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武見敬三議員と塩崎恭久厚生労働大臣との勉強会 開催

2016/05/26
武見:
まさに核心に入って参りました。健康長寿社会をつくろうという時に最大の支えは、国民皆保険制度であることは間違いない。その中で改めて予防給付も含めた新しい課題が沢山出てくるのは必至です。分散してしいる保険者を束ねなければならない。このために先ずは国民健康保険を都道府県ごとに統合するところまでは実現しました。今後どこまで我が国の医療保険制度というものは整理統合していくべきなのか、これは重大な課題で、意見も大きく分れるが、この点について大臣は如何お考えですか。
塩崎:
先輩方が世界でも稀に機能するインフラを作ってくれました。ただ、今のような形で再編をしてきて、かなり良い格好になってきています。単なる形ではなく、働いている人たちとその家族の皆さんが健康で、負担が過剰にならないように上手に工夫して、負担をし合いながら、たまたま病気になってしまった人には保険で高額なお金を支払わなくて済むという仕組みを作ってくれた。問題は本当に健康を守るための努力を保険者はやっているのかというと、例えば国民健康保険は、今まで市町村長がトップで、道路だ、学校だ、いろんなことで忙しいために誰かに任せる。任せても権力は首長さんが持っている。従って保険者は単にレセプトの料金を支払うだけになる。これではいけませんということで今やろうとしているのが、まさにキチッとした健診データ等の分析に基づいて、プログラムを作って指導する。その指導を実行する力がなければならないと思います。従って保険者機能をもっと発揮してもらうためにインセンティブを既に国民健康保険の改正時に入れ込んであります。
そういう形で国民健康保険は上手くいくようになっているが、問題は企業の健康保険組合です。ドイツと日本の保険者数の規模を比較すると、日本は相変わらず1400位健康保険組合がある。かつてドイツは1200位あったが今は統合されて124しかない。ただドイツは産業別に健康保険組合があり、日本は企業ごとにあるので一緒にするのは簡単ではない。夫々の健康保険組合に何人の人がいるのかを見ると、圧倒的に1万人以下が7割位を占めている。実はデータとして分析に耐えうるのは50万人ともいわれている。結局、データとして統合をすることは出来るのではないかみたいな議論が今行われていますが、いずれにしてもビッグデータをキチッと分析した上でどういう指導をして頂くかをよく考えていくような形でやっていかなければならない。何よりも厚生労働省が右向けといったら国民が右向くようなことは絶対にない。どうやって国民一人一人の行動を変えていくかというためには、あらゆる関係者の皆さん方が協力して、厚労省ももっと謙虚になって、県も市町村もそして保険者の皆さん方に一番頑張ってもらわなければならないので、そこをどうやってみんなが自分たちの問題として察してくれて頑張ってくれるようになるか。そのためのインセンティブや若干のペナルティもあるかもしれない。そういう仕掛けを作りながら自らの問題として考えて頂くように。
また、日本は健診率が低すぎる、現役で働いている人に〝精密検査が要りますよ〟と言っても行かない人たちが沢山おられる。保険者が〝ちゃんと行ってください〟と言わなければいけない筈なのにやっていない保険者がいっぱいいる。結局みんなのコストとして医療費で回ってきて、みんなで重荷を背負わなければならない。誰だってそんな重荷は背負いたくない訳で消費税は軽いほうが本当は良い。しかし社会保障をキチッと廻していくためには一定程度の財源は確保しなければいけないということで、来年の2%をどうするか。私としては社会保障を守っていくためには、やはり財源がなきゃ困るというところでございます。
武見:
あっという間に時間が過ぎて、グローバルヘルスについてもご所見を頂きたかったところですが。安倍内閣のもとで厚生労働大臣として我が国の人口政策を本格的に稼働させようとしていることがよく分りました。しかしそれは政府が旗を振るだけでは実行できる訳ではなく個々の国民一人一人の生活パターンまでをも大きく変えていく、働き方さえも大きく変えていくことによって、活力のある健康長寿社会づくりをしようとする大きな目標が今の大臣のお話の中からみえてきたように思います。こうした大きな変換期においてこれから様々に試行錯誤が行われて最終的にかつての健康で教育レベルの高い中産階級社会と同様に共通の目標を我が国が掲げることが出来るようになり、それによって21世紀の日本の成熟国家としての発展の方向性が明確になってくるように思われます。大臣今日はお疲れのところを参加頂き、有難うございました。
塩崎:
有難うございました。
 

盛大な拍手の中、塩崎厚生労働大臣が退場され、終了となった。

 

 
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