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柔道整復師と介護福祉【第61回:介護保険改正のポイント】

柔道整復師と介護福祉 特集

令和元年の介護報酬改定の変更点およびポイント!

厚生労働省は、2019年に入り、複数回にわたり介護報酬改定に関する告知。この介護報酬改定は、2019年10月より適用されることになります。今回の改定内容の中での主な2つの変更点は、各種サービスの基本単位数と介護職員処遇改善加算に関する変更です。介護業界に大きな影響を与える「介護報酬改定」に関して各種制度に詳しく説明します。

主なポイント

  1. 令和元年10月より、介護報酬改定が適用される
  2. 従来の基本単位数の仕組み
  3. 従来の介護職員処遇改善加算の仕組みについて
  4. 介護報酬改定2019のポイント①
    基本単位数の引き上げ
  5. 介護報酬改定2019のポイント②
    特定処遇改善加算制度の導入
  6. 介護報酬改定の背景・目的|なぜ改定されたか

令和元年10月より、介護報酬改定が適用

厚生労働省は、2019年度開始より、複数回にわたり介護報酬改定に関する告知を実施。この介護報酬改定は、2019年10月より適用されます。
今回の改定内容の中で、大きな柱となる改定は、2つあるといえます。一つは、各種サービスの基本単位数が引き上げられたことと、もう一つは、介護職員処遇改善加算の算定条件に、「特定処遇改善加算」というものが付け加えられたことです。
今回の改定の1つ目の柱である「基本単位数の引き上げ」により、「介護サービスの費用」「事業所が政府に請求できる介護報酬」の2つが上がることとなります。 また、2つ目の柱である「特定処遇改善加算」の導入により、特定の条件を満たす介護職員の待遇改善が期待できます。
これら2つの改定に適応させる形で、より細やかな改定がされています。

従来の基本単位数の仕組み

基本単位数とは、様々な介護サービスがどれだけの料金になるのかを示します。

例えば
<現 行>訪問介護:302単位
  ↓
<改定後>訪問介護:296単位
とあった場合は、6単位分、訪問介護の料金が減額を示し、
訪問介護:296単位
介護予防訪問看護:286単位
とある場合は、訪問介護に比べて介護予防訪問看護の料金のほうが安いことがわかります。

多くの場合、1単位は10円として計算します。なぜそんな面倒な計算方法をとるのかについては、「介護報酬の仕組み | 単位の意味や改定を読み解く4つのポイント」にて説明をしています。
この基本単位数というものを基準に、利用者の支払う介護サービスの費用や事業所の利益などが決まります。介護サービスは、それぞれかかる労力もコストも常勤要件、資格要件が異なるため、単位数も変わったものになっていくのです。
介護サービスの種類ごとの基本単位数は、(介護給付費等)単位数サービスコードなどと呼ばれます。 今回の介護報酬改定により、多くの介護サービスの基本単位数が引き上げられました。

従来の介護職員処遇改善加算の仕組みについて

介護職員処遇改善加算とは、介護サービス事業所が、介護職員のキャリアアップの仕組みを作ったり、職場の労働環境の改善を行った場合、その介護サービス事業所に対して加算が支払われる制度です。
支払われるお金は、介護職員の給与アップのために充てることが前提となっています。以下の図は、この介護職員処遇改善加算の仕組みを簡単に示したものです。

介護職員処遇改善加算とは

今回の介護報酬改定にて、今まで存在していた種類のこの処遇改善加算とは別に、新たな加算要件として、『特定処遇改善加算』が追加されました。

介護報酬改定2019のポイント①
基本単位数の引き上げ

「利用者の支払う介護サービスの料金」「介護サービス事業者が受け取る金額」など料金計算の基準となるのが、各種サービスごとの「基本単位数」です。

2019年の介護報酬改定により、基本単位数はどのように変化をしたのでしょうか。
単位数の変化があったサービスの項目を以下に示します。

  1. 訪問介護
  2. 夜間対応型訪問介護
  3. 定期巡回・随時対応サービス
  4. 訪問入浴介護
  5. 訪問看護
  6. 通所介護
  7. 地域密着型通所介護
  8. 認知症対応型通所介護
  9. 通所リハビリ
  10. 訪問リハビリ
  11. 居宅介護支援
  12. 特定施設
  13. 小規模多機能
  14. 看護小規模多機能
  15. グループホーム
  16. 特養
  17. ショートステイ
  18. 老健

