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柔道整復師と介護福祉【第82回:政府の進める地域包括ケアの推進とは?vol.2】

2021/09/16

【生活支援】

高齢期、障害者は、心身の能力の低下、経済的理由、家族関係の変化などの要因があっても、尊厳ある生活を継続できるように生活支援が必要となります。具体的には、食事の準備など、サービス化できる支援から、近隣住民の声かけや見守りなどのインフォーマルサービスまで幅広く存在、担い手も多様化していくことを目標としています。

 

【介護・医療・予防】

個々人の抱える課題に合わせて「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・予防」が専門職によって提供(有機的に連携し、一体的に提供)。サービス提供に関しては、ケアマネジメントに基づき、必要に応じて「必要な時・必要なだけ・必要な支援を」生活支援と一体的に提供することを目標としています。

 

【本人・家族の選択と心構え】

本人・家族の選択と心構えは、「住まいと住まい方」「生活支援」「介護」「医療」「予防」の5つの構成要素にない側面を持ち、地域包括ケアシステムを支えていく重要な要素として位置付けられています。今後益々、単身・高齢者のみ世帯が主流になる中で、在宅生活を選択することの意味を、本人とその家族が理解し、心構えを持てる環境整備と情報提供体制が重要とされています。

 

自助・互助・共助・公助から見た地域包括ケアシステム
【費用負担による区分】

「公助」は税による公の負担、「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担、「自助」には「自分のことを自分でする」こと以外に、自費による市場サービスの購入が含まれます。これに対して「互助」は、相互に支え合っているという意味で「共助」と共通点はあるものの、費用負担が制度的に裏付けされていない自発的なものであり、主に地域の住民やボランティアという形で支えられることを想定しています。

 

【時代や地域による変化】

「自助・互助・共助・公助」は、時代とともに範囲や役割を変化させていきます。2025年には、ひとり暮らしや高齢者のみ世帯がより一層増加することが予想されるため、「自助」「互助」の概念や範囲、役割に新しい形が求められます。住民間のつながりが希薄な都市部では、強い「互助」を期待するのが難しい一方、民間サービス市場が大きく、「自助」によるサービス購入が可能な部分も多いと考えられます。反対に都市部以外の地域は、民間市場が限定的、「互助」の役割が大きくなります。「共助」「公助」を求める声が根強いのは確かですが、少子高齢化や財政状況を考えると大幅な拡充は難しく、「自助」「互助」の果たす役割が大きくなることを意識した取り組みが必要となります。

 

地域包括ケアシステムの課題

地域包括ケアシステムは、高齢者の介護予防、医療、福祉の充実に欠かせない重要政策ですが、課題も山積しています。

 

医療と介護の連携スキーム化

75歳以上の高齢者の中には複数の疾患を抱えている人もいます。高齢期の方々に安心して生活してもらうためには、医療・看護サービスと介護サービスの連携が大変重要となります。しかし、現行在宅サービスでは、夜間(深夜)や早朝の対応という点において不十分な点が課題とされています。医療専門職と違い介護専門職は、高齢者に日常的に接する機会が多く、日々の状態変化などに気付きやすい立場にあります。介護専門職が被介護者の病状悪化、急変を早期に察知、迅速に医師または訪問看護師と連携する体制整備が求められます。

 

地域格差

実情や特性は、地域ごとに異なり、整備後の介護体制に関しては地域間で必ず格差が生じます。財源やマンパワー、高齢者人口のピーク時期に関しても地域ごとに大きく異なります。先行して地域包括ケアシステムを整備した市区町村の事例を参考としながら、それぞれの地域の特性を加味、両者のバランスを考えながら自治体は整備計画を立案する必要があります。

 

地域包括ケアシステムの目指すべき形

本システムは、今後日本の未来を明るくする希望の光とされています。 被介護者やその家族にとっては、住まいの地域の地域包括ケアシステムの進捗や充実度が生活圏域を決めていくポイントとなるでしょう。

厚生労働省の公式サイトでは、都道府県や市区町村別に地域包括ケアシステムの事例を紹介しています。親子が離れた地域に住んでいるケースなどでは、双方の地域の状況を情報収集するのに役立てることができます。

地域包括ケアシステムの構築に関する事例集 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

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