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柔道整復師と介護福祉【第63回:特定事業者加算と働き方改革】

柔道整復師と介護福祉 特集

4月から“年5日の年次有給休暇取得の義務化

2019年10月の消費税率の10%への引き上げに伴い、新加算が創設されています。新加算は、「介護職員等特定処遇改善加算」です。省略して「特定処遇改善加算」となります。

介護職員等特定処遇改善加算の取得には、次のとおり3つの要件が必要です。

  1. 現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していること。
  2. 「職場環境要件」
    → 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること。
  3. 「見える化要件」
    → 介護職員処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載等を通じた見える化を行っていること。

②の「職場環境要件」では、職員の資質の向上や労働環境・処遇の改善などの取組みをする必要があります。
しかし、介護職員の労働環境・処遇の改善の取り組みとあわせて、実施する必要があるのは「働き方改革関連法」により、中小企業に適用されるようになっています。

「年5日の年次有給休暇取得の確実な取得(義務化)」を進める必要性

「年次有給休暇が年10日ある従業員については、そのうち5日は必ず取得させる」というものです。

適用の時期

2019年4月以降に、年10日以上発生する年次有給休暇に適用します。
取得を進めるにあたって、次の方法を組み合わせることが効果的・効率的となります。

  1. 従業員自身に年次有給休暇の取得日を指定してもらう。
  2. 労使協定を締結して、「年次有給休暇の計画的付与」を行う。(一斉付与方式、グループ別付与方式などのパターンで付与を検討します)
  3. 従業員の希望を聴取したうえで、経営者が取得日を指定して休暇を取ってもらい休ませる方法。これが今回新たに加わった方法です。

取得日や残日数を把握するため、年次有給休暇管理簿を整備する必要があります。
経営者は、従業員ごとに年次有給休暇管理簿を作成して、3年間保存する必要が義務付けられました。
この年次有給休暇管理簿とは、時季、日数および基準日を労働者ごとに明らかにした書類です。年休を与えた期間中および当該期間の満了後の3年間は保存しなければなりません。

パート・アルバイトも対象に!

労働基準法において、労働者は

  1. 雇入れの日から6か月継続して雇われている。
  2. 全労働日の8割以上を出勤している。

「この2点を満たしていれば年次有給休暇を取得することができる」となっています。

パートタイムやアルバイトの方など、所定労働日数が少ない従業員については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されることになっています。次の表を参考にしてください。

(出所:厚生労働省パンフレット)

訪問介護の特定事業者加算

特定事業所加算には、「特定事業所加算I」と「特定事業所加算II」「特定事業所加算III」「特定事業所加算IV」の4種類あります。
体制要件と人材要件については、以下のとおりになります。

特定事業所加算Ⅰ

次に掲げる基準すべてに適合すること。

【体制要件】

(1)
訪問介護員に対する計画的な研修の実施
※訪問介護員等について具体的な研修の目標、研修の内容、研修期間、実施時期等を定めた計画を作成する。
(2)
定期的な会議の開催
※登録ヘルパーも含めてサービス提供に従事する介護職員等の全てが参加するものであること。
文書などによる指示およびサービス提供後の報告が必要です。
(3)
定期的な健康診断の実施
※事業主費用負担により少なくとも1年以内ごとに1回は実施しなくてはならない。
(4)
緊急時等における対応方法の明示

【人材要件】

(5)
訪問介護員の割合が以下のいずれかを満たしていること
介護福祉士の割合が30%以上であること
または介護福祉士+実務者研修等(※)を修了している職員の割合が50%以上いること。
(6)
全てのサービス提供責任者が以下のいずれかを満たしていること
実務3年以上の介護福祉士であること
実務5年以上の実務者研修修了等(※)であること
(7)
前年度、または前3ヶ月で要介護4・5、認知症(日常生活自立度Ⅲ以上)の利用者ならびに、たんの吸引等の行為が必要な利用者が20%以上いること。
※実務者研修修了者・・・正確には、実務者研修修了者もしくは介護職員基礎研修者もしくはヘルパー1級修了者のこと

特定事業所加算Ⅱ

上記、特定事業所加算Ⅰ(1)から(4)までの基準すべてに適合し、かつ、(5)または(6)のいずれかに適合すること

特定事業所加算Ⅲ

上記、特定事業所加算Ⅰ(1)~(4)、(7)の基準すべてに適合すること

特定事業所加算Ⅳ

次に掲げる基準すべてに適合すること。

  1. 上記、特定事業所加算Ⅰ(2)から(4)までの基準すべてに適合すること
  2. 訪問介護事業所の全てのサービス提供責任者に対する計画的な研修の実施
    ※サービス提供責任者について具体的な研修の目標、研修の内容、研修期間、実施時期等を定めた計画を作成する。
  3. 常勤のサービス提供責任者が二人以下の指定訪問介護事業所であり、その事業所に配置されるべきサービス提供責任者を常勤により配置し、かつ基準の配置人数より1人以上多いサービス提供責任者を配置していること
  4. 利用者総数のうち、要介護3〜5である者と介護を必要とする認知症である者、その他介護を必要とする者の占める割合が60%以上であること
    ※加算の割合は、
    ・Ⅰの場合は所定の単位数に20%加算
    ・Ⅱ・Ⅲの場合は、所定の単位数に10%加算
    ・Ⅳの場合は、所定の単位数に5%加算
    となっています。
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