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『「匠の技 伝承」プロジェクト2022年度第1回指導者養成講習会』開催

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2022年5月15日(日)、日本柔道整復師会会館(東京都台東区)において、『「匠の技 伝承」プロジェクト2022年度第1回指導者養成講習会』が開催された。本講習会は対面受講・オンライン受講併用のハイブリッド方式にて行われた。当日は午前中に合同実技実習や評価確認に向けての説明およびチェックポイント解説、午後に整復固定・超音波観察装置の取扱い、それぞれの指導者評価確認が実施された。

2022年度第1回指導者養成講習会
長尾氏

(公社)日本柔道整復師会・長尾淳彦副会長は‶「匠の技 伝承」プロジェクトのプレ開催を行った2019年当時は対面にて講習を行っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により2021年はオンラインでの開催を余儀なくされた。しかし今年はハイブリッド方式を導入し、各地区の代表者には対面での講習を行う。「骨折・脱臼の患者が来ないのに何故このような講習を行うのか」という意見もあるが、骨折・脱臼を診ることができるというベースがあってこそ捻挫・打撲・挫傷を診ることができ、機能訓練指導員としても活動ができるのであり、骨折・脱臼を診られないのであればリラクゼーション施設の施術者となんら変わらない。そして超音波観察装置等を用いて患者の安全を確認しながら業を行い、国民の信頼を得るためにこのプロジェクトを進めている。このような背景を理解したうえで、指導者として各地区でその技術と想いを伝えていっていただきたい〟と趣旨説明を含めて挨拶。

森川伸治学術教育部長からは指導者評価確認方法の説明があり、続いて講師の山口登一郎氏、佐藤和伸氏から実技評価ポイントの解説が行われた。

森川氏
森川氏
山口氏
山口氏
佐藤氏
佐藤氏

山口氏は‶患者は背臥位とし、膝関節を屈曲させることで牽引時の痛みを緩和させる。患肢は外転60度、肘関節が屈曲90度位で末梢牽引することが望まれる。牽引時には橈屈している遠位骨片をやや尺屈気味に牽引することがポイント。橈屈、尺屈する際には両母指が末梢骨片に当たっているか、両示指が近位骨片の遠位端にあるか、も重要。また施術にあたっては、合併症や後遺症、整復法等に関して必ず口述説明を伴うこと〟、佐藤氏は‶どこに何が描出されているのかを説明しながら観察していただきたい。モニターには向かって左が中枢、右が末梢となるようにする。プローブは押し付けずに軽く把持する。肩関節を観る際には、被験者の手は大腿部に置いて肩は少し引き気味にする。橈骨遠位端骨折ではリスター結節から橈骨のほうにスライドさせると橈骨内果が描出される。中間位だと橈骨外側には舟状骨と橈骨遠位端の掌側が描出され、尺側に描出すると丸くなった月状骨が描出される。その際にも、橈骨遠位端はひとつの線状高エコーとして末梢から中枢まで描出していただきたい。肩関節脱臼では、被検者のちょっとした内外旋で、小結節・大結節が描出できないことがあるので注意する。大結節から長軸で写し、肩峰から棘上筋腱を描出する〟と説明した。

その後、講師の実演・指導のもと、各受講者は固定具の作成として金属副子、厚紙副子の作成を行い、合同実習に取り組んだ。

評価確認では、各受講者は都道府県ごとに『橈骨遠位端骨折』と『肩甲上腕関節脱臼』について整復法・固定法の実技、超音波画像描出を行い、評価個人票の評価基準により評価確認を受けた。「術者と患者の位置が適切である」「整復時の患者の肢位が適切である」「固定肢位が適切である」等の評価ポイントに加え、説明対応の能力も評価対象とされた。なお、評価判定結果が芳しくない受講者は、講師のサポートを受けて再確認となる。

評価確認終了後、山口氏は‶肩関節の麦穂帯で苦労された方が多いかと思う。右側が患肢の場合、患者がベッドの中央に座ると至近距離で巻くことになり包帯の走行がよく見えない。ベッドの右端に座ってもらったほうが少し離れて全体を見ながら巻くことができるので巻きやすい〟とアドバイス。佐藤氏は‶全体的にしっかり良く出来ている。今回は静的な観察を行ったが、実際の臨床では動的な観察も非常に重要となる。今後、観察を行う際には動かしながら行うとより面白い。ぜひ楽しみながらやっていただきたい〟と述べた。森川氏は‶骨折・脱臼に遭遇する機会は少なくなくなってきているが、我々柔道整復師「骨接ぎ」がそれを診なくなると、益々業務が縮小してしまう。必ず患部に触れて評価をしたうえで、その評価を確認するために超音波で観察するという癖をつけていただきたい〟と挨拶した。

富永氏
富永氏

最後に、長尾氏が‶指導者候補の皆さんが各地域で指導する際に、どのような点に注意すべきかをアドバイスさせていただいた。ご質問だけではなくご意見、ご要望も挙げていただければ真摯に対応したい。今回の講習会を第一歩として、皆さんのお子さん、お孫さんの代まで柔道整復業界が続くよう取り組んでいく〟と総括し、(公社)日本柔道整復師会・富永敬二理事の閉会の辞により終了した。

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