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何故、柔道整復は国民に支持されてきたのか?
【第9回:新たな法的身分の確立】

2018/05/01

昭和22年12月20日「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」が制定公布されました。
この時期における連合軍最高司令部GHQの命令は絶対であり、柔道整復は廃絶の危機を迎えますが、日本独自の伝統的医療として、法的身分が新たに確立しました。

進駐軍衛生部PHWによる禁止勧告に対して厚生省医療制度審議会は、「鍼、灸営業については、盲人には原則として新規には免許を与えないとし、柔道整復術営業についても、原則として新規には免許を与えないものとされ、いわゆる医業類似行為は凡てこれを禁止すること。」と答申を出しました。いわゆる無資格療術業を医業類似行為と捉え、それらはすべて禁止と回答しています。大変厳しい状況の中、営業法として柔道整復や鍼灸、あん摩資格を有する者による業務については、法的に認められることになりました。ただし、従来の徒弟制度を廃止し、学校制度を整え、品性の向上を図る必要をより厳しく対応することになりました。
(医業類似行為については前回、芦野純夫先生の御説を引用させて頂きました。)

 

昭和25年2月16日 医収25(厚生省医務局長)
按摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法第5条によれば按摩師及び柔道整復師は原則として医師の同意を得た場合の外脱臼又は骨折の患部に施術さしてはならないとあるが、上記患部に対する施術は医師法第17条に所謂「医業」と見做されるのであるかどうか。
あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法第5条に「施術」とあるのは、当然「あん摩術又は柔道整復術を意味するが、これらの施術を営業として行うことは理論上医師法第17条に所謂「医業」の一部と見做される。

 

柔道整復師の先生方は、患者調査票等に同封される柔道整復適正受診の啓蒙チラシに記載される文言や一部の医師による偏見的解釈について、どのように感じておられるでしょうか?
「柔道整復師は医師ではありません」
「柔道整復師は非医師です」
「接骨・整骨院は医療機関ではありません」
「柔道整復は医療でないことから施術という」
など、これらは確かに誤りではありません。ですが厚生省の局長が医業の一部であると示しており職業差別的な文語での表現は、あまりにも理不尽です。

また法律名称が「営業法」として表記されていることから、柔道整復師としての身分を認めたものではなく単に営業免許だと解釈される場合がありますが、「第1条 医師以外の者で、あん摩、はり、きゅう又は柔道整復を業としようとする者は、夫々あん摩師免許、はり師免許、きゅう師免許又は柔道整復師免許を受けなければならない。」とあり、明らかに有資格者でなければ業として行うことは許されていません。

医師の場合には、医師法として医師の職務全般・資格を定めています。「医師法第1条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」「医師法第17条 医師でなければ医業をなしてはならない。」とあり、医療法では医療を提供する体制の確保や国民の健康保持に寄与することを目的として、医療施設の計画的整備などが定められています。つまり医師法で身分を医療法で施設に関しての基本を定めています。あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法の場合には、資格を定めた身分法と営業関係の定めを含めた法律であると考えられます。
昭和26年に「あん摩師、はり師、きゅう師、柔道整復師法」に改正され、資格法(身分法)がより明らかとなり、既得権による開業者に対する配慮を含めた当初の法律名称に見られた「等」の文言も削除されました。

 

昭和26年9月25日 中央審議会 広告制限に関する論議文抜粋

赤木委員長:
第1条に規定する業務の種類の中、柔道整復に対しての俗称として「ほねつぎ」「接骨」「整骨」の三つがありますが、この点についてのご意見は如何ですか。

小林大乗委員:
柔道整復と云っても一般には通じません。~略~ 是非ともこの三つの俗称を生かして通用させていただきたい。

赤木委員長:
~略~ 三つとも全部許可せよと云うことは、余りにも欲が深すぎるのではありませんか。

三木委員(東京大学整形外科教授):
「ほねつぎ」と云う名称には、私は絶対に反対の意見を持っております。この俗称が世間一般にあるため、骨折や脱臼の患者が医師即ち整形外科医に来ない。骨をつぐと云うのだから、骨傷ともなれば世間一般の人々はすぐ柔道整復師の方へ行ってしまう。又医師が診断して、あなたは骨が折れていますよと言い聞かせると、直ぐ「それならほねつぎへ行きます」と言って受療を断る実例が大変多い。~略~ 私はこの名称には反対です。

仲田委員(日本医師会副会長):
これ等三つの俗称のうち、一つ位許したらどうです。只適応症の広告は、あんま、はり、きゅう同様絶対に反対であります。何故ならば、医師にあらざる者が疾病の診断をすると云うことが、既に間違いであるからであります。

小林大乗委員:
~略~ 柔道整復と云う名称のために、柔道家であれば誰人でも「ほねつぎ」「接骨」「整骨」の名称を取り上げられることは、一面生活の脅威をかもす結果ともなるのであります。国民大衆保健のため、又我々業者の生活保護の立場からも、是非ともこの三つの名称を許していたただきたいのであります。

赤木委員長:
いろいろ御意見がありましたが、然らばこれ等三つの俗称のうち一つだけ許したらどうですか。

小林大乗委員:
~略~ どうしても一つだけと云うことになれば、この際は「ほねつぎ」の名称を許可していただきたい。我々柔道整復師は、ここ数年来全国各地において講習会や研究会を開いて、主に医師の方々に講師になっていただいて学問的に亦臨床的にも真剣になって、研究を真面目にやっている現状です。整形外科が今日より以上一般的になり、専門医が多数となって行き、他方国民大衆の医学に対する知識が高まり、従って従来のような我々「ほねつぎ」を支持しないようになれば、自然消滅の段階になってゆくのではないでしょうか。現在においては、我々整復師はどこまでも医師の指導のもとで、医師の補助機関として国民の保健の上の尊い一役をつとめる責任があることと考えます。

赤木委員長:
それではどうです。「ほねつぎ」の俗称だけを許可することにしては。

あんま、はり、きゅうの三委員:
許すことに我々は賛成致します。

文部省側委員:
柔道整復師と書いて、横には「ほねつぎ」と云うことになりましょうね。賛成できません。国字問題で小学生が誤って読む恐れがありますから、その意味なら括弧内に、「ほねつぎ」と入れるべきであります。

(日整六十年史より一部抜粋)

 

小林大乗 医博(京都大学・整形外科医)は、日本接骨師会の会長を務められたこともあり、柔道整復師には理解ある医師のおひとりで、柔道整復師の業権確保と向上に惜しまない活動をされ「柔道整復は単なる個人の負傷を治療するというだけではない、その歴史的背景から見ても、柔道整復の理念は、正に国家全般の患いを匡正することにある」とした見識を持っておられたそうです。

信頼こそが柔道整復の原点であると言えます、適正な治療・適正な算定が大切です。

 

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