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第13回医療オリンピックC-1 2015決勝大会 開催

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平成27年11月15日(日)、東京国際フォーラムにおいて第13回医療オリンピックC-1 2015決勝大会が開催された。

第13回医療オリンピックC-1 2015決勝大会
近藤理事

主催者である整骨院振興協同組合・近藤昌之代表理事より〝過去の積み重ねが今の私たちを作っている。もし未来を明るくしようと思ったら、今を変え、この一瞬をより良くしていく以外に未来を変える方法はない。この一瞬をぜひ光り輝くものにしてほしい。いま、業界には逆風が吹いており、メディアでも様々な報道がされている。しかし私たちが持っている柔道整復の技術は、自らの手や簡単な道具を用いて、副作用もなく患者の痛みや症状を改善させることができ、病気にかからない身体づくりをサポートすることで国民の利益になる。柔道整復の存続のためには国民の信頼を得なければならないが、昨日と同じことをしていたのでは信頼は得られない。昨日よりも今日、今日よりも明日という想いで、知識を身につけ精神力を向上させてもらいたい〟と力強く激励した。

2003年に始まり今年で13回を数える医療オリンピックC-1は、柔道整復師の質の向上を目的として、全国各地の地区予選を勝ち上がった施術者が「医識王」「診断王」「刺鍼王」「矯正王」「包帯王」の5種目において知識と技術を競い合った。

医識王

医識王

医療知識を問うクイズ形式のオープン競技。会場全体で予選を行い、成績上位5名で決勝を行う。

診断王

診断王

診断力を競う競技。制限時間内に患者さんに対する問診から診断までを実際に行い、診断の的確さや説明の内容、患者への接遇力を競う。「問診」「視診」「触診」「傷病、保険説明」「接遇力」「患者さんの感覚」の6つの要素で審査を行う。

刺鍼王

刺鍼王

長さの異なる2種類の鍼(3番1寸3分、3番1寸6分)を使用し、それぞれ1分ずつ片手挿管による刺鍼を行い、計2分間の総刺鍼数で勝敗を決する。斜刺を行っていると審査員が判断した場合、弾入をせずに鍼柄を押し込んでいる場合、弾入時に鍼管から手を放していない場合を除き、正しく刺鍼した本数を合計ポイントとする。

矯正王

矯正王

3分間での矯正技術を競う。「ザ・ボディコンディショナ」を使用して体を動的分析し、骨盤のゆがみ度、筋肉の前後左右バランス、関節の可動域などの改善値をもとに審査を行う。さらに患者評価として、「施術を受けてみてどうだったか」「また施術を受けたいと思ったか」を審査項目に加え優勝者を決定する。

包帯王

包帯王

包帯巻きの見栄え、きつさ、実用性といった複数の審査項目を設け、獲得した総合ポイントを競う。準決勝までは足関節、決勝戦は足関節に加え、膝関節、手指、肩関節の包帯巻きを一度に続けて行う。

緊張の中、施術者たちは日頃から研鑽を積んできた技術を存分に発揮し、観客を魅了していた。時折、観客からの声援が飛び交うなど、熱気と活気あふれる大会であった。

全競技終了後、公益社団法人日本柔道整復師会の三橋裕之理事・保険部長による特別講演が行われた。

特別講演「柔道整復師の現状と将来について
―これからの柔整師の皆さんへの提言―」

公益社団法人日本柔道整復師会理事・保険部長 三橋裕之氏

三橋氏

三橋氏はまず、今月初旬に各種メディアにて報道された、柔道整復師と暴力団による療養費詐取事件について触れ、〝最大の問題点は、柔道整復師資格を持っていなくても開業ができてしまうようになったこと。不正を無くすために柔道整復師でなければ開業できないようにしていきたい。審査が甘いと言われているがそんなことはない。暴力団や貸金業者が絡んできていることが問題だ〟との認識を示し、これを無くすための仕組みを(一社)全国柔道整復師連合会とともに作っていると述べた。

