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柔道整復師と介護福祉【第95回:障害者総合支援法の基礎知識ver1】

柔道整復師と介護福祉 特集

障害者総合支援法は、その前身である障害者自立支援法の問題点を考慮した形で新たに施行された法律で、障害のある方の支援を定めています。正式には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」という名称です。

障害者総合支援法の基本理念

全ての国民が基本的人権を持つ個人として尊重されるように、障害の有無に係わらず共生社会を実現地域社会における日常生活、社会生活を営める様に、障害のある方に対する支援を受けられること。そのための妨げになる、あらゆるもの(物事、制度、観念など)を除去するよう努力すること。そして、この障害者総合支援法の基本理念に基づいて、障害者総合支援法では80項目もの詳細な調査を行い、様々な福祉サービスを障害のある方のニーズに合うように利用できる形になっています。

障害者総合支援法のサービス

以下に障害者総合支援法で利用できるサービスについて解説します。

  1. 自立支援給付
  2. 地域生活支援事業

の2つに大別することができます。

自立支援給付

自立支援給付とは、障害者の方が利用しているサービスの一部を個別に行政の判断によって給付するサービスです。給付の対象となるものは、障害に関わる医療・福祉サービスの他、福祉用具(補装具)の費用となっており、その運用の基準に関しては厚生労働省が判断しています。

地域生活支援事業

地域生活支援事業は、自立支援給付とは異なり各自治体の判断で運用されるサービスです。障害者の置かれている実状によってニーズに応えることができる事業、および相談対応など個別給付に該当しない事業をまとめています。

障害者総合支援法のサービス利用対象者

障害者総合支援法のサービス利用対象者は、障害者総合支援法第4条に規定された「障害者」になっています。

  1. 身体障害者とは、身体障害者福祉法第4条に定義された障害者で、18歳以上の人。
  2. 知的障害者とは、知的障害者福祉法に定義された障害者で、18歳以上の人。
  3. 精神障害者とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条で定義された障害者で、18歳以上の人。ただし、発達障害のある障害児を含む。
  4. 難病とは、治療方法が確立していない疾患、その他特殊な疾患、政令で定める障害の程度は厚生労働大臣が定める程度の障害者で、18歳以上の人。
  5. 障害児とは、身体障害、知的障害、発達障害を含んだ精神障害の児童、または難病等で一定の障害認められる児童。
    ※2018年4月現在、障害者総合支援法の対象となる難病は359疾患が指定されています。

自立支援給付

自立支援給付とは、介護給付と訓練等給付に大別されます。

介護給付

障害によって必要となる、介護及び介助サービスに関わる費用の一部を給付するものとなっています。

  1. 居宅介護(ホームヘルプサービス)
    介護が必要な障害者へ出張して身体介護や家事援助等のサービスを行います。
  2. 重度訪問介護
    身体の自由がきかない障害者の方の居宅や入院先で、身体介護や家事援助等のサービスを行います。
  3. 同行援護
    移動をするのに困難の伴う視覚障害方に、外出時の動向、代筆、代読等のサービスを行います。
  4. 行動援護
    強度行動障害に認定されている特別な配慮が必要な重度の知的障害、精神障害の方に提供されるサービスで、行動時の危険回避などを行います。
  5. 療養援護
    入院している障害者の方に提供されるサービスで、医療機関に出向き医療的ケアや日常生活の介護といったサービスを行います。
  6. 生活介護
    日常的に介護が必要な障害者の方が対象で、施設に通所して日常生活上の支援、創作的活動、生産活動といったサービスを行います。
  7. 短期入所
    介護が必要な障害のある方で一時的に介護が受けられない場合、施設で一時的に介護や支援が提供されます。
  8. 重度障害者等包括支援
    重度の障害があり、それによって多くの支援が必要な方が対象で、包括的なサービスを受ける事ができます。
  9. 施設入所支援
    施設入所している障害者に対して、夜間の支援(入浴、排せつ、食事など)を行います。

訓練等給付

障害者の方が日常生活や社会生活を送るのに必要な訓練を提供するサービスで、就労に向けた訓練、福祉的な就労、安定した就労などを提供します。

  1. 自立訓練
    障害者の方が住んでいる地域で生活するのに必要な身体機能、生活能力の維持向上が目的。
    身体障害の場合、リハビリなどの機能訓練を実施。
    知的障害、精神障害の場合、食事や家事などの生活訓練を実施。
  2. 就労移行支援
    障害者の方が一般企業で働けるように、就労に必要な知識や能力を身につける職業訓練、就職活動のサポートが提供されます。
  3. 就労継続支援BまたはA
    一般企業で働くことは難しいが、支援があれば就労できる人のために職業訓練を提供するサービス。雇用契約を結ぶA型(雇用型)、雇用契約を結ばないB型(非雇用型)に分かれます。
  4. 自立生活援助
    障害のある方が、支援施設や医療機関から出て一人暮らしをする際のサポート(定期訪問)を行うサービスとなります。
  5. 共同生活援助
    グループホームに入所している障害者に対して支援を行うサービスとなります。
  6. 就労定着支援
    就労移行支援を受け就労した障害者に対し、その後の生活上の困りごとを支援するサービスとなります。
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