柔道整復師と介護福祉【第67回:療育手帳の手続きと流れvol.1】
障害手帳の1つである「療育手帳」判定基準や取得の流れ vol.1
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(1)療育手帳とは
療育手帳とは、都道府県が知的障害児や知的障害者を対象に交付している障害者手帳です。療育手帳には、知的障害を持つ方に対して、一貫した様々な指導や相談、支援を受けやすくするための目的があります。
知的障害は、おおむね18歳までに知能機能の障害が現れるといわれています。
知的障害の定義は、
- 知能機能に制約がある
- 適応行動に制約がある
- 発達機能に障害がある
の3つになります。
一般的には、他人とのコミュニケーションが取りにくい場合がある、頭脳を使ったり読み書きや計算をしたりすることが苦手で、日常生活や社会生活に困難が生じることがあるといわれています。
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(2)療育手帳の交付対象者
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療育手帳の交付対象者は、児童相談所または、知的障害者厚生相談所で知的障害であると判断された者です。知的障害と判断する程度と判断基準は、重度Aとそれ以外Bに区分されます。
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重度Aの基準
- 知的指数がおおむね3.5以下で次のどちらかに当てはまる者
- 食事、着脱衣、排便などの日常生活が不自由で介助が必要となる者
- 異食、興奮するなどの問題行動がある者
- 知能指数が5.0以下で、盲、ろうあ、肢体不自由がある者
それ以外のBの基準
①重度のAのもの以外になります。
(3)療育手帳を持つメリット
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療育手帳は、必ず取得するものではないのではないのですが、取得しているとたくさんのメリットがあります。
税制上の優遇
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所得税や相続税、自動車税、自動車取得税の減免が受けられます。
- 交通面での優遇や金銭面サービス
- 公共交通機関の電車、バス、タクシー、新幹線、飛行機などの割引、バス、タクシー、新幹線、飛行機などの割引、公共料金の割引や医療費の助成があります。
- 障害年金がもらえる
障害によって障害年金を受けることができます。
等級によって、下記のような支援を受けることができます。
- 国民障害年金1級
年額975,125円 - 国民障害年金2級
年額780,100円
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自治体のサービスが受けられる
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自治体によって受けられるサービスは違いますが、等級によって、ヘルパーの掃除や料理、買い物などの援助を受けることができます。
- 保育園に優先的に入園できる
- 保育園の入園の優先的順位が高くなるので、入園しやすくなります。
就労に向けての支援
雇用の面で障害者採用が受けられるので、なかなか受かりにくい企業も採用される可能性があります。体調にも配慮してもらえるので、仕事をするのに大きなメリットがあります。
障害者採用については、国として促進していますが、採用枠を取り入れていない会社もあるため、必ずしもメリットになりうるとは言えません。正社員数50名以上の企業に雇用を課せられています。
(4)療育手帳を持つデメリット
療育手帳の一番のデメリットは、知的障害者本人の気持ちや家族の気持ちといえるかもしれません。療育手帳を取得することは、知的障害者本人も親も嫌悪感を抱く場合が多く、傷つく事もあります。障害者への差別や偏見は多く、障害者総合研究所の2017年の調査では、障害者の59%は日々の日常生活に差別や偏見を受けていると答えています。つまり、療育手帳で障害があると認めると、周りに白い目で見られないか不安があると言います。また、療育手帳の手帳が小学校の判定の判断の材料になることもあり、自分が希望する就学先に通えない場合もあります。
(5)療育手帳の判定区分
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療育手帳は、各自治体の独自の制度のため、具体的な判定基準や判定区分は都道府県によって違いがあります。 判定区分は、重度Aとそれ以外Bにわける自治体が多いですが、A~C、1度~4度と区分する自治体もあります。 国の厚生労働省の指導は、重度がA、それ以外はBと国は2つの区分を分けています。
多くの自治体は4つの区分に分けている事が多いですが、3つや5つ、6つのランクで分けている自治体も存在します。
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