さらに、最近問題になっている事例として「交通事故治療専門」とののぼりを掲げたりポスターを配布したり、患者を誘引するような不適切なキャンペーンを行うなど、広告の制限に違反していると思われる施術所もあると画像で紹介。先日、平成27年度の柔道整復師・鍼灸師の行政処分一覧が公表されたが、免許取り消しや懲役刑、業務停止命令を受けている者もいる。近年では柔道整復師と医療機関が結託して不正をしているものが増えているという。三橋氏は〝柔道整復師の保険は「保険者がやむを得ないと認めたとき」としており、当たり前のものではなく使わせてもらっているのだという意識を忘れてはならない〟と警鐘を鳴らした。

現在の柔道整復業界の状況として〝平成26年度予算執行調査により、柔道整復は不正が多く、受領委任払いを見直すため調査を行う必要があるとされた。そして今年4月27日には財政制度等審議会資料の中で受領委任が実施可能な施術所の限定、支給対象の見直しなどが記載された。実際に1998年から2008年の10年間において、就業柔道整復師数・施術所数ともに1.5倍にまで増えている。しかしながら国民医療費に占める柔道整復療養費の割合は減少傾向にあり、平成23年からの2年間で230億円の削減となっている〟と、柔道整復師数の増加に反して療養費が削減されているとした。その理由として〝支給申請書の件数や施術の総件数は増えている。だが請求書1枚当たりの単価は僅かずつではあるが確実に減少し続けており、一人当たりの年間請求額も減少している。その結果、療養費の減少につながったと考えられる〟と解説。平成4年から行なわれている逓減率の強化や、平成24年3月12日に厚生労働省から発出された「4課長通知」に端を発した患者調査の激化も療養費減少の要因として考えられるという。三橋氏は〝健康保険組合や調査会社は柔道整復や制度を理解しないままに返戻を行っているところがある。過度な調査に対しては、平成27年7月に発足した、(公社)日本柔道整復師会と(一社)全国柔道整復師連合会の代表者を構成員とする「柔道整復保険連絡協議会」にて審議し、対応を進めているところだ〟とし、支払基金設立構想を含め、現在の(公社)日本柔道整復師会の取り組みを紹介した。

最後に三橋氏は〝日本の総人口は減少しているが高齢者人口が増加するため、高齢者4大骨折は激増すると予測されており、技術を持った本当のほねつぎが必要とされる。骨折・脱臼等の外傷が治せない柔道整復師はいらないという時代が来る。このような場で技術を競い合うのはとてもいい機会であり、そのためにもしっかりと知識を得ることが大切だ。みなさんには今後の柔道整復業界を守っていっていただきたい〟とエールを送り講演を終了した。

特別講演終了後、競技の優勝者および入賞者の発表が行なわれた。

表彰
田中氏

終わりに、閉会挨拶として登壇した(一社)全国柔道整復師連合会の田中威勢夫会長は〝先ほど三橋氏からもお話があったように、現在、(公社)日本柔道整復師会と(一社)全国柔道整復師連合会は「柔道整復保険連絡協議会」において柔道整復師の諸問題の改善策について話し合いを進めている。その中で決定したものについて厚生労働省や保険者に要望していく。なかでも支払基金は、柔道整復師と保険者と厚生労働省の3者で構成する意見交換会においても必要であるとの見解で一致した。新しい制度では(公社)日本柔道整復師会と(一社)全国柔道整復師連合会が審査を行う支払の窓口とする方針であり、近い将来にはいずれかに所属する必要が出てくるのではないかと思う。これからも業界のために尽力していきたい〟として協力を呼びかけ、第13回医療オリンピックC-1 2015決勝大会は幕を閉じた。

尚、各競技の入賞者は下記の通り。

医識王

1位 内藤 潤

診断王

1位 阿野 智也
2位 杉野 貴久
3位 重久 侑司

刺鍼王

1位 鎌田 真央
2位 藤﨑 太輔
3位 田邉 秀行

矯正王

1位 木村 文隆
2位 寺澤 匡記
3位 加藤 義夫

包帯王

1位 上江洲 太樹
2位 鈴木 晃
3位 柏木 雄大

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