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スペシャルインタビュー: 松戸市長・本郷谷 健次 氏

2014/10/01

―近年、地球規模で大災害が多発しています。松戸市の防災計画について教えてください。防災計画を立てる時に極めて重要なことは、何を前例として何を想定するかと言われておりますが、その辺についても教えてください。

松戸市も2011年の3.11東日本大震災で被害を受けまして、全壊・半壊を合せて130軒でした。また福島から3月15日の朝にバスで松戸に辿りつかれて、3か月位だったと思いますが避難されて、公共施設や民間の施設、お寺等いろいろ開放していただきました。その対応が一番早かったということでNHKでも報道されました。

その後、放射能のホットスポットということで、そう高いレベルではないものの以前は放射能の無い場所でしたので市民も相当不安に思われ、当然公共施設は市が行いますけれども、除染の申し出があった1万4千軒の家屋をチェック、全部除染してこの3月末にやっと終わったところです。30億円くらい除染費用がかかりました。東日本大震災では地震が起きて、地震による被害、津波による被害、それだけではなく放射能という大きな問題がありました。松戸はどちらかというと津波の問題は無いため基本的には直下型の地震を想定して、市としても全力あげて取り組んでおります。

松戸市は一応、阪神淡路大震災の直下型を前提に、又3.11の東日本の大震災を参考にして対策をたてていますが、一度に何もかもは出来ませんので継続的に施設を整備、備蓄倉庫の補充管理も余念なく行っております。地震など大災害が起こった時に、高齢者も増えていますし、地域の自治会会長さん達の一番の関心事は、やはり防災ではないでしょうか。高齢者や障害者など、災害が発生した時に自ら避難をすることが困難で、特に支援を要する避難行動要支援者事業について12の市政協力委員連合会単位で、馬橋地区をモデル事業とし、順次地区の拡大を図っております。

また本年11月8日には、全市をあげて防災訓練を実施する予定です。全小学校、全中学校を拠点にして、地域の自治会とか地域の人たちが参加して市民全員で訓練を行うというのは今回が初めてです。なにしろイザという時に備えておかなければなりません。市民みんなが防災意識を高めていただきたい。そのためにはやはり訓練を行うことがとても重要であると考えております。

 

―柔道整復は阪神淡路の大震災、2011年の東日本大震災時においても活躍してきました。柔道整復は、高度診断機器、薬物を用いることなく救護にあたれる医療職種として、また近年盛んに言われ出したエコ医療であると言えます。本郷谷市長から見て、柔道整復(伝統・民族医学)は今後どのような活用が望まれるでしょうか。

柔道整復師のお仕事はもの凄く大切と思っています。今にも命に危険のある人は直ぐ手術をするなど勿論急性期も重要ですが、今求められているのは、回復期であるとか慢性期におけるリハビリです。

特に地震が起きた時に生きるか死ぬかのライフラインは2・3日と聞いておりますが、それをフォローしていくことが大切ですし、多くの人が救護やケアを必要とする状況が起きる訳で、そういう意味では柔道整復師の方々の支援活動というのは非常に心強く、役に立っております。

また体一つで出来ることから大きな災害による非常事態においては、大変重要です。松戸市の医療体制をみても、手術する大きな病院は沢山ありますが、リハビリ病院をもっと充実させなければなりません。これについては我々が医療体制を充実させる施策の大きな柱であるように思っています。

柔道整復師の先生というのは地域に密着している方々なので、何か支障があった時には接骨院に通って治療していただくと良いと思います。これから地域包括ケアシステムを構築していく中、お互いを理解し合うことで、役割も広がっていくのではないでしょうか。実績をいっぱい積んでいるプロなんですから何か研修制度みたいなものを作って、もし何かが不足しているのであれば、其の部分だけ勉強をして資格を与えて地域包括ケアシステムの中に完全に組み込んでもらえると一度に大きな戦力になる訳ですからね。そうすることで人手不足も補えるし、地域密着型の支援体制の中で本当に大きな力になっていただけます。現在の体制の中に十分に組み込まれていないこと自体がそもそも問題であると思います。これだけいろいろ治療実績を重ね、また公益的な事業をやってこられている訳で、相当のノウハウをお持ちなんですから、今後の超高齢化社会に有効に活用され、活躍していただけることが望ましいと思っております。

 

―今後、病院で死ぬことが出来ない時代がやってくる中で、どのような地域社会を構築できるか。地域における健康づくりを従来型の健康政策のみではなく、機能の集約化、住居環境及び交通網の整備など街づくりの視点も加えた総合的な施策の構築等についてはどのようなお考えをおもちでしょうか。

医療関係者やそういった関係者だけではなく、地域の人たち、或いは地域で商売をやっている人たち、消防団の人、民生委員、薬局の方達、そういう方達が連携して、地域住民の健康を維持していくという役割をみんなで担っていく必要があり、松戸市では「連携型地域社会の形成」を目指しています。地区の各種団体が連携し、地区の課題を解決していく方策としては、地区との連携を図りながら、モデル地区の試行に取り組んでおります。何度も申し上げた通り、市民がそれぞれの地域社会の中で、お互いに助け合いながら生きていくということを共有することがとても大切なことだと思っています。

また、近年は、地域が元気になる活動やソーシャルビジネスに対する社会的認知度の向上など、人々の社会に対する意識に新しい兆しがみられます。市民一人ひとりが社会に目を向け、主体的に地域をよくしていこうとする意識が更に高まる必要があると考えています。

松戸市では、人と人とを結びつけ、人の活動を支援していきます。そして"認知症になっても安心して暮らせる街まつど"を目指しています。認知症の方の生活にかかわる課題は、認知症の方やその家族だけで抱えるのではなく、地域全体で考え解決していくことが必要です。
(文責・編集部)

 

●本郷谷健次氏プロフィール

1948年8月29日名古屋市生まれ。
■学歴
愛知学芸大学附属岡崎中学校、愛知県立旭丘高校、東京大学経済学部卒業。
■職歴
新日本製鉄株式会社にて総務、人事を中心に様々な仕事を担当する。
その後、大手監査法人にて主に国へのコンサルタント業務を行う。
■ 公職歴
平成18年11月、松戸市議会議員。 平成22年7月、第21代松戸市長。
平成26年7月、第22代松戸市長、現在に至る。
■趣味
スポーツ全般(高校、大学時代はラグビー部に所属、中学時代はバスケットボール部に所属。他に野球、サッカー、テニス、山歩き、スキー、グラウンドゴルフなど何でも)書道、絵画、珠算、天文、素粒子、歴史研究など
■ 家族構成
妻と一男一女

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