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柔道整復師と介護福祉【第88回:介護施設+障害施設or障害施設+介護施設 共生型サービス】

柔道整復師と介護福祉 特集

介護施設+障害施設or障害施設+介護施設 共生型サービス

2018年4月の介護保険法改正では、地域包括ケアシステムの強化に向け高齢者や障害者、障害児が共に利用できる共生型サービスが新設されました。これにより、65歳に達した障害者が、通い慣れた障害福祉事業所から別の介護事業所へ移らなければならないといった問題が解消されるとともに、社会資源に乏しい地域においても、限られた人材を有効活用し、必要なサービスを提供しやすくなることが期待されています。法改正から4年経過しましたが中々広がらない現状もあります。

基準該当サービスと共生型サービスの違い

共生型サービスは、2018年4月の法改正で新設されたサービスですが、法改正以前にも「基準該当サービス」として同様のサービスを提供していた事業所も少なくありません。基準該当サービスとは、指定障害福祉サービスとしての基準は満たしていないものの、介護保険事業所等の基準を満たす事業所を指し、市町村の認可を得た事業所では、基準該当障害福祉サービスとして介護給付あるいは訓練給付等を認可、利用者の受け入れが可能です。基準該当サービスにおいては、子供から高齢者までが同じ空間で過ごすこと(共生)により、様々なメリットが生じるのはもちろんのこと、社会資源および介護・福祉人材が不足する地域においても、効率的にサービスを提供できる可能性が示唆されます。しかしながら、基準該当サービスでは、報酬において障害区分が勘案されていない、地域によって報酬格差があるなどの問題により参入に消極的な事業所も少なくありませんでした。そこで、2018年法改正では、介護保険、障害福祉いずれかの指定を受けていれば、制度の枠を超えて子供と高齢者を同じ空間で過ごす「共生型」のサービスを提供しやすい仕組みが導入の経緯です。

介護・障害福祉の基準を満たす場合(共生型サービスⅠ)

共生型サービスにおける報酬体系は、3つに分類されています。そのうち、介護保険と障害福祉、両方の運営基準を満たす事業所では、両方の指定を受け、それぞれの制度から通常通りの報酬を受け取ることができます。これは共生型サービスがスタートする前においても、実質共生型サービスとして運営可能だった事業所といえます。

介護・障害福祉のいずれかの基準を満たせない場合(共生型サービスⅡ)

介護保険と障害福祉、いずれかの基準を満たせない場合にも共生型サービスを提供することができ、専門職の配置等により報酬が減額される割合が変わります。
以下に例を記載します。

1. いずれかの基準を満たし、満たしていない事業の質や専門性に一定程度対応する場合

サービス管理責任者をはじめとした有資格者を配置、専門性の高いサービスを提供するとともに、認知症カフェや介護予防教室などの地域に貢献する活動を行なっている事業所は、共生型サービスの報酬を受けることができます。但し、介護・障害福祉、両方の基準を満たす場合に比べ、報酬額が減額されます。

2. いずれかの基準のみ満たす場合

介護保険、障害福祉いずれかのみ人員・設備基準を満たしている場合にも、共生型サービスの報酬を受けることができます。但し、上記1.に比べて更に報酬額が減額されます。

介護・障害福祉において共生型認定のための人員配置、設備基準の比較

共生型認可は、介護保険と障害福祉、両基準を満たしていれば、より多くの報酬を得ることができますが、双方の基準には大きな違いがあります。それぞれの制度における主な人員・設備基準を比較してみます。

ホームヘルプサービス(訪問介護-居宅介護-重度訪問介護)

障害福祉サービスの居宅介護および重度訪問介護と、介護保険サービスの訪問介護サービスを比較してみます。

障害福祉サービスでは、常勤の管理者1名、常勤のサービス提供責任者1人以上、従業者(ヘルパー)を常勤換算で2.5人以上配置する必要があります。介護保険サービスにおける訪問介護では、常勤の管理者1名、常勤のサービス提供責任者1人以上、訪問介護員を常勤換算で2.5人以上配置する必要があります。基準が類似しているため、以前から基準該当サービスとして、同一事業所で障害福祉サービスと介護保険サービス両方を提供する事業所も多く、兼務が認められている役職もあります。

デイサービス(通所介護-生活介護)

障害福祉サービスの生活介護と、介護保険サービスの通所介護を比較してみます。

生活介護では「看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員の総数」が、平均障害支援区分4未満で6:1、平均障害支援区分4以上5未満で5:1、平均障害支援区分5以上で3:1となっているのに対し、「通所介護」では介護職員が5:1であるという人員配置の違いがあります。また、生活介護、自立訓練、児童発達支援において「訓練・作業室」は「支障がない広さ」と不明瞭な基準であるのに対し、通所介護の「食堂及び機能訓練室」は「3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積」と明確に定められています。

ショートステイ

指定障害者支援施設において提供する短期入所と、介護保険施設において提供する短期入所生活介護を比較してみます。

短期入所では、併設型の場合、本体施設入所者と短期入所利用者の総数に対し、本体施設に定められる人員基準に基づき必要数の従業員を配置すると規定しています。そして、単独型の場合は、生活支援員を6:1配置する必要があります。一方、介護保険サービスにおけるショートステイでは、医師1以上、生活相談員を利用者100人につき常勤換算で1人以上、介護職員又は看護師若しくは准看護師を利用者3人につき常勤換算で1人以上、栄養士 1人以上(利用定員が40人以下の事業所は、一定の場合は、栄養士を置かないことができる)、機能訓練指導員1名以上居室定員4人以下等と、詳細な基準が定められています。また、施設基準においては、指定障害施設に対し、床面積を収納設備等は除いた9.9平方メートル以上「4.5畳」(単独型は8平方メートル以上)としており、介護保健施設においては、1人当たり10.65㎡以上とするなどの大きな違いがあります。

このような違いがある中、共生型サービスの導入により、介護、障害福祉の両事業所は双方の認定を取りやすくなりました。

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