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第5回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会 開催

2016/05/16

平成28年5月13日(金)、TKPガーデンシティ永田町において、第5回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(以下、検討専門委員会)が開催された。

冒頭、厚生労働省より、前回の検討専門委員会における論点と今後の進め方について、資料に基づいて説明が行われた。

その後、各委員より以下の項目に関して意見が出され、議論が交わされた。

  • 支給対象の明確化に向けた個別事例の収集の方策
  • 不正の疑いのある請求に対する審査の重点化
  • 適正な保険請求を促すための施術管理者の要件強化
  • 療養費詐取事件への対応
  • その他

 

1.支給対象の明確化に向けた個別事例の収集の方策

支給対象となる負傷において、「亜急性」の解釈の定義についてはしばしば議論の的となっているところだが、相原委員は〝本来通知・通達はその内容が法の正しい解釈に合致しなければならない。平成9年4月17日発出の通知では柔道整復療養費の支給対象が定められているが、医学的には「亜急性の外傷」という概念はない。外傷はすべて急性である。したがって、「亜急性」の定義(資料5ページ記載)には異議がある。政府が閣議決定されたものであるが、間違っているなら是正されるべき。その議論のためには厚生労働省に詳細な補足説明をしていただく必要がある〟と厳しく指摘した。

亜急性という言葉を使用するに至った経緯について、厚生労働省担当者は〝平成7年に医療保険審議会に柔道整復師等療養費専門部会が設置され、その報告書の中で出てきている。この検討会には当時の日本医師会の副会長等も参加されており、その中で資料が作成されたという事実がある〟と説明した。

相原委員は〝かつてそうだったからと言って、今も良いということにはならない〟と切り捨てたが、厚生労働省担当者は〝どういった場合には支給するのかという事案を収集し、積み重ねて共有し、共通理解を深めていきたい。事例を収集したら、支給すべきかすべきでないかに分けていく。ただし人間の身体のことなので丁寧なものが必要だと考えている〟と、支給基準の明確化に向けた見解を述べた。

 

2.不正の疑いのある請求に対する審査の重点化
部位転がしへの対応

負傷と治癒を繰り返す、いわゆる「部位転がし」は不正請求の手口として問題視されている。この対策として飯山委員は〝3部位目からは負傷原因が書かれるが、1部位や2部位では書かれない。書くようにすべきではないか。当然施術録には書かれているのだからそれを転記すればいい〟と提案。

三橋委員は〝柔整審査会の権限を強化し、施術所単位で傾向的に怪しいものがあれば調査をしたり聴取をしたりできる権限を与えてもらえれば、すべてに負傷原因を書く必要はないだろう〟と意見したが、相原委員は〝飯山委員の提案は非常に良いと思う。受傷機転がわからなければ審査できない〟とし、村岡委員も〝発生原因の中には、保険者からすると「こんな理由では発生しないのでは」と思われるようなものもある〟と判断の難しさを吐露した。

田中委員は〝求められることが多いけど与えられるものがない。患者を診ながら書くわけなので、文書料なり再検料なりをつけていただければ負傷原因を書くことも可能ではないか〟と述べた。

 

長期・頻回・多部位について

幸野委員は〝審査の重点化の対象となる著しい長期・頻回事例については、算定基準に回数制限等の措置を設けていただきたい。特に同一負傷原因による捻挫・打撲にかかる施術については、回数等の制限を設けてはどうか。漫然と治療を続けていくのは良くない〟と強く求めた。

田中委員は〝頻回になる理由として、高齢者だと変形性膝関節症などの素因がある患者が多い。腫れや運動痛が出て施術所に行って治療するが、良くなるとしばらく来なくなり、症状がまた出たら来院して治療する〟と患者の年齢層も関係していると説明。

萩原委員は〝症状によって長期になる場合もある。初期のうちは特に回数が多いと認識している。整形外科では1週間なり薬を出して経過観察すると思われるが、柔道整復では毎日のように症状を診る必要があるという点で違いがある〟と、医科と柔道整復の特性の違いから頻回も起こり得ると主張した。

 

柔整審査会の権限強化

また、審査の重点化にあたっては、柔整審査会の権限を強化し、不正請求の疑いがある者に対処していくべきとする意見が施術者側から上がった。

これを受けて幸野委員は〝柔整審査会は膨大な支給申請書を十数人で点検するような体制だと聞く。疑わしいものに付箋をつけて保険者に回しても、その後は不支給なのか支払われたのかもフォローできておらず、正確なデータが集まるのか疑問。それよりも検討専門委員会の下に作業部会を立ち上げて、保険者も参加してデータベースを作り、事例だけではなくどう処理されたかや厚生労働省の見解なども含めてデータ化すべき。審査の強化も一部やり方としては賛成するが、それだけではなく他のやり方も検討してみてはどうか。審査を強化するのではなく、協定や契約に基づいて受領委任払いを即刻中止するなどを、厳密に行っていけば効果的ではないか〟と提案した。

しかし施術者側からは、伊藤委員が〝審査会では医科の突合もしており、部位転がしなども見つけることが可能。しかし今のままでは見つけたとしても調査ができないため返戻するしかない。これを繰り返していては解決にはならない。しっかり権限を付与していただき、不適正なものは不適正として処理していきたい〟と発言。さらに三橋委員は〝調査権限があれば怪しい請求を抑制できると考え、審査会の権限強化を要望している。そして審査基準を統一して審査・調査・返戻をすることで、まずは成果がどのくらい上がるのかやってみようという中で挙げられた項目であるということをご理解いただきたい〟、田中委員は〝傾向として怪しい請求をしている施術所の情報を保険者から審査会に上げていただければ、重点的な審査も可能になる。審査会に調査権限があれば、もう少し不正も解消されていくだろう〟と述べ、一貫して調査権限の付与を求めた。

厚生労働省担当者は〝都道府県知事あるいは地方厚生局と契約を結んでいるという状況を考えると、受領委任払いを中止するには一定の証拠を得る必要がある。どのように検証されたものが証拠として挙がり、それをどう処理するのかまで丁寧に検討しなければならない〟と、受領委任中止措置については慎重な姿勢を見せた。

 

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