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柔道整復師と介護福祉【第56回:児童家庭福祉の実施体制について①】

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児童家庭福祉に関する機関(設置義務など)について

「都道府県(指定都市、中核市)に設置義務があって、市町村に設置義務がないもの」と、あわせて「都道府県の業務」について下記に示します。

都道府県(指定都市、中核市)の業務は、市町村に比べると、市町村の枠を超えた広域的な位置づけ、要保護児童や里親といった児童の「人権」に深くかかわる分野、施設の設置などが該当します。

  1. 児童相談所の設置
  2. 児童福祉審議会の設置
  3. 児童福祉施設の設置、認可、監督
  4. 児童福祉施設(保育所除く)への入所事務
  5. 里親の選定、調整、研修、委託
  6. 小児慢性特定医療費、障害児入所給付支給
  7. 関係行政機関や市町村への指導、連絡調整、助言、援助など

児童相談所

都道府県と指定都市に設置が義務付けられています。
中核市は任意設置。平成28年児童福祉法改正により、特別区(東京23区)も任意で設置が可能になりました。
全国で210か所(平成29年年3月現在)

児童福祉施設入所措置

  1. 児童相談、調査、判定、指導等
  2. 一時保護の実施
  3. 里親委託の推進
  4. 親権の行使

児童福祉施設入所措置

児童福祉施設の中でも、措置によって入所が決まる施設(乳児院、児童養護施設、障害児入所施設(一部)、児童心理治療施設、児童自立支援施設)への入所の措置(行政処分)は、都道府県の業務ですが、都道府県から委託を受けて、児童相談所長が行うこともできます。

児童相談、調査、判定、指導等

子どもに関する家庭その他からの相談事例の内、専門的な知識及び技術を要するものに対応します。また、市町村から、専門的な知識及び技術等を必要とする相談について、児童相談所の技術的援助や助言などを求められた場合には、それらに応じ、必要な措置を講じなければなりません。

相談支援内容

  1. 児童福祉司、相談員等により行われる調査に基づく社会診断
  2. 児童心理司等による心理診断
  3. 医師による医学診断
  4. 一時保護部門の児童指導員、保育士等による行動診断
  5. その他の診断(理学療法士等によるもの等)の結果を踏まえて、これらの者の協議により判定(総合診断)を行い、一人ひとりのの子どもに対する援助指針を作成します。平成28年度は約46万件の相談が寄せられ、「養護相談(虐待など)」約4割、「障害相談」約4割、「育成相談」約1割、「非行相談」約3%の統計が出されています。

市町村と、児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数の違いについて

一時保護

「児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければなりません。(第12条の4)」全国に136か所(平成28年度4月)あります。必要な場合には、一時保護(一時保護所や児童養護施設に収容)することができます。一時保護には「保護者の同意」が必要です。虐待をする親の場合、一時保護を承諾してくれない場合があります。そのような場合には、職権で一時保護をすることもできます。保護者の親権を一時的に停止させることもあります。

里親委託

実際に里親を認定・登録・研修し、委託するのは「都道府県」ですが、里親希望者は、児童相談所に相談・申請し、児童相談所が里親希望者についての調査をします。

児童相談所の職員

  1. 児童心理司
  2. 医師または保健師
  3. 指導・教育担当の児童福祉司(スーパーバイザー)
  4. 弁護士(※準ずる措置可)
  5. 児童福祉士は人口4万人につき1人配置することになりました。

また、虐待相談対応件数の増加から、親の意に反した入所措置や親権停止など、法律に関する専門的な知識や経験を必要とする業務に迅速に対応するために、弁護士の配置(またはそれに準ずる措置)を行うこととされました。

「準ずる措置」
弁護士の配置が難しい場合、弁護士の配置された中央児童相談所と連携をとる

児童福祉施設の設置義務

児童福祉施設(幼保連携型認定こども園を除く)の設置義務は「都道府県」にあります。
(児童福祉法第35条)

児童福祉施設

  1. 助産施設(第36条)
  2. 乳児院(第37条)
  3. 母子生活支援施設(第38条)
  4. 保育所(第39条)
  5. 幼保連携型認定こども園(第39条の2)
  6. 児童厚生施設(第40条)
  7. 児童養護施設(第41条)
  8. 障害児入所施設(第42条)
  9. 児童発達支援センター(第43条)
  10. 児童心理治療施設(第43条の2)
  11. 児童自立支援施設(第44条)
  12. 児童家庭支援センター(第44条の2)

市町村や社会福祉法人も、児童福祉施設を設置することができます。

幼保連携認定こども園以外の児童福祉施設

  • 都道府県:設置義務あり
  • 市町村:設置可(都道府県知事に届け出)
  • 法人など:設置可(都道府県知事の認可を得る)→申請があった場合、都道府県知事は審査する義務があります

幼保連携認定こども園

  • 国、地方公共団体、学校法人及び社会福祉法人のみ:設置が可能です。
  • 都道府県:設備及び運営について、基準を定めます
  • 市町村:設置や廃止をするときは、都道府県知事に届け出が必要です。
  • 学校法人・社会法人:設置や廃止をするときは、都道府県知事の認可を受ける

都道府県で定める基準を満たした施設ならば、原則認可。

認定こども園は、「設置義務がない」所が他の児童福祉施設と違います。

里親関係

里親希望者は、児童相談所に相談・申請しますが、実際に里親を認定・登録・研修し、委託するのは「都道府県」です。

社会福祉審議会

児童福祉法に基づき、都道府県と指定都市、中核市に「児童福祉審議会」の設置が義務付けられています。市町村は任意設置です。

第8条 第8項、第27条第6項、第33条第5項、第33条の15第3項、第35条第6項、第46条第4項及び第59条第5項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するため、都道府県に児童福祉に関する審議会その他の合議制の機関を置くものとしています。

地方社会福祉審議会

  1. 都道府県児童福祉審議会
  2. 指定都市児童福祉審議会
  • 都道府県児童福祉審議会は、都道府県知事の管理に属し、その諮問に答えたり、関係行政機関に意見を具申したりすることができます。
  • 市町村児童福祉審議会は、市町村長の管理に属し、その諮問に答えたり、関係行政機関に意見を具申したりすることができます。また、児童福祉審議会は、児童や知的障害者の福祉を図るため、芸能、出版物、玩具、遊戯等を推薦することや、それらを製作・興行・販売する者等に対して、必要な勧告をすることができます。

小児慢性特定治療費・難病・障害児入所給付など

小児慢性特定疾病(児童福祉法)、難病、自立支援医療(障害者自立支援法)、未熟児療育医療(母子保健法)などで、高額な治療費がかかる場合、「国」と「都道府県(指定都市・中核市含む)」が、2分の1ずつ負担します。

婦人相談所

売春防止法に基づいて、各都道府県に原則1つずつ設置されています。
全国で49か所(平成28年4月現在)
要保護女子及び暴力被害女性の相談、判定、調査、指導等を行います。

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