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第4回柔道整復療養費検討専門委員会 開催される

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平成28年3月29日(火)、全国都市会館(東京都千代田区)において「第4回柔道整復療養費検討専門委員会」が開催された。

まず厚生労働省担当者保険局医療課保険医療企画調査室長より「柔道整復の施術に係る療養費に関する現状と課題」とし、以下の9点について資料を交えて説明が行われた。

  1. 柔道整復の施術に係る療養費の概要
  2. 支給基準に関する課題と論点
  3. 審査に関する課題と論点
  4. 長期・頻回・多部位対策に関する論点
  5. 施術管理者の要件に関する課題と論点
  6. 指導監査に関する課題と論点
  7. 請求に関する課題と論点
  8. その他の課題と論点
  9. 療養費詐取事件の特徴と論点

その後、提示された論点に関し、有識者・保険者側代表者・施術者側代表者により議論が行われた。

療養費詐取事件・広告の制限

まず昨年末より問題となっている反社会的勢力が絡む療養費不正受給問題について、三橋委員は〝起こるべくして起きた最悪の事態と捉えている。長きに亘り柔道整復療養費制度の改善の必要が叫ばれる中で、国も我々柔道整復師もなかなか検討・修正をしてこなかった結果だ〟と施術者として重く受け止めながら、〝悪意ある者に破壊されてしまうことのない環境の構築に向けて、検討専門委員会の力を借りて議論を進めていきたい〟と前向きに発言。

池上委員は〝不正受給問題に加え、不適切な広告実態も厚生労働省に報告されていることと思う。広告が不適切であればそれに伴って、保険適用外のものを保険適用として請求することになるだろう。単なる広告のルール違反ではなく、そこに不正も間違いなく付いて回っているのだと考えてもらいたい〟と指摘した。違反広告については施術者側からも危惧する声が上がり、監督・指導を徹底的に行うべきとの姿勢が示された。

支給基準・審査

支給基準については保険者側・施術者側ともに、曖昧で分かり難い、明確化すべきとの見解で一致した。

飯山委員は〝曖昧なため審査がしづらく、審査員は非常に苦労している。施術者も保険者も皆が納得できるようにしてもらいたい〟と述べ、同様に池上委員からも〝施術者と保険者、患者が等しく理解できるルールの下で議論していくべきだ。例えば亜急性については医科のように時間経過で認識しがちだが、柔道整復は期間にかかわらず急性に準ずるものとしている。このような概念だと患者は判断できない。できる限り曖昧な点を取り払っていくことが大切ではないか。しかし施術者と保険者だけの議論では難しい面もあると思う〟として、公正な医療分野からの意見も参考に議論を進めるべきだと主張した。また、山﨑委員からは〝支給基準や審査を明確化して作業効率を上げたい。また、大切な財源をもとに支給されていることから審査を厳格化してほしい〟との要望が上がった。

施術者側からも、萩原委員が〝支給基準は各地域によっても判断が変わってしまう部分がある。ぜひ統一した基準で公正に判断できるようにしていきたい〟と改善を求めた。加えて、田中委員は〝柔道整復師法の業務の制限と、支給対象となる負傷・施術行為に差がありすぎる。柔道整復師法における制限は外科手術をしてはいけない、投薬をしてはいけない、骨折・脱臼は医師の同意を得なさいということだけ。施術者としては、柔道整復師法に則った形にしていただきたい〟と訴えた。

柔整審査会については、審査会の権限強化を求める声が多く見受けられた。

伊藤委員は〝柔整審査会には患者や施術所に対する調査権限が与えられていない。各地域で起こった問題を共有して、曖昧な部分を詰めていくことによって適正化に繋がる。そのためにも一定の調査権限を与えていただきたい〟、三橋委員は〝ある程度の調査権限をいただきたい。審査会として施術者から意見を聴取できるような体制ができれば、かなり適正化が図られるのではないか〟と意見した。

