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柔道整復師と介護福祉【第89回:介護保険の基礎知識ver2】

柔道整復師と介護福祉 特集

3年ごとに改正される介護保険制度

介護保険制度は2000年の創設以来3年ごとに、これまで計8回見直されてきました。自己負担割合が「一律1割」から「所得に応じて1~3割」と変更されたのも、制度改正の一環です。少子高齢化の進行スピードの変化や要介護人口の増加、消費税増税など社会情勢は大きく変化しています。時代のニーズを捉えた持続可能な制度にするため、定期的に見直しを実施し必要に応じて改正しているのです。

一つ前の2018年で改正されたポイント

介護保険制度が直近で改正されたのは、2021年(令和3年)です。そちらの詳しい変更内容は後述します。こちらではまだ記憶に新しい2018年(平成30年)の改正内容についてご紹介しましょう。2018年には「地域包括ケアシステムの深化・推進」「介護保険制度の持続可能性の確保」の2つを主軸として、介護・医療・障害福祉の総合的なサービスの創設や財源の確保などに踏み込んだ改正が実施されました。そのなかでも、特に重要な部分をピックアップして説明します。

介護医療院の創設

新たな介護保険施設として「介護医療院」が創設されました。介護医療院は、日常的な医学管理や看取り、ターミナルケアといった医療的ニーズを持つ要介護者向けの施設です。介護医療院には、重篤な身体疾患を持つ人や要介護度の高い人を対象とするⅠ型と、容態が比較的安定した人向けのⅡ型があります。
従来、医療的ケアと介護の双方が必要な人を対象とする施設には「介護療養型医療施設」がありましたが、2017年度には廃止が決定しています。運営可能な経過措置期間も2024年3月末までと決まっており、その転換先として設けられたのが「介護医療院」です。

共生型サービスの登場

介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法にまたがる「共生型サービス」が新たに位置づけられました。この背景にあるのは、障害を持つ高齢者のサービス利用に関する問題です。障害者総合支援法より介護保険法に基づく介護保険サービスが優先されることから、障害を持つ人が65歳になると、利用する事業所の変更を迫られることがありました。この問題を解決し、65歳以上になっても使い慣れた事業所でサービスを受けられるようにすることが「共生型サービス」の目的です。また、これによって限りある福祉人材を適切に活用することも見込まれています。

有料老人ホームの入居者保護のための施策強化

介護施設が増加するなか、問題のある有料老人ホームによるトラブルも跡を絶ちません。そこで、入居者保護を目的とする施策が強化されました。ポイントは3つです。有料老人ホームの設置者は、ホームの情報を都道府県知事に対して報告しなければならない。また、都道府県知事は報告された事項を公表しなければならない。都道府県知事は、運営に問題のある有料老人ホームに対して「事業の制限または停止」を命令できる。有料老人ホームが事業の制限または停止の命令を受けたときや、入居者が安定して生活できないと認められるときは、都道府県が必要な助言などの援助をおこなう。また、有料老人ホームの「前払金の保全措置義務」も対象を拡大し改正されています。改正前は2006年(平成18年)4月1日以降に届け出た有料老人ホームの入居者のみが対象でしたが、それ以前に届け出を出した有料老人ホームの入居者も対象となり、より幅広く保全措置が受けられるようになりました。

自己負担割合「3割」の導入

介護保険サービス利用時の自己負担割合はそれまで1割または2割でしたが、2018年8月より所得に応じて「1~3割」と改められました。

第2号被保険者の保険料に総報酬割を導入

第2号被保険者のうち被用者保険を通じて介護保険料を納める人、つまり会社員など給料をもらっている人に関係します。それまでは、各被用者保険が担うべき保険料の総額は加入者数によって決められていました。しかし企業によって所得も大きく異なるため、加入者数ではなく報酬額によって保険料を決定することになったのです。総報酬割は2018年より段階的に導入され、2020年度から全面導入されています。

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