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柔道整復師と介護福祉【第42回:障害者総合支援法の改正②】

2018/04/16

総合支援法3年後の見直し②
高齢障害者と介護保険への移行支援

障害者制度は現行の介護保険制度を優先することが前提となっています。通所サービスについては障害福祉サービス事業所が介護サービスを使える仕組みを検討してはどうかと、共生型類型が新設されました。(富山型)
介護保険サービスは現在1割負担が原則で、障害福祉サービスを受けていた利用者は負担増になります。そこで、高齢障害者に対しては特例を設け、お金が戻ってくる仕組みを創設しました。(現在の基準のままの負担とする)。
該当要件は、65歳に達する前に5年間の障害福祉サービスの利用実績がある対象者に限定されます。課題としては、知的障害の人たちで60歳以上まで企業などで働いていた人が、この制度の対象外となり、実数は少ないがなんらかの救済策が求められています。

 

 

「共生型」とは?

定員20人の生活介護事業所を例にとると、従来は原則として介護保険の事業を併設することはできませんでした。ところが、法改正で20人のうち5人を介護保険デイサービスの対象として位置づけることが可能になりました。「基準該当」として市町村に認めてもらえれば、その人は介護保険からお金が出ることになります。
逆に介護の事業所でも障害者を受け入れることを可能にする制度改正も行われます。
高齢者サービスしかなく、障害者は別の市町村に通わないといけない場合、基準該当で市区町村に認定されれば、定員の枠の範囲であれば受け入れが可能となります。
2018年度の介護報酬改定、障害福祉サービス等報酬改定で共生型の仕組みが開始しました。

 

地域生活に必要なサービス構想

子どもから大人になるまで幼児・学齢期、卒業、社会参加、家族の高齢化、ひとり暮らし、介護保険年齢といったライフステージがあり、その時々に必要なサービスは異なります。家族同居、ケア・グループホーム、ひとり暮らしという住まいの形態の違いによっても、施設選択、在宅選択の観点からもさまざまなニーズがあります。
まずは「意思決定支援」ということを踏まえて、相談員とサービス管理責任者は、ガイドラインに沿った対応が求められます。

 

意思決定支援ガイドラインの概要

以前から「自己決定」という表現で取り組む事業所はありました。今回、「意思決定支援ガイドライン」が示されたことで、今まで取り組んでいなかった事業所、取り組んだがうまくいかなかった事業所も意思決定支援を避けるわけにはいかなくなりました。
その際、重要なのは情報の伝達です。本人が決められるような環境を用意するのが意思決定支援です。特に、言葉を持たないコミュニケーション障害の方には時間と労力がかかります。障害が重い方の意思決定支援は色々な本人のエピソードを寄せ集めて、断片的ではなく総合的にモザイクを繋いで構成する本人のライフストーリーづくりにも、つながります。

 

「わたしの希望するくらしシート」

意思決定支援を行うためには、さまざまな環境を調整しなければなりません。意思決定支援責任者を用意した上で計画書を作成し、意思決定支援会議にかけます。意思決定支援については4つの関わりが重要です。

支援者との安心感・共感に基づく信頼関
わかりやすい情報提供
説得ではなく納得
チームの支援

計画を立てる際には、まずは希望する暮らしに対する見通しを本人に持ってもらい、支援する側も共有することが大事です。

 

サービス等利用計画と個別支援計画の関係

国の指針である「サービス等利用計画」は計画作成前(アセスメント)に本人の心身の状況、環境、日常生活の状況、現に受けているサービスに加えて、サービス利用の意向などを確認することになっています。それを踏まえてサービス等利用計画では生活に対する見通しを計画します。計画に基づいて事業所としてできることを計画したものが個別支援計画です。

 

支給決定プロセスの見直し等

支給決定プロセスには一定期間ごとのモニタリングが組み込まれています。障害者支援センターとしては基本的な役割をサービス等利用計画を中心に組み立てながら、望ましい状態がどこにあるのかを設定します。
望ましい状態と実際との差を、どのように埋めていくかを考えることが重要です。
地域の中で本人の暮らしを主体的に整えるためのライフプランをサービス等利用計画で作成します。さまざまな地域資源を活用することで、たとえば宿泊型自立訓練や訪問型自立訓練などの訓練事業も可能になります。

 

 
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