以上の項目で、基本単位数の引き上げ・引き下げが実施。例として、下の図をご覧ください。

今回の介護報酬改定では、例のように、ほとんどのサービスの基本単位が若干ではありますが引き上げられています。平均では、改定率は+0.54%の引き上げとなります。

その他、全種のサービス基本単位数の変遷は、厚生労働省の公式資料(引用:厚生労働省『平成30年度介護報酬改定における 各サービス毎の改定事項について』)で周知されています。この表には、施設形態ごとに単位の変化が詳細に記載されています。pdfファイルですので、新基本単位数の知りたいサービス名でファイル内検索をすることで確認できます。

介護報酬改定2019のポイント②
特定処遇改善加算制度の導入

特定処遇改善加算は、従前の介護職員処遇改善加算のうち、

  1. 介護職員処遇改善加算Ⅰ
  2. 介護職員処遇改善加算Ⅱ
  3. 介護職員処遇改善加算Ⅲ

のいずれかをすでに取得している介護サービス事業所が、追加で複数の要件を満たした際に、さらに加算した金額を市区町村に申請をすることができる制度です。
この「特定処遇改善加算」という制度で加算できる金額分は、主に「勤続10年以上の介護福祉士」の処遇改善に充てることが示されています。
この新システムを、厚生労働省の公式資料(引用:厚生労働省『2019年度介護報酬改定について』)にて簡単に図式化されたものが以下のようになります。

特定処遇加算のシステム(厚生労働省引用)

受給要件について、以下となります。

特定処遇加算の受給要件3つ

1.現⾏の介護職員処遇改善加算I-IIIの取得(加算IV・Vの取得等では不可)

介護職員処遇改善加算の種類
(引用:厚生労働省『「介護職員処遇改善加算」のご案内』より)

表の1番左の加算から、左から3番目の加算までの加算をいずれかを取得していることが、特定処遇改善加算の条件の一つです。介護職員処遇改善加算の職場環境等要件における「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」のそれぞれで1項目以上の実施

2.介護職員処遇改善加算に基づく取り組みの見える化(ホームページへの掲載など)が条件になります。

介護職員処遇改善加算の職場環境等要件における「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」のそれぞれで1項目以上の実施とは、それぞれ具体的な内容を列挙した資料(厚生労働省『介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について』)を厚生労働省が公開しています。

3.特定処改善加算の受給要件③

介護職員処遇改善加算に基づく取り組みの見える化(ホームページへの掲載など)とは、ホームページなどの情報媒体を通じ、上記の取り組みをした際にそういった活動を可視化することを意味します。

  1. どのような取り組みをしたか
  2. どのような人を対象に行ったか
  3. どのような改善が見られたか
  4. 職員からはどのような反応を得られたか

介護報酬改定の背景・目的|なぜ改定されたか

今回の介護報酬改定の背景に関して、主に①消費税の引き上げの影響、②介護職員の待遇改善の2つのポイントが指摘されています。

① 消費税の引き上げの影響
2019年現在、近い将来10%に引き上げられるとされている消費税。消費税が上がると、当然ですが各事業者にとっては、サービスを提供し続けるために必要なコスト(消耗品など)が上がることとなります。そこで、今回の改定により基本単位数で全体的に介護サービスの費用を引き上げることにより、各事業者が大きな損失をしないよう調整された結果となります。

② 介護職員の待遇改善
介護職の待遇が他業界に比べて低いということは、ここ10年で大きな論点となっています。
介護業界では、少子高齢化の進む日本において規模拡大の一途をたどり、人材の確保・定着というのが喫緊課題となります。

今回、介護人材の確保・定着を目指し、「職場環境等要件」の広範な実施を求める内容の「特定処遇改善加算」は、離職率の低下、環境整備支援が含まれています。

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