原るか氏、NPO法人アクティビティクラブたすけあい(ACT)理事・山木きょう子氏、服部メディカル研究所所長・服部万里子氏、NPO法人ソーシャルケア清和会代表理事・辻本きく夫氏、NPO法人このゆびとーまれ理事長・惣万佳代子氏&富山グループ、NPO法人おらとこ理事長・野入美津恵氏、国際医療福祉大学大学院教授・ジャーナリスト・大熊由起子氏、みえ介護グローバル協同組合・中村弥生氏&西村さとみ氏、NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長・沖藤典子氏、医療法人ナカノ会理事長・中野一司氏、京都ヘルパー連絡会・櫻庭葉子氏&神田知加子氏、市民福祉サポートセンター代表・石毛鍈子氏、NPO法人暮らしネット・えん代表理事・小島美里氏、佐倉から全国を変える市民の会代表・梶谷健太郎氏、NPO法人グレースケア機構代表・柳本文貴氏、せたカフェ代表世話人・介護保険を考える会代表・中澤まゆみ氏等々、全国津々浦々から医療・介護関連の兵(ツワモノ)が結集した。
袖井氏
〝介護の社会化という高い理想を掲げてスタートした介護保険制度だが、20年を経た今日、かなり酷い状況に陥っているのではないか〟。
小竹氏
〝1998年から電話相談を続けており、1月29日から電話相談「ケアホットライン2020」を開設。健康寿命を75歳まで伸ばすために「通いの場」を充実させるというのが今回の改定案である〟。
戦うヘルパー藤原るかさんとその仲間たち
〝介護保険はギリギリのところまで来た。どうしてもやらなければならないと裁判を起こします。1月20日の初公判、京都地裁に来て下さい〟。
山木氏
〝私たちは2015年に要支援1・2が給付から適正事業になる折に、これは違うだろうと署名活動を始め今年で4年目になります。要介護1・2の給付外しを止めてほしい〟。
服部氏
〝本来介護保険の制度でやるべきものを利用者負担に変えていく、そのことによってケアマネの手足を縛ることが行われる〟。
辻本氏
〝いま求人広告を出しても全く人材がいない。極端な人材不足の背景には、これまで5回行われた法改正そのものにある〟。
惣万氏
〝9人でかけつけてきました。国は金がない、財政がないと言いますが、一番無いのは理念です。昨年福井の人家でお嫁さんがお爺ちゃんとお婆ちゃんと旦那さんを殺害しました。介護保険が始まって20年経つが、原点は殺害まで起こすから介護保険を始めたのではないですか。嫁さんが言ったのは、私は介護に疲れたという言葉です〟。
野入氏
〝私が言いたいのは行政の人が1年でも1カ月でも良いから現場に行ってください。事業所の出す給料でその期間、働いてみてください。給料が見合うかどうか検証して欲しい〟。
大熊氏
〝1984年位から様々な国を巡り、1991年に「寝たきり老人のいる国いない国」を書きました。この1章が介護保険の原点になりました。デンマークのヘルパーさんの給料は勤務医の8割。日本は2割です〟。
中村氏&西村氏
〝質の向上や専門性を見据えた介護事業所運営が出来るためにも介護報酬の切り下げは絶対許されることではない。今、日本は介護人材不足で、安定した職場という意味でも外国人の方々の力が必要です〟。
沖藤氏
〝要介護1・2の生活援助を介護保険から外すことは、認定しておきながら重大な介護保険法違反です。私も分科会の委員でした。身体介護が9項目新設され、「一緒に」等の文言が追加された。重度化防止等で利用者と一緒に手助けや声かけをして行う、自立支援促進という意味です。介護保険は国民の大切な財産です。これをいい形で後世に残していきたい〟。
中野氏
〝患者さんはやはり施設よりもお家に居たいという方が多い。そういう人を在宅で支える、介護なくして在宅医療は成り立たない、ここがポイントです。国は何故介護保険を削るのか。金が無いのではなく知恵が無い。お金は増えている筈です。お金は必要な時に使って初めて価値が出る〟。