一方で、池上委員は〝権限を強化するとしても、支給決定権は保険者にあるということは変わらないと意識しなければならない〟と注意を促した。

また療養費申請は通常、健康保険組合分については柔整審査会を介さず保険者へ送付されるが、都道府県健康保険組合連合会会長から依頼のあった場合には柔整審査会で審査できることから、田村委員は〝1400を超える健康保険組合の中で、柔整審査会に審査を依頼している組合は100程度しかない。もっと審査会に入ってきてほしい〟と要請した。

骨折・脱臼に関する医師の同意

骨折または脱臼の施術には応急処置の場合を除いて医師の同意が必要とされているが、同意は口頭でも良いため、申請書の摘要欄に同意を得た旨の記載があれば同意書の添付を要さないとされている。

しかしながら、三橋委員は以前に比べ医師との連携が難しくなっている現状を吐露し、〝脱臼はすぐに整復し、その後近隣の医師に同意をもらっていた。整復してしまうとレントゲンでもなかなかわからないため、信頼関係のもとに成り立っていたと言えるが、最近では同意を拒否される事例が増えてきている〟として、早急な整復のためにも脱臼については医師の同意を撤廃するよう求めた。また田中委員は、歯科医師から顎関節脱臼の整復を依頼された場合については、同意は歯科医師でも良いのではないかと提案した。

これらに対し、保険者側は〝趣旨は理解したが、撤廃は考えられない。昨今の不正受給や不適切な広告が散見される状況を鑑みると、公的財源を使う上で同意は必ず必要だ。医師の信頼が悪用されるケースもあるのだと理解してほしい〟と厳しい見方を示した。

請求・申請書の電子化

請求に関する問題点として、審査や事務作業の効率化・合理化を進めるために、支給申請書を電子化すべきとの意見が上がった。

伊藤委員は〝日本柔道整復師会として、電子請求のモデル事業を検討している。保険者にも協力をお願いしたい〟と発言。これには保険者側も概ね同意を示し、山崎委員は〝医科は電子化されているので、月をまたいだ確認や縦覧なども容易にできる。柔道整復も電子化されれば作業がしやすくなる〟とコメントした。さらに、支給申請書の電子化にあたって、まずは支給申請書様式の統一を徹底する必要があるとの意見も上がり、飯山委員は〝様式がバラバラであったり何と書いてあるのか判読できなかったりする。ある程度、記載要領を作成してもらいたい〟と述べた。

施術管理者の要件

施術管理者については現在、柔道整復師資格を有するということ以外には特段条件が定められていないが、保険者側からは〝施術管理者の要件として研修をしっかり行うべき〟、〝請求者が一定のレベルに達していることが非常に大切〟と資格要件を検討していく必要があるとの意見があがった。

同様に施術者側も、資格取得後間もない柔道整復師を施術管理者に据える施術所が増えていることを問題視しており、〝安心・安全な施術をするためにも、ある程度の実務経験を課す等の対応策を検討してほしい〟、〝最低3年間程度の実務経験を積み、講習も受ける必要があると考えている。更新時講習も行う必要がある〟等述べたうえで、柔道整復研修試験財団の認定を受けている臨床研修施設を活用していけば十分に対応できるとの見解を示した。

これらの論点に加え、保険者側から〝保険者と被保険者には距離がある。柔道整復師だけではなく被保険者にも問題がある人がいる。保険を乱用する被保険者は受領委任払いから外す等、被保険者の行動の制限をかける権限を与えてもらえないか〟との保険者機能に関する意見や、〝柔道整復は整形外科の補完という位置づけで開始されたもので、80年の時を経た今でも公的保険として柔道整復に求められている範囲は変わっていないのか。根本的な部分も含めて協議をすべき〟や〝療養費は保険者がやむを得ないと認めたときに支払われるものだ。受領委任払いは昭和11年から続くものだが、現在は当時と同じ状況とは言えない〟といった、柔道整復の在り方そのものを見直す必要性を訴える声もあがった。

次回の専門委員会は、開催日は未定だが料金についても議論される予定とのことだ。

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