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保険請求の手引き【第13回:療養費の支給基準 その12】

2016/11/01

柔道整復療養費特例受領委任に係る「療養費の支給基準」について、編集部による解説も最終稿となります。今回は、特に柔道整復師の先生方にとって最重要記録と称しても過言でない施術録、そして徴収方法に様々な違反行為が見られる一部負担金について記述いたしますが、読者の皆様はどのように位置づけされ、実行されているでしょうか。

第6 施術録について

1
療養費の支給対象となる柔道整復師の施術については,別添の記載・整備事項を網羅した施術録を患者毎に作成しておくこと。
なお,同一患者にあっては,初検毎又は負傷部位毎に別葉とすることなく,同じ施術録に記載すること。また,施術明細を書ききれない場合は,別紙に記載して施術録に添付しておくこと。
2
地方厚生(支)局長及び都道府県知事との協定及び契約又は関係通知等により,保険者等に施術録の提示及び閲覧を求められた場合は,速やかに応じること。
3
施術録は,施術完結の日から 5 年間保管すること。

医科ではカルテ(独語)と呼び、診療記簿として様々な患者記録が記載されます。
柔道整復においては、その施術に関する記録を残す必要から「施術録」と規定されています。
施術録には、受診者が持参された保険証のすべてを記載する必要は勿論、月初めに適宜、保険証の再確認を行うよう定められ、負傷原因や傷病名・同意医師についてなど記載が必要です。施術の内容や経過等は具体的に順序良く記載することが特に大切な点だと言えます。
また、施術録は、療養費請求の根拠となる記録であることから、正確に記入し施術完結の日から5年間の保存義務があります。

施術録は初検の都度、或いは負傷部位が発生するごとに作成するのではなく、各受診者専用の施術録として記録・完備することが求められています。仮にA受診者さんの施術と算定が完結し、数か月後に新たな負傷で来院された場合、新たな施術録を作成(別葉)するのではなく、前回と同じ施術録を使用しなければなりません。記載する欄が無く、規定された記録を残せない場合には、別紙に記載して施術録に添付することが求められています。

施術録の記載・整備事項

1 施術録の記載項目

(1) 受給資格の確認

保険等の種類
①健康保険(協・組・日) ②船員保険
③国民健康保険(退) ④共済組合
⑤後期高齢  ⑥その他
被保険者証等
①記号・番号 ②氏名
③住所・電話番号 ④資格取得年月日
⑤有効期限 ⑥保険者・事業所名称及び所在地
⑦保険者番号 等
公費負担
①公費負担者番号 ②公費負担の受給者番号
施術を受ける者
①氏名 ②性別 ③生年月日
④続柄 ⑤住所
一部負担割合
0割・1割・2割・3割等
以上のことは被保険者証等から転記するほか,必要な事柄は患者から直接聞いて記載する。
月初めに適宜,保険証を確認するなど,必要な措置を講ずること。

(2) 負傷年月日,時間,原因等

正しく聴取して必ず記載すること。
① いつ
② どこで
③ どうして

(3) 負傷の状況,程度,症状等

正しく聴取して必ず記載すること。

(4) 負傷名

正しく聴取して必ず記載すること。

(5) 初検年月日,施術終了年月日

(6) 転帰欄には,治癒,中止,転医の別を記載すること。

(7) 施術回数

(8) 同意した医師の氏名と同意日

(9) 施術の内容,経過等

正しく聴取して必ず記載すること。

(10) 施術明細

初検月日,時間外等の表示,初回施術,初検料(加算=休日・深夜・時間外),往療料 km(加算=夜間・難路・暴風雨雪),金属副子等,その他
再検料,往療料,後療料,罨法料,電療料,包帯交換,その他
上記について施術後その都度,必要事項及び金額を記入すること。
一部負担金,長期・多部位の定額料金等,窓口徴収の金額は正確に記入すること。
施術所見を記入すること。

(11) 施術料金請求等

請求年月日,請求期間,請求金額,領収年月日

(12) 傷病手当金請求等

傷病手当金証明に関する控えとして,労務不能期間,施術回数,意見書交付年月日

 

2 施術録の整理保管等

(1)
施術録は,療養費請求の根拠となるものなので,正確に記入し,保険以外の施術録とは区別して整理し,施術完結の日から5年間保管すること。
(2)
施術録は,保険者等から施術内容について調査照会のあった場合は直ちに答えられるよう常時整備しておくこと。

施術録は、個人情報の記録でもあり安易に公開できる記録簿ではありません。
ですが柔道整復施術療養費特例受領委任を取り扱う場合、保険者等による提示や閲覧の求めがある場合には、協定及び契約柔道整復師はこれに応じなければなりません。規定に準じた記録がなされ主な経過を残されている施術録であるならば、疑義の解消に役立つ大切な記録となるはずです。また受診者の損傷回復経緯や経過を記する大切な記録でもあります。
正確な記載と定期的な整理にお努めいただきたいと願います。

 

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