櫻庭氏&神田氏
〝2012年に60分の生活援助の基本時間が45分に切り捨てられたことによって尚一層ヘルパーさんが働きずらくなった。45分しか援助できない中で実は60分、黙って15分無報酬で皆さん支えてきました。ヘルパー辞めてレジ打ちいくというヘルパーさんを沢山見てきました。生活援助というのは、幹であると思っています〟。
石毛氏
〝いまヘルパーは医療ニーズの分かる身体介護じゃないと役に立たないという考え方が強くなってきています。介護というのは人の生活を支える身体もあれば生活援助もあり、トータルにケアすることを大きな声を出していかなければいけない。これから自治体では第7期の介護保険事業計画を作る時です。みんな役所の窓口に行ってどんな計画を作るのかを問い正しましょう〟。
〝つくって良かった介護保険。制度の後退を絶対に許しません〟と、樋口恵子氏&上野千鶴子氏&大熊由起子氏による揃い踏みが行われた。
小島氏
〝予防と地域支援事業が前面に出て、「介護保険からの卒業」という言葉も飛び交いました。訪問介護が抑制されたら通所介護が増えました。小規模なデイサービスが乱立して今度は其処が叩かれて、いま撤退が相次いでいる。要介護1・2の独居の認知症の方達、老老だったり認認の人達を必死で支えています。サービス事業者も利用者も待ったナシです〟。
公益社団法人「認知症の人と家族の会」理事
〝結成40周年を迎えます。家族介護から社会介護へと運動を継続して20年、漸く介護保険が出来ました。とても嬉しかったが改悪につぐ改悪、今回の改悪案に断固反対します。介護保険は認知症の人にも家族にとっても命綱です。当事者団体としてしっかり皆さんと声を上げ行動して参りましょう〟等のメッセージがあった。
柳本氏
〝私たちは自費も含めてトータルに障害福祉サービス、介護保険、幅広く医療ケアが必要な赤ちゃんから105歳のお年寄りまでケアしています。制度自体を複雑化していくことでどんどんアクセスし難くなっている。後退を許さないとしているが本当は前進させなければいけない〟。
中澤氏
〝去年の9月に「どうなる介護保険制度」という集会を開き、世田谷区の担当課長や係長にきてもらいました。ネット署名を始め1カ月ちょっとで約4159通集まりました。介護保険の後退が進んでいくと生活の質が下がるだけではなく、介護費用の負担と高齢者虐待、介護離職がどんどん増える〟。
会場参加者から
〝介護難民に野垂れ死にしろというんですか、私たちを助けてください〟。
〝審議会の委員は、エビデンスのことばっかり言うが、エビデンスにできないから介護なんです。〟
〝介護保険は黒字ですよ。財政の問題をもっとウオッチしなければならない。女性の議員を増やしましょう〟等々の熱い意見が多数あった。
次に樋口氏が代表して声明文を読み上げ、更に上野氏が〝政治を動かすのは最終的に国民世論です。介護保険の後退を押し戻すのは世論しかありません。介護保険を守るためにこのネットワークをこれからも活かしていきたい〟と述べた。
閉会の挨拶で小島氏は〝画期的な集会だったと思います。北海道から鹿児島まで全国各地から会場に来られなくても賛同の声が寄せられています。国会議員の皆さん、私どもの声を代弁して頂くことを心からお願いします。介護保険を使わない、使えない人達が多数おり、特に認知症の人達、独居や老老の人達が申請も出さないままでおられる。かなりの数の方達が放置されている。全く届かない。申請主義の盲点です。頑なにサービスを使わない、使いたくないと仰る方達もこれには経済的な理由もあるということです。これを機に介護保険を良い方向にもう一度作り直す、そういう機会になればと思います〟と結んだ。
引き続き記者会見が行われた。
PR
PR