柔道整復師と介護福祉【第71回:介護施設におけるレクリエーションvol.1】
(1)介護現場におけるレクリエーションの目的
介護現場でのレクリエーションは単なる娯楽やレジャーではなく、個人の能力やニーズに応じて実施される専門的な介護サービスのひとつです。生きがいを持ってその人らしい生活を送れるよう、QOL(生活の質)を向上させる目的で行います。介護レクリエーションを行うことで、大きく分けて次の3つの効果が期待できます。
- 身体機能の維持と向上
高齢者は、筋力低下や運動不足などにより、身体機能が大幅に低下してしまう傾向があります。身体機能が低下すると、余計に運動をしなくなり老化現象の悪循環に陥ってしまいます。レクリエーションによって、できる範囲で楽しみながら無理なく適度に体を動かすことで、身体機能の維持や向上に役立ち、老化現象の進行を抑えることができます。 - 脳の活性化
脳トレなどの頭を使ったレクリエーションだけでなく、全身を動かしたり、手先指先を動かしたり、言葉を使ったりするレクリエーションを行うと、脳のさまざまな部分を使うことになります。これら行為は、脳の活性化につながるため、認知症の予防にも役立ちます。 - 生活の質(QOL)向上
高齢になると体の機能や体力が衰え、外出意欲が低下し、人と触れ合う社会的な活動をする機会が極端に少なくなりがちです。
介護レクリエーションを行うことによって、周囲とのコミュニケーションを取ることができます。会話が生まれ笑顔が増えることで楽しい気分になり、日々の生活が精神的に豊かになって、生きがいを発見することができるようになります。
(2)介護レクリエーション3分類
介護レクリエーションは、大きく次の3種類に分けることができます。
- 集団レクリエーション複数人からなるグループで、一緒にレクリエ-ションを行います。普段は会話を交わさない入居者同士も、共通の活動を通して自然な形で交流でき、コミュニケーションを深められるのが特長です。
- 個別レクリエーション
要介護者の能力や性格や趣味趣向にはそれぞれ違いがあり、身体の状況も異なります。そこで近年では、一人ひとりの違いを考慮した、個別レクリエーションが重視されています。 - 基礎生活レクリエーション
レクリエーションは、必ずしも遊びやレジャーの形式で行う必要はありません。毎日の暮らしのなかで要介護者が心地よく感じる時間を増やしていくための基礎生活レクリエーションにも、最近では注目が集まっています。
(3)集団レクリエーション
集団レクリエーションは、複数人からなるグループで行うレクリエーションです。身体動作のほか、他人との会話などのコミュニケーションが期待できます。
- ラジオ体操
ラジオ体操は毎朝のルーティンとして取り入れることをお勧めします。また、ラジオ体操の動きやリズムに合った歌を流して歌いながら体操するのもいいかもしれません。
ラジオ体操は複足腰が悪い方でも座りながら行うことができるので多くの方が参加できるレクリエーションといえるでしょう。 - 風船バレー、ゲートボールルールや準備するのも簡単なので介護施設ではよく行われています。このゲームをするときはチーム戦にするとよいでしょう。チームで競わせることによってコミュニケーションが増えるだけではなく楽しみも倍増します。
- トランプゲーム複数人でできて、ルールが簡単な「ババ抜き・ジジ抜き」、「七並べ」がおすすめです。また、少し頭を使う「合計10を狙え」ゲームも盛り上がると思います。
まず、1~5までのカードのみ使います。それをすべて裏返しにセットしカードをめくっていきます。めくったカードの合計がぴったり10になればそのカードをすべてGETでき、10を超えた場合は元に戻します。
神経衰弱のようにカードの位置を把握し10になるよう計算もしなければならないので脳トレの要素が強いゲームといえます。 - 合唱、バンドやオーケストラでの演奏
バンドやオーケストラとなると楽器の準備などで費用がかかってしまうため合唱がおすすめです。定期的に発表会を設けて家族やスタッフの方に見てもらう場を作るとよいでしょう。第三者に見てもらうというのは物事を行うときのモチベーションにつながります。
(4)おすすめの個別レクリエーション
個別レクリエーションは、要介護者それぞれの趣味趣向や要介護度の違いなどを考慮したレクリエーションとなっています。基本的に一人で行うものです。
- 塗り絵、折り紙
- 製作、工作
- 裁縫
- 読書、映画鑑賞
- 日記を書く
- 脳トレーニングのゲーム
- 書道、なぞり書き
- 計算
- 新しいこと(歴史・文学・数学など)を学ぶ
- 指体操
- 散歩
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