柔道整復師と介護福祉【第74回:介護保険と障害福祉サービスの併用vol.2】
パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、リウマチなどで重度の介護状態になり24時間体制の介護が必要となった場合、障害福祉サービスで受給可能なケースがあります。具体的には、「重度訪問介護」を利用すると、1割負担で24時間体制の訪問介護を受けることも可能です。さらに、状況に応じて介護保険との併給が可能なケースもあります。
介護保険で適用されない外出支援
介護保険では適用されない外出時の介護や付き添い、離れて暮らす家族で高齢の親が1人では外出できない場合など、個別の状況に応じて、障害福祉サービスの「行動援護」をサービスとして利用可能です。
障害福祉サービスの区分と負担額
介護保険では、自己負担額は1~3割負担で月の介護保険サービスに限度額がありますが、障害福祉サービスは、月の負担上限額に至るまではサービスの利用費用は1割負担となります。また、負担上限額は所得に応じて以下の4つの区分ごとに設定されています。
- 生活保護受給世帯
- 市町村民税非課税世帯(収入が概ね300万円以下)
- 市町村民税課税世帯(収入が概ね600万円以下)
- 上記以外
障害福祉サービスの負担額
月額30万円の障害福祉サービスを利用した場合、自己負担額は1割の3万円、生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯は0円となります。また、市町村民税課税世帯は9300円、それ以外の人は上限額が3万7200となります。
年金暮らしの場合、所得が38万円以下(65歳以上:年金収入158万円、65歳未満:年金収入108万円※)で あれば、所得税の課税は0円となります。
公的年金控除額を差し引くと所得は38万円以下になります。
障害福祉サービスのデメリット
現状では65歳以上で障害があっても、障害福祉サービスは優先されず、介護保険の自己負担額が適用されます。そのため、介護保険の方が自己負担額は大きいため、もともと障害があった人は65歳以上になると負担が増えてしまうという問題が起こります。また、65歳以上で高齢になってから障害等の要件を満たした場合、高齢による介護の必要性で利用する介護保険サービスと、病気などの障害による介護の必要性が生じる障害福祉サービスなのかの線引きが大変難しいケースがあります。併給または選択・適用されるかどうかの判定は、行政により個別判断されるため、必ず適用されるとは限りません。介護支援専門員、相談支援専門員、行政と密に相談、協議を重ねて公的サービスの計画をすることが重要と考えます。
介護保険と障害福祉サービス併用するには?
障害福祉サービスは、障害等の要件を満たせば介護保険サービスとの併用も可能です。利用できるサービスや負担割合、かかるお金もどちらを使うかで変わってきます。どちらを選択するかはケアマネジャーなどと相談することが必要です。
負担割合の対比
- 介護保険サービス…1~3割
- 障害福祉サービス…1割
利用上限額の対比
- 介護保険サービス…介護度と所得により上限額は異なり、超えた分は自己負担
- 障害福祉サービス…利用額に上限なし、収入により0円~最大3万7200円の負担
介護者の付き添いの対比
- 介護保険サービス…基本は通院のみ
- 障害福祉サービス…外出時の介護、支援など幅広く利用可
障害福祉サービスを利用するには、市区町村の障害福祉課等で相談の上、申請し、面談、調査、審査を経て認定されます。介護保険同様、申請が必要になるため、要件に当てはまる人は問い合わせが第一歩となります。
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