柔道整復師と介護福祉【第69回:地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の人員基準と報酬額vol.1】
(1)地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
「地域密着型通所介護」とは、認知症の高齢者や要介護の高齢者といった利用者が、可能な限り住み慣れた自宅や地域で生活を送れるよう、介護をする家族の負担軽減や介護が必要な高齢者の孤立感解消、心身の機能維持などを目的として実施されている日帰りの通所介護(デイサービス)です。
平成28年4月1日より、利用者の定員によって「通所介護」が「通所介護に該当する事業所」と「地域密着型通所介護の事業所の」2つに区分されました。 地域密着型通所介護は利用定員が18人以下の小規模なデイサービスを指し、通常のデイサービスと同様に、食事や入浴、レクリエーションや生活機能向上のための機能訓練などのサービスが提供されます。
(2)地域密着型通所介護の人員基準
地域密着型通所介護の人員基準は、利用定員が10名を超える場合と超えない場合で変わります。それぞれの基準を以下に示します。
利用定員が10名を超える場合
利用定員が10名を超えない場合
(3)地域密着型通所介護の利用対象者
地域密着型通所介護のサービスが利用できるのは、原則として
- 65歳以上
- 要介護認定を受けている方
- サービス事業者と同一の市町村に住民票を有する者
という規定があります。
年齢に関しては、40歳~64歳で特定疾病により要介護認定を受けていればサービス利用の対象となります。
要介護認定は、要介護1~5と要支援1~2の7つの区分に分けられています。
(4)地域密着型通所介護の背景
地域密着型通所介護サービスの制度設計の経緯は、地域内の連携を強め、地域包括ケアシステムの推進を図るため平成28年4月からデイサービスの利用定員が18人以下の小規模なデイサービスが「地域密着型通所介護」へと移行されました。地域との連携や事業所の運営の透明性を確保することを目的としています。
この背景には、小規模デイサービスが急激に増加したことがあります。団塊の世代が75歳以上になる2025年には介護保険給付費が21兆円になると予想されています。都道府県から市町村の管轄になったことでその地域に必要な数の通所介護があるのか、適切なサービスが提供されているのかといった、より細かい判断が可能となります。また、地域密着型通所介護への移行は、住み慣れた地域で最後まで暮らせるよう高齢者を支援する「地域包括ケアシステム」の推進のためでもあります。
(5)地域密着型通所介護のメリット
地域密着型通所介護は地域密着型サービスに分類されています。そのため、市町村が介護事業者を指定する地域密着型通所介護には、その分メリットが存在します。
- 利用者のニーズに柔軟に対応できる
- 市町村が介護事業者を指定するため、サービスの基準や介護報酬などを地域の実情に合わせて市町村が設定できることにより、時間や回数などの点で利用者のニーズに柔軟に対応することができます
- 定期的な外出で心身共にリフレッシュできる
- サービス利用者にとっては自宅から送迎つきで施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどを受けることができ、定期的に外出して家族以外の人とのコミュニケーションをとったり仲間ができることで精神的なリフレッシュやストレスの軽減、孤独感の解消といったメリットがあります
- 普段自宅で介護を行う家族にとっては、一定時間介護が必要な高齢者を施設で安心して預かってもらえることで、自由な時間を得られることにより介護負担の軽減ができます(レスパイトケア)
(6)通常の通所介護との違い
通常の通所介護との違いのひとつは、地域密着型通所介護は定員が18人以下、通所介護では定員が19人以上という定員の規定があります。その他にも、以下のような違いがあります。
- 利用できる地域の違い
- 通所介護では利用者の居住地に関係なくどの事業者でも利用できるのに対して、地域密着型通所介護では居住地にある事業者に限られます。なかには、市町村の同意が得られれば居住地以外でも利用できる施設もあります。
- サービス利用の費用の違い
- 要介護度や1日型・半日型かの利用時間によってサービス利用の費用が変わりますが、通所介護よりも地域密着型通所介護のほうがやや割高になっています。
- その他にも指導訓練室の面積や介護職員、看護職員の配置人数など、定員の違いによる差があります。
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