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柔道整復師と介護福祉【第81回:政府の進める地域包括ケアの推進とは?vol.1】

柔道整復師と介護福祉 特集

高齢者が住み慣れた地域で自分らしい人生を全うできる社会を目指して、2025(平成37)年を目途に整備が進められているのが、「地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)」となります。2025年は、第一次ベビーブームと呼ばれる1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」の人すべてが75歳以上の後期高齢者になる年。そんな超高齢化社会に求められる介護の在り方とは、どのようなものなのか、これからの時代の介護システムの柱となることが予想される地域包括ケアシステムの概要や解決すべき課題について解説します。

地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムは、少子高齢化に対応するために国が進める政策の柱となります。システムの概要と、必要とされるに至った背景について解説します。

地域包括ケアシステムの概要

環境の変化がストレスになる高齢者の中には、可能な限り住み慣れた地域や自宅で日常生活を送ることを望む人が多い現状です。また、地域内で介護が必要な高齢者を効率良くサポートするためには、家族のメンバーや地域の医療機関、介護の人材が密に連携、状況に応じて助け合う必要があります。

そこで、地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つのサービスを一体的に提供できるケア体制の構築を目指すイメージを、地域包括ケアシステムと位置付けています。

地域包括ケアシステムとは、地域の実情や特性に合った体制整備を目指しています。全国一律ではなく、各地域で高齢化がピークに達するときを想定、その地域独自のケアシステムを計画立案し実行に移していきます。

地域の定義とは、日常生活圏域を指し、おおむね30分以内に駆けつけられる場所を想定しています。高齢者の住居が自宅であるか施設であるかを問わず、健康長寿に関わる安心・安全なサービスを24時間毎日利用できることを目標としています。

地域包括ケアシステムの背景

地域包括ケアシステムが必要とされた背景には、世界に類を見ない日本の急速な少子高齢化が原因となります。2000(平成12)年に介護保険制度が創設、要介護で介護サービスを利用する人は着実に増加、団塊の世代の約800万人が75歳以上になる2025年以降は、高齢者の医療や介護の需要がさらに2035年ピークを達し提供体制と介護保険制度の持続可能性に課題が残されています。

2005(平成17)年の介護保険法改正で「地域包括ケアシステム」という用語が初めて明記、少子高齢化の進行が引き起こす問題を緩和するため、地域住民の介護や医療に関する相談窓口「地域包括支援センター」の創設が打ち出されました。その後、2011(平成23)年の同法改正(施行は2012年4月から)では、条文に「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と明記、システムの構築が義務化に移行となります。2015(平成27)年の同法改正では、地域包括ケアシステムの構築に向けた在宅医療と介護の連携推進、地域ケア会議の推進、新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」の創設などが明記、更に自治体は地域包括ケア推進に向けて力を注いでいます。

地域包括ケアシステムのポイント

地域包括ケアシステムの考え方や具体的なポイントについて、解説します。

地域包括ケアシステムの構成要素

厚生労働省は、2013年3月、2014年3月の地域包括ケア研究会報告書において、地域包括ケアシステムの構成要素「自助・互助・共助・公助」について次のように説明しています。

【住まいと住まい方】

高齢期、障害者の住民が生活の基盤として必要な住まいがきちんと整備、本人の希望と経済力に沿った住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの前提としています。住まいには、周囲のサポートは必要となりますが、同時に高齢者のプライバシーや人間としての尊厳が十分に守られた住環境を実現することを目標としています